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才能さがし。

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自己の振り返りや、強みの分析について。
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才能とレッテル。

才能とレッテル。

エアコンの聞いたオフィスでカタカタとキーボードを叩く。すると、いつの間にやら他愛ない雑談が聴こえてくる。

アイツはできるとか、彼は良い人だとか。仕方のないことだけれど、どうにも好きになれない。

できる人にも、できない時、失敗する時がある。失敗した時にも、発揮されている力や才能がある。

全てを掬う理想論は、行動ベースで評価が行われることではないか。

「あの時の準備は良かったけど、今回はそれが

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初めてのリサイタル。

初めてのリサイタル。

2歳9ヶ月。なかなかの腕前だと思う。

僕が、初めて音楽に触れたのは、確か6歳くらいの時。

地元のピアノ教室は、確か二階にあって、窓越しに陸橋をかけあがる車がぼんやり見えた。

家には1台のピアノ。

グランドピアノでは無いけれど、黒くてカッコいいYAMAHA製。両親はきっと「音楽のできる子」に育って欲しかったことだろう。

ピカピカの楽器は、やがてインテリアに成り下がり、やがて従兄弟の家に渡

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私たちは「実力派」を増やせるか。(2020年の振り返り等)

私たちは「実力派」を増やせるか。(2020年の振り返り等)

日付と同時に年も変わった、その数分後。毎年早々に済ませる「振り返り」をしていないことが急に気になり出す。遠足前夜の忘れ物チェックみたいなもので「まぁ、そんなにかからないだろう。」ともぞもぞディスプレイをタップしていく。眩い光。「寝る前のスマホはエスプレッソ2杯分」なんて言説が、数十分前に流し込んだ缶ビールの前にあえなく敗北した事実を、瞼の裏まで透ける朝の陽光で知るのだった。

…等というまどろっこ

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年の瀬のZoom忘年会で、僕なりの変わった幸せを実感した話。

年の瀬のZoom忘年会で、僕なりの変わった幸せを実感した話。

「気を悪くしないで聞いて欲しいんだけど。」

Zoom越しでも分かる赤ら顔は、お酒のせいと見て間違いないだろう。現実世界より少し粗めの画素も、中学以来の付き合いとなれば些細な問題である。声のトーン、もっと言えば、数文字のテキストメッセージからだって読み取れる情報は案外多い。

「高校時代、僕は君のことを"大したこと無い"やつだと思っていたんだよ。」

そうかー、と一度相づちをうつ。驚きや戸惑いはな

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「竹」が好きだ、という話。

「竹」が好きだ、という話。

最近では食べる年が少なくなった「おせち」。昔は祖父母の家にいくと、デーンと玄関に重箱が鎮座していて、夜が明けるのがひたすらに待ち遠しいものだった。お目当ては「筍」。あの何とも言えない歯ごたえ、みずみずしさ。2段目の数の子と並ぶ、至福のごちそう。僕は、「から揚げ」とか「ハンバーグ」といったものに全く興味のない少年だった。幼少期の味覚は、明確に食感で形成されていた。

当時、両親は共働きで、小学校を出

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役者な先輩。②

役者な先輩。②

それから、3年後のこと。

突然、先輩が会社に来なくなった。

入院したらしい。
身体的な療養だと聞いた。

実のところ、僕はストレスだと思っていた。
みんなが、そう思っていた。
たとえ”そういう”理由でも、スマートに隠し通してしまう人だったから。

さてと、困った。
思わず頭を掻く。

目の前には、「仕事」がある。
先輩と別(私の1つ上)の先輩。2人がかりでこなしていた仕事が。

先輩は当面入院

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Dropboxという玉手箱を開けてしまった話。

Dropboxという玉手箱を開けてしまった話。

「ピロリ~ン。」

気の抜けた和音が、春と夏の境目に響く。そういえば、マナーモードに設定していなかった。

ピロリ~ンと書いたが「ピロリン」の方が近いか。いや「ピロ~ン」にような気もする。気になって自分あてにメールを送ってみるが、やはり表現できない。「If I had…」 なんてつまらない仮定法を振り払うように、画面をなぞる。

