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花がニ人を繋いだように。(仮Title) #1

凛と初めて会ったのは俺が10歳の時。両親の仕事の関係でこの土地に越してきたらしい。最初の印象は”どこにでもいる普通の女の子”。黒髪でちょっぽ短めのボブ。顔立ちはハッキリしていて、どちらかと言えば控えめな感じだった。席は前から2列目の窓側。どうしてそんなに彼女のことを覚えているのかって? それは俺の席の隣が凛だったから、それだけの理由。

「俺、黒瀬啓汰って言います、よろしく。」

「あ、わ、私は涼花凛って言います、よろしくお願いします。」

最初の会話はこんなもん。誰でも仲良くなるタイプだったから特に緊張はしなかった。凛は教室に入ってきた時点ですでにガチガチだったけど。

今日の1限目は国語からみたいだ。凛の教科書は折り目のついていない新しいもの。新品ってなんだか心が躍る感じがする。

先生が適当に指名した人から順番に音読をしていく。俺もいつも通りのトーンで読み進めて次にパスする。そして凛の番。彼女は誰よりも大きな声で、その物語の一員かの如く読み進める。みんなが驚いた表情で彼女を見て、周りの子たちと顔を見合わせている。俺もその一人。彼女は読み終わるとそっと座り以後のページに目を向ける。ざわつきは一瞬だった。人が他人に抱く関心がそこまで高くないことをテレビを見て知っていたからだろうか。でも俺はその部類には入れなかった。彼女に興味を持ってしまったからだ。

もっと知りたい、そう思った。とりあえず、”恋”したことにしておこう。

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