全て上手くいくわけじゃない、互いに通じ合えない日だってある。それでもこの関係を続けられる要因。それは互いを信じているから。そして互いの味方でいてあげること。つまり『好きだよ』ってこと。言葉でもいい、見つめあって眼で伝えるのもいい。時々でいい。気持ちを忘れないために。
ずっと一緒にいたい、線香花火を見つめながら彼女は呟いた。社会人になり遠距離が続く中で、久し振りに見る彼女はどこか違っていた。コロナ渦の影響もあってオンライン上でしか会話できていなかったからなのかな。共に決心をしないといけない時期なんだと思う。次のステージに向けた、大きな一歩を。
#8 マスターのおすすめはミートソースのパスタ。訪れる度食べていた。彼女の大好物でもある。10分位すると運ばれてきた。わぁーと眼を輝かせて見つめる彼女。ごゆっくりと言い後にするマスターに感謝の意を伝え、食べようかと促す。程よい塩が効いたパスタに特製ソースが相まっていつも感動する。
#3 最初は1人だった。ある食事会で初めて会った時によく利用するカフェに訪れていることが分かった。そこから2人で会う時間が増え、いろんなカフェを巡るようになり、彼女のことをより知るようになった。当初の気持ちは聞いたことないけど、彼女も興味を示してくれていたのだろうか。
#3 白い肌、明るい笑顔。紫外線をもろともせず、白いワンピースと麦わら帽子をかぶって準備完了。行こーと子供みたく言い放ち車へ駆けていった。長いこと一緒にいるから彼女の無邪気さにはもう慣れっこ。俺が運転するんだからドア引いても開かないっつうの。そう心の中でツッコんで彼女の後を追う。
#5 変化のない生活を好まない彼女は頻繁に部屋の模様替えをする。時々それに僕も加担してやるけど、互いにこだわりが強いからか置いた場所を変えられるとイラッとする。ここに決めたんじゃんって彼女は怒ったりするけど、内心僕も怒ってるんだよ。まあ彼女が好きにやってくれたらそれでいいけどね。
#4 訪れたのは近くの工房。丁度風鈴祭りを開催していた。夏の南風に反応して風鈴たちが共鳴する。彼女は一つ一つデザインと音色を聴き比べながら廊下を進んでいく。どうやら気になった風鈴は購入できるらしい。30分ほどの格闘の末、決めた!と嬉しそうに駆け寄ってきた。なんと満足な笑顔だこと。
彼女はニッと笑った。蹲るように寝ている彼の姿を見たからだ。顔を洗いキッチンに立ち、いつも通り味噌汁を作る。中々目覚めない彼の頬をペチペチと叩いてから食卓についた。私の方が早く出るんだからね、と呆れ顔で言葉にする。あれ、彼休みだったっけ?今は自分のことで一杯みたい。
#7 やぁとマスターはいつも通りの挨拶。窓辺の1番奥のテーブル席に向かい合って座った。喉渇いたねーと運ばれた水をゆっくり飲んで早くもリラックスモード。メニューは置かないでもらったので、マスターに目で合図を送る。なーんだ予約してたんだねと一言。こっちの動きに気づいていないようだ。
ふと抱きついたポーズで寝ていることに気づいた。誰かの温もりや鼓動を欲してしまっている自分がそこにいた。君となら一緒にいてもいいと思えた夜。今と過去がぐちゃぐちゃに溶け合って欲望を高めていく。どこにあるわけでもない、この時間しか味わえない香りを味わうように。己の脚がつらないうちに。
#9 ふと彼女を見ると涙が溢れていた。どうやら亡きお母さんが作ってくれた味と瓜二つらしい。予想外の展開にマスターも驚きを隠せない様子。僕は彼女が食事を終えるまで何も話せなかった。ただ彼女が過去を懐かしむような嬉しさを含んだ顔をしていたのを今でも思い出す。本心は知り得ないけれど。
#2 言葉なんかいらない。長く一緒に居れば大体のことは雰囲気でわかる。経験で培った2人だけの約束を胸に秘めて仕事へ出かける。帰りはほとんど彼女が先。クックパッドのアプリとにらめっこしながら新しい料理を考案しようと躍起になっているのが毎日の流れ。いつもおいしい料理をありがとう。
#13 あの後、2人の4年記念日を祝してマスターがケーキを出してくれたんだけど、苺かチョコレートかの論争になった。一番ヒヤヒヤしたのはマスターだった気がする、ゴメンね。って振り返ったある日のことはまだ夢みたいだ。キラリと光る彼女の指輪が僕を現実に引き戻してくれていた。(完
外界の煩さにうんざりしつつ、ひとり静かに何もせず過ごす。そんな日々もたまにはあったっていい。孤独でいることにもメリットはある。基本何でも自由だから。でも、パートナーと共に過ごす時間もまた違った視点で見ることができる。自分と相手を共有して生きていくという事。それが夫婦生活の第一歩。