「Dropbox アカウントが 90 日後に解約されます」

ああ、

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漫画の魅力を引き立てる、賞味期限。

漫画の魅力を引き立てる、賞味期限。

はじめに(漫画=万国共通の拠り所)
幼少期、家ではもちろん、学校帰り、塾帰りのちょっとした時間でさえ、僕は漫画に夢中だった。こっそり、自分を重ねたあのキャラクター。活字が少なくたって、文学にも匹敵する奥深い世界、そっと背中を押してくれる安心感がそこにある。

昨年、英語を学びにイギリスへ渡った。語学学校で「日本から来ました。」と緊張しながら挨拶をすると、「Hamutaro!!(ハム太郎)」とか「G

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上司は先生ではない、と気付いた日。

入社二年目のある日。「そんなものかな」と、妙に腑に落ちた。職を変える・変えない以前の、大袈裟に言えば、キャリアにおける1つの転換点である。

驚きより、諦めに近かった。社会人を2, 30年経験しても「先生」にはなれないのかと空虚しい気持ちになりはしたが、良いきっかけでもあった。自分の先生は自分で創ろう。「Where there is a will, there is a way.」とSkypeのプ

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賃貸か、購入か。

昨年の秋口から、我が家はこの二者択一に向き合い続けてきた。実際に候補物件数ヵ所に延べ十何回か足を運んだのだが、残念ながら現時点で結論は出ていない。

実は、少し前(といっても、もう一年以上前だが)に転職活動をした。現職に不満は無い。およそ、客観的な市場価値に対する期待とか見栄とか不安とかいった不純(?)な動機であって、「条件が合えば」くらいに考えていた。結局、「何となく良さそうだ」と思っていた企業

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傾きと切片と人生。

傾きと切片と人生。

y=ax+b

数学が好きではない。さしたる思い入れも無い。数学の話をしたいわけでもない。それでも、義務教育課程、つまり大半の日本人が学んできたこのシンプルな方程式は、綺麗だと思う。

幼少期、私は「勉強する意味が分からないまま勉強していたタイプ」の子供だった。

「こんなことを習っても、仕事で使わないんでしょう。」

そういって、目の前の厄介事から逃げたい少年だった。

コンピューターが記憶し、

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「自信を失う前」にしておくこと。

「自信がなくなった。」

そう言って、落ち込んでいる人の話を聞くことがしばしばある。

「そうなんだ。それは運が悪かったね。」

彼・彼女達には、そのような類いの言葉をかける。誰かを呼び出しておいて、わざわざ後ろ向きな話をしているのだ。少し冷めた言い方をすれば、役目の半分は、期待通りの定型文を述べることにある。

同時に、陰に隠れたある感情が自分を動機付ける。残りの時間で、さてどのように、内発的に

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私たちは、いつまで「最高」を味わえるのか。

「今日は"最高"だった。」

毎日そう言って終われれば言うことは無い。さりとて、伊達に30年間を生きているわけでもない。"最高"と思える瞬間を既に何度か味わってしまっている。よって、その"最高"を更新する"最高"に出くわすことは容易ではないような気もしてきた。いつまで最高を味わえるのか、少し心配だ。

例えば、会社を休んで妻と出掛けたモルディブも、お給料を貰いながら行かせていただいた英国留学も、充

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「ポジティブ」とは何だろうか、という話。

私は、いわゆる「ポジティブ」な人間だと思われているし、自分でもそう思うことが多い。だが、よく考えればそうでもない。むしろ元々ネガティブ側の人間だ。私をよく知る人間も、この告白には驚くことだろう。

心配事があると、
「怒られたらどうしよう」
とか
「こういう風に思われやしないだろうか」
と、内心小さなことにドキドキしていることも多い。

幼少期は、この特性のおかげでひどい人見知りに悩んだりしたもの

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