マガジンのカバー画像

エッセイのようなもの

10
運営しているクリエイター

記事一覧

ロジハラで休職させてしまった後輩が訪ねてきた話。

ロジハラで休職させてしまった後輩が訪ねてきた話。

17年間勤めた電通で、私がトレーナーを担った新入社員は1人だけだ。
何度か打診はあったが、すべて断ってきた。

理由はその1人にある。

その1人を仮に「A君」として話を進める。

私がA君のトレーナーになったのは10年以上前のこと。当時の私は6年目で、A君は新入社員。慶應義塾大学出身で、ピカピカした経歴の男の子だった。

同じ部署に配属された彼の面倒を、私が1年間みることになった。

しかしA君

もっとみる
婚活に合コンはもういらないけど、結婚後に合コン経験は役に立つと思う。

婚活に合コンはもういらないけど、結婚後に合コン経験は役に立つと思う。

結婚のきっかけとして「マッチングアプリ」が1位に躍り出た。

とある調査によると、結婚相手と出会ったきっかけのランキングは以下の通り。

同調査によると、2016年に結婚した夫婦では「マッチングアプリがきっかけだった」との回答は0%だったようで、この数年で劇的な変化だ。

マッチングアプリのことを「出会い系サイト」と呼ぶ人はもう見かけない。

では反対に、この数年間で減っていった結婚のきっかけ。

もっとみる
自宅の1階に酒屋を誘致したら、電通を辞めることになった。

自宅の1階に酒屋を誘致したら、電通を辞めることになった。

今日、40歳になった。
そして1ヶ月後、17年間勤めた電通を退社することになった。

きっかけは3年前、自宅を建てる際に

「独身で3階建ては持て余すから、1階はテナントとして貸し出そう。でもせっかくだから、自分から入ってもらいたいお店にアプローチしよう」

と、「ある会社」に企画書を送ったことだ。

企画書の送付先は「株式会社 いまでや」
当時、首都圏で4店舗の酒屋を運営していた会社だ。

縁も

もっとみる
広告は時代と共に生きづらくなったと、図書館で気がついた話。

広告は時代と共に生きづらくなったと、図書館で気がついた話。

何年ぶりだろう。

図書館に行った。

たまたま時間ができて、寄っただけだったけど、それにしては多くのことを考えさせられた。

考えたのは、広告のこと。
自分の生業でもある、広告のこと。

しかも雑誌広告のことだ。

前回のnoteでも書いた通り、雑誌広告はかつて4マス(4大マスメディア)と呼ばれていた。

それが今では、復権するラジオ広告にも溝を空けられ、Z世代の中でも注目率最下位の広告メディア

もっとみる
耳から入ってくる情報をやさしいと思った。ラジオとパワポの話。

耳から入ってくる情報をやさしいと思った。ラジオとパワポの話。

僕はハガキ職人をやっていた。

勉強するのが嫌で、でも机に向かっていないと怒られるから。

机に向かって、耳はイヤフォンで塞いで、ラジオを聴きながら、ハガキを書いていた。

20年以上前のことだ。

10年後、僕はパワポ職人になっていた。

PCに向かって、仕事をしているフリをして、パワポで遊んでいた。
くだらないことをパワポでまとめてはTwitterで発信していた。

それがきっかけになって、も

もっとみる
うちのステンレスキッチンから考える、失敗を許せない社会について。

うちのステンレスキッチンから考える、失敗を許せない社会について。

はじめてステンレスのキッチンをつかったのは19歳の時だった。

大学時代のアルバイト先。横浜駅の近くにある六国世喜(むこくせき)というアジア料理店のキッチン(今はもうない)。

いかにも「業務用」という雰囲気で、自分がプロの料理人になったかのような勘違いを起こさせてくれるキッチンだった。

あれから20年。

そんな原体験もあって、3年前に注文住宅を建てる時は、まずステンレスのキッチンを見に行った

もっとみる
ポリアモリーをやってみたら、自分のロジックが壮大に崩壊した話。

ポリアモリーをやってみたら、自分のロジックが壮大に崩壊した話。

あなたはポリアモリーという概念を知っているだろうか。

1990代のアメリカで広まった概念で、それを牽引したデポラ・アナポールという学者が書いた「ポリアモリー -恋愛革命-」は、2004年に日本語版が発売されるも即完売。現在は中古でもかなりの高額で取引されている。

そんなポリアモリーとは、

・複数の人と
・同時に
・性愛関係を築く
・ライフスタイル

のこと。

前述の書籍には「出版社からのコ

もっとみる
ネクラになりたかったけど、ネアカだった。

ネクラになりたかったけど、ネアカだった。

「SOPHIAが好き」と言ったらバカにされた。
僕の華々しい大学デビューの話だ。

SOPHIA(ソフィア)とは「黒いブーツ」などのヒット曲で知られる90年代のバンドで、上智大学のことではない。

2003年、一浪の末に入学した大学で、僕はバンドサークルに入った。

僕の中学時代はちょっとしたバンドブームで、それまでビジュアル系とイロモノ扱いされていたバンドが、一気にメインストリームに躍り出た頃だ

もっとみる
格差を飲み込んだコアントローの話。

格差を飲み込んだコアントローの話。

今から11年前。
社会人2年目、24歳だった僕に初めて海外出張のチャンスが回ってきた。

行き先は中国の広州。今のような大都市になる前の深センで、ノベルティーの検品をする仕事だった。

「初の海外出張ならビジネスクラス乗ってみるか?」

そんな上司の粋な計らいで、僕は初めてビジネスクラスに乗ることになった。

たかが1泊2日の出張に心を躍らせて、当時の彼女に散々自慢をしたことを覚えている。

出張

もっとみる
「り」は離婚の「り」

「り」は離婚の「り」

僕には6歳の息子がいる。
「いる」と言ったが法律上の親権はないし、扶養家族でもない。
3年前、僕は彼の母と離婚をした。

ただ今となっては息子は隔週で僕の家に泊まりにくるし、元妻と3人で食事もよくいく。さらには年に2回、元家族旅行というイベントすらある。彼の母との関係は良好だ。ただ離婚をしているだけで。

でも先日、保育園の参観日で「小さな事件」があった。今日はそんな話。

少しセンシ

もっとみる