いつもの場所、いつもの時間、いつも笑顔で現れるキミの表情が少し暗い。どうしたのって聞こうとしたら、彼女の方から訳を話してくれた。僕は彼女がそんな風な扱いを受けていることなんて知らなくて、一緒に悔しくなった。同時に僕はキミが本当に好きなんだと感じた。一人で悩まないで、僕がいるから。
#4 イベントものには積極的に参加する間柄。食、歌、クラストマーケットなど。情報を拾ってくるのは大体彼女で、行こ行こと無邪気な少年のように承認を求めてくる。訪れる場所にはハズレがなくて、僕の方が彼女より楽しんでいることもある。誘ってくれる時点でもう既に嬉しいけどね。
君はなぜ、僕を知ったのか。僕はなぜ、君を知ったのか。目を閉じて考えてみる。遠くから足音が聴こえてくるように、僕たちは知り合い惹かれ合っていった。願いや望みはこれから生まれてくるだろう。今はただ、2人で一緒にいることができている時間を一分一秒無駄にせず、互いが互いを愛していくだけ。
#6 車中の彼女はいつにも増して笑顔だった。どこに吊るそうかなぁとか配置の構想を練りながら何食べるの?と聞いてくる。薄々勘づいてはいるようだが。やりとりをしている内に目的地に到着。訪れたのは小さな喫茶店。ほーと渡辺篤みたいに外観の感想を述べながら歩き回る彼女。落ち着け落ち着け。
#12 カナ、君が好きだ。絶対に君を幸せにしてみせる。完璧なんて世界はないけどさ。2人で補い合いながら歩んでいきたい。ぼ、僕と結婚してください。後日カナに聞いたらそう言っていたらしい。ちゃんとした想いを聞いたの告白以来だよって笑われたけど。まあそれも良い思い出にしておこう。
言った言ってないの応酬で大ゲンカした。二時間くらい互いに口を聞けなかった。「ごめんね」の一言だけなのに。結局仲直りしたけど、もっとちゃんと相手のことも考えられるようにならないとって。信頼関係はしっかりとしたコミュニケーションの上に成り立つから、疎かにすると自分の糧を崩しかねない。
もう、寂しいとも思わなくなった。綺麗にまとめることだけを考えていたあの頃は、自分でもバカだったと思う。失ってはじめて気づく辛さと後悔。最後に僕を見た彼女はどう思っただろうか。その時点で僕とのことは心から消し去っていたかもしれない。終わったことなのに、今でも側にいる気がするんだ。
好きな人がいるというのはモチベーションに結構つながってくる。仕事がうまくいかなかったときでも、話を聞いてくれる人がいる。一緒に笑ってくれる人がいる。一緒に想ってくれる人がいる。自分だけじゃなくて、誰かのために頑張れるって嬉しかったりする。そんな人たちに感謝しながら今日も働く。
言葉を交わすことも大切だけど、時にはただ側に居てあげるだけでも構わない。二人だけの気持ちの共有がそこにはあるのだから。なんて考えていたら、彼女がのぞき込んできて「なーに考えてるんだろ」と聞いてきた。教えないって答えたら、仏頂面で缶ビールを頬に押し当ててきた。結構冷たいっつうの。
#11 キミが分かってた訳じゃないと思うけどね。偶然が忘れかけていた過去を思い出させてくれたの。本当にありがとう。なんだか貰い泣きしそうだ。練習したメッセージは僕の記憶から完全に消えていた。気づいた時、僕は彼女の手を握っていた。強い気持ちで握りしめていた彼女のハンカチと共に。
穏やかな晴れの日。たまった洗濯物を外に干そうと奮闘する彼女。ただ思ったよりも強風で今にも助けを求めてきそうな雰囲気。仕方ないなぁと言いながらお手伝い。日光に当たるってこんなに気持ちよかったっけ。柔軟剤のいい香りと風に揺れる彼女の髪。ひと時の休息と癒しを貰って身体をチャージっと。
せっかくの休みだから部屋を掃除する流れになり。彼女が速攻で担当箇所を決め、雑巾を絞りに向かった。僕は不器用だから紙の整理などをして。ひと段落したところで買っておいたラムネを飲んで休憩。彼女がふとこっちを見て「一緒にすると早く終わるし、互いにカバーしあえるね」って。ちょっと照れた。
家でスマホ生活になると自然と互いの会話も減ってしまう。という事で、2人でいろんなことをやってみようという話になった。アレンジ料理を作ってみたり、身体が怠けないように動画を見ながら筋トレしたり。スマホなんて情報を頭で吸収するだけに過ぎないから、そこまで必要ないかなって思った。
「言葉なんか無くたって」 #ILOVEYOUの超訳し方 ビビビッて身体が反応するやつに近い。互いのフィーリングだけで伝えあう気持ち。極端な話これが最大級な気がする。という風に詰めていくと、 「側にいてくれるだけで」とかになるのかな。 言葉で表現するのって難しい。ありふれてしまう。
全部が全部好きじゃない。むしろ嫌いな所の方が多いかもしれない。それでも残ったスキの理由が大きいものであればあるほどスキが増していく。全部を受け入れることは難しいかもしれない。それでもその葛藤と向き合いながら君を好きになっていく。気持ちを忘れることなく。桜の咲く季節のあなた。
