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#忘れられない恋物語

決意 (詩)

決意 (詩)

ありきたりな言葉だけど
潮どき、かもね
この恋、そろそろ終わりにするわ
一時の幸せより、未来の幸せを望んでるの
だから、私を探さないでね

私より大事な人
大事なものがあること
分かってるわ
それでも構わない
そう思ってた

だけどこれ以上あがいても、もう前には進めない
あなたを独り占めにできない
ここから去っていくしかないみたい

大丈夫よ
寂しさには慣れてるから
私には1人が似合う

だから

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雪中に果つ (小説)

雪中に果つ (小説)

#オールカテゴリ部門
真紀は幸福だった。
これほどの幸福を実感できたのは、生まれて初めてかもしれない。
この幸福は今までの人生で、最初で最後だろう。
今日が、その最後の日でも構わない。
事実、今日が人生最後の日になるのだから。

真紀は隣の裕二に目を向ける。
裕二もまた、真紀を見つめ微笑む。
裕二と一緒に死ねる。真紀にとって、これ以上の幸せなどありえない。ずっと、この日を待ち望んでいた。
「私、今

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引き裂かれた恋 (連載小説 4)

引き裂かれた恋 (連載小説 4)

時間を止める方法があったらいいのに。
亜矢は真剣にそう願った。
半年ぶりに雅人と肌を重ね、これ以上望めないほどの幸せに包まれていた。

(やっぱり、雅人が好き。愛してる)
それを再確認した。
雅人の隣で、一つのベッドで眠りに就く。
それが生涯、続いていけたらどんなにいいだろう。

「雅人と暮らせたら、毎日幸せだろうなぁ」
雅人の腕に抱かれ、ベッドに横たわったまま亜矢は呟いた。

「そうだなぁ。僕も

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引き裂かれた恋 (連載小説 3)

引き裂かれた恋 (連載小説 3)

もうすぐ雅人に会える。
期待と興奮で胸が高鳴る。
新幹線に乗車してから、じっと座ってなどいられないほど、ずっと落ち着かない状態だった。
雅人に会えるのは現実のことなのに、夢の中にいるようだった。

東京駅に到着すると、東海道新幹線に乗り換える。
車内は3割程度、席が埋まっている。
座席に座ると、先刻までは小雨だったのに、
次第に雨粒が激しく車窓を叩きだした。
予報通り、台風がこちらに近づいているの

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引き裂かれた恋 (連載小説 2) 

引き裂かれた恋 (連載小説 2) 

アパートに帰宅すると、郵便受けに1通の封筒が入っていた。丸みを帯びた筆跡で記された亜矢の住所と名前を不思議な思いで眺めた。

(誰からだろう?)
裏を見ると、雅人の名が記されている。
(えっ、雅人からの手紙?)
手紙が届くことなど想像すらしたことがないため、驚いた。ドキドキしながら封を開けた。
便箋には、将来亜矢と結婚したい。今は寂しい思いをさせるけど、必ず迎えに行く、と書かれていた。
丁寧に書か

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引き裂かれた恋 (連載小説 1)

引き裂かれた恋 (連載小説 1)

「時間が止まってしまえばいいのに」

時計の秒針を、じっと見つめながら、
彼はポツリと呟いた。
「時間は、どんどん過ぎていく。前にしか、進まないんだね。止まったり、後戻りはできないんだね」

もし、時が止まってしまったら、永遠に歳を取らない、すなわち、永遠の命を手に入れることができるのかしら?

彼の言葉を聴きながら、頭の片隅で亜矢はそんなことを思った。

今日は、雅人が大阪へ発つ日だ。
今春、大

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ブルートパーズ (掌編小説)

潮騒の音を頼りに、闇に沈む海原に向かって立つ。
彼の願いを叶えるために。
悲恋の過去と決別するために。

数日前、不意に幸司が言った。
「その指輪、毎日してるね」
美和の左手の薬指には、いつもブルートパーズの指輪がはめてある。四つ葉のクローバーの形をしたデザインだ。元カレからプレゼントされた指輪だ。
「うん、気に入ってるの」
「自分で買ったの?」
幸司の問いに何と答えるべきか、一瞬言い淀む。
嘘を

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鈍色の街 (掌編小説)

鈍色の街 (掌編小説)

彼が住んでいた街を通り過ぎる。
ハンドルを握る手が強ばる。
もう二度と来ることはないと思っていた。
来たくもなかった。だが、どうしても外せない用事があった為、仕方なかった。

スッキリとした秋晴れだ。
それなのに車窓から見える街は、どこかボヤけて
久美の目に映る。
湖に沈んだ街、とでも表現したらいいのか。
それは恐らく、もうここに彼、和也がいないから
以前とは違ってそう見えるのかもしれない。
街が

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あと1分だけ ❲掌編小説❳

あと1分だけ ❲掌編小説❳

助手席に乗り込んだ途端
私は怯える。
また、いつものように時間が瞬く間に過ぎ
別々の場所に帰る時が訪れる。
その辛さに耐えるのは
容易ではないことを知ってるから。

「久しぶりだね。今日は何時まで大丈夫なの?」
彼の問いに、いつも通りと私は答える。
私の胸中など知る由もなく、彼は車を発進させる。
やっと会えて嬉しいはずなのに、私は途端に寂しくなる。

ハンドルを握る彼は
時折、笑顔を向けてくる。

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宙ぶらりん [短編小説]

宙ぶらりん [短編小説]

激しく窓を叩く雨音。
部屋中がざわめく。
こんな嵐の夜は、自分は地球上に取り残された
唯一の人間のように思えてくる。
全人類が死に絶え、自分1人だけが生き残った
ような感覚。

孤独で不安な夜に、私は彼を想う。
心の中で問いかける。
生きてる?

それを、確かめる術はない。
ただ、問いかけることしかできない。

例えば、もし、呼吸もままならないほど
痛みに耐えきれないほどの病に伏してるとしたら

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堕 ち る ❲短編小説❳

堕 ち る ❲短編小説❳

「この講座を受講した、きっかけは何ですか?」

彼の声は、彼にそっくりだった。
想像していた通りの声だ。
これほど、顔と声が一致した人物は初めてだ。

「小説を読んだり書いたりするのが好きで、
いろいろ参考になれば、と思ったので受講しました」
「そうなんですか。創作もしてるんですね。
今も、何か書いてるの?」
重ねて聞いてきた彼の声に、鼓動が高鳴る。
声の質が、あまりにも心地良いのだ。
真希は、ど

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