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noterさんたちのいいな、と思ったnoteをまとめています。
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#エッセイ

いつか映画監督になるキミへ 【創作大賞2023 エッセイ】

いつか映画監督になるキミへ 【創作大賞2023 エッセイ】

(文字数=6371文字・読了目安時間=8分)

はじめに"漠然さ"は人を殺します。

今は誰でも発信者になれる時代です。ボクがテレビ局に入社した頃は考えられなかったほど選択肢も豊富で、ある種、贅沢な時代だと思います。当時はクリエイティブな仕事に就きたいなら勇気を出してフリーランスの作家になるか、努力と運でマスコミ企業の狭き門を潜るかの二択しかなかった気がしますから。

なのでこのエッセイは、今の時

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66.1400年前の家に住んでみた!

66.1400年前の家に住んでみた!

ブラッチャーノ旧市街を中心に10軒以上の内覧を重ね4ヵ月ほど経ったある日、ついに運命の物件にめぐり合うことになります。
しかし、その家には暖房設備が暖炉しかなかったのです。

旧市街に住んでみたいせっかくイタリアにいるのだから、日本にはない古い石造りの家に住んでみたいと思っていました。
イタリアにはそうした家々のある旧市街と呼ばれるエリアがあります。
ブラッチャーノにもあって、そこは中世に起源をも

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川とビルと珈琲の街

川とビルと珈琲の街

今朝は突然、無性に安藤裕子の「JAPANESE POP」が聴きたくなり、ここ1週間高熱で寝込んで疲れ切った病み上がりの体を休ませながら、今日は何故かこの音楽の気分なんだな…としみじみ思っていたところ、ふと窓の外のこれでもかという程晴れ渡った空が目に入った。

安藤裕子と晴れた空、そしてこのひんやりした季節。
私の思い出がぶわぁっ…と蘇った。

大学の頃、大阪の北浜という街にあるカフェでバイトをして

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夜に爪を切る

夜に爪を切る

「できれば、帰ってきてお父さんの顔を見ておいた方がいいよ」
梅雨入りの報せを各々のニュースが謳う時期だった。母からそんな連絡が届いたのは。

ちょうど2023年を迎える直前、父は医師からステージ4の癌宣告を受けた。帰省していた私に、「俺癌になったわ!」なんて明るい口調で、ふざけたように語る姿は昨日のことのように思い出せる。
それから1年半の間。何度か帰って見ても、今までと変わらぬ様子で仕事に励み、

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『性風俗で働く親に育てられた子供は“汚い“のか?〜#創作大賞2023』

『性風俗で働く親に育てられた子供は“汚い“のか?〜#創作大賞2023』

職業に貴賎はなく、金に綺麗も汚いもない。
コレは、私の座右の銘である。
偉人の言葉でもなく、どなたかの著名人の言葉でもないこれは、私が、私の母の背中から受け継いだ考え方のひとつだ。

世の中には、『汚い仕事』と『汚い金』があるらしい。
性風俗なんてその最もたるもので、体を売り、好きでもない男性に媚を売り、仕事とはいえ誰かもわからないような男性に奉仕せざるを得ない彼女たちのことを、人はみんな“汚い“

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年に一度は「読書合宿」という贅沢な時間を

年に一度は「読書合宿」という贅沢な時間を

先日、読書合宿をしてきました。

「読書合宿」とは、読書をするためにホテルや旅館に一定期間こもること。つまり、本を読むための「おこもりステイ」です。

わたし達夫婦は、少なくとも年に1回は読書合宿をおこなっています。始めてから、もう4年くらいになるかな。

今は遠出がしにくい世の中になってしまったけれど、読書合宿は近隣のホテルや旅館でできるし、しかも1日中こもるので、時勢にもあっているように思いま

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私の聖地、鎌倉①

私の聖地、鎌倉①

一人で訪れたのは、おそらく九年ぶりだと思う。
本当にたまたま、色んな条件が重なって、一人で自由に動ける時間が出来た。
そうなったら行きたい場所はひとつ。
私の聖地、鎌倉である。
日帰りで行くには少し遠いけれど、どうしても行きたい。

行こうと思えば今日行ける…

そう気付いたら、もう行くしかなかった。私は遠距離恋愛中の恋人に会うような気持ちで電車に乗った。
電車の窓から見える景色は、新緑の木々が眩

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映画「生きる LIVING」を観て黒澤明とカズオ・イシグロに学んだ「他者の評価を気にしない」潔い生き方。

映画「生きる LIVING」を観て黒澤明とカズオ・イシグロに学んだ「他者の評価を気にしない」潔い生き方。

カズオ イシグロ meets 黒澤明。

そこから生まれる「命の使い方」を私は知りたかった。

【作品概要】

黒澤明監督の名作映画「生きる」を、ノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本によりイギリスでリメイクしたヒューマンドラマ。

時代背景は、1953年、第2次世界大戦後のロンドン。

仕事一筋に生きてきた公務員ウィリアムズは、自分の人生を空虚で無意味なものと感じていた。

そんなある日、彼はガン

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