このご時世だし仕方なく遠距離通話に。どうせならと思って、配信アプリで限定枠を設けて彼女と歌い合うことに。カラオケもろくに行けてなかったから地味に緊張していた。歌声を聴いて思った、自分はこの声に惹かれたんだなと。彼女のこともそれ以上に好きなのは間違いないけれど。ある夜の出来事。
誰かを思い続けられることほど幸せなことはない。思う人と結ばれ、未来の生活を楽しみにしながら心を通わせる。時に手が解けることもあるかもしれないけど、逆にそこからが人の強さを発揮できるところだと思う。だから、毎日を楽しんで笑い合って過ごしてほしいと思う。心からのおめでとうを贈ります。
お別れ、夏2019。手を振って送り出してあげよう。結局振り返ると、キミとの思い出は「楽しかった」で集約できてしまうんだよ。好きだった日も、嫌いだった日も。キミと一緒にいられてよかったよ。泣かないのはお互いの決め事じゃないか。笑顔でサヨナラするよ。
全部受け止めるから。笑っていても、泣いていても、怒っていても、全部受け止めるから。人はいつも正常な状態ではいられない。ちょっとしたエラーが発生したり、壊れてしまうことだってある。自分で自分を追い込まないで。誰かを頼ったっていいんだよ。キミは1人じゃないんだから。
誰しも「別れ」を経験する。恋愛でも、結婚してパートナーができても、友達とも。「離れる」ことほど寂しいことはない。側に居てくれるだけで支えになっていたから。心が持たないことが大半。変わりのない未来があり得ないのは仕方がないのだけれども。前を向くしか。
過ぎ去った過去に恋をする。あの時、あの場所、あの人と。天文的確率でしか取り戻せない思いをどうにかして現代に引きずり込もうというのだ。とにかく人はやってみないと諦めることができないらしい。それがどういう結果を生むのかを分からないまま本能的に動くのだから、それもまた恐ろしい。永遠に。
言葉に出さなくても互いを分かり合えるのは、長年と共にしてきて言葉や癖、行動を「知っている」から。そこまでの境地にたどり着くには、いっぱい喧嘩もするし、互いを傷つけてしまうこともあるかもしれない。でもそういう経験を経て、知らなかった彼の一面を知ることができたのならそれはそれで。
また彼女が歌っていた曲を聴いた。当時はキミが本当に大好きだったから。今もなお忘れることなく、忘れられずに息をしている。願っていた、ひょっこりと出現して歌を奏でてくれることを。その瞬間が訪れたとき、僕は泣いていた。おかえり、と。
共に勝負の世界を生きていた。互いが互いにアドバイスをする。キミがピンチの時は助けるし、逆もそう。その道のことをわかっているからこそ。「どうしてそこまでしてくれるの?」って。大切な存在だからに決まってんじゃん。明日もまた、笑顔で。
プチ京都旅に出る僕とキミ。「せっかく行くんだから!」と張り切って準備している。ワクワク感にあふれていてキラキラしているくらいだ。机の上には御朱印長帳がある。”御朱印女子”っていうやつだ。お寺の景観、歴史、文化をカメラに収めるのが好きらしい。僕はそれをしているキミの表情が好きだな。
心が苦しいのはキミのことばかりを考えているから。束縛なんかじゃない。ただ純粋にキミと同じ時間を過ごしたいだけ。言葉で伝えなくても互いが互いを分かり合い、自然と笑みがこぼれる。そんな1ページをまた刻みたい。今日も雨。
共通の趣味、音楽。熱が入ると互いに語り合う。ライブは特に楽しい。抽選で運よく当たったことを彼女と一緒に喜ぶ。声を出し、手を振り、タオルを回し。力を出し切って全力でライブを巡る。アーティストに「ありがとう」という気持ちと、共に楽しめる相手がいるという感謝の心。また、一緒に行こう。
フォルダに残っていたキミの写真や動画。ふとした笑顔、ちょっと怒った顔、ケンカした落ち込みの涙。過ごした分だけ思い出は多い。幸も不幸も一緒に共有してきた。キミとの思い出を足し合わせたら1本の映画が作れそう。忘れたくないから。
キミはアーティストの追っかけ。北から南までどこでも行く。共感できる歌詞と同世代でのカッコよさが惹かれる理由。運がいいのか良席ばっかり手に入れる。いやいや、どうせなら僕の分もお願いしますよ。何かに夢中でいるキミが好きだからいいや、楽しんでおいで。
ちょっと怖がり。ちょっと意地っ張り。「別に怖くないし」が口癖。正直だなぁと思いつつ先を歩く。隠れるように縮こまって後に続く小人。しっかりとお家までお届けします、だから安心して。秋の満月の日より。
今度はどこ行こっか。帰り際のうれしい誘惑。西の空に沈む陽を2人で見つめながら、カフェ巡りでもしてみる?と。やった!って子供みたいに跳ねるキミ。その笑顔は心と空が共鳴したかのような明るさで。2人の足音は明日へと続く。