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サーミと私、伝統手工芸に導かれ 〜北方先住民族を巡る旅 その2
これから3回に渡り、私がこれまで目にして来た北方先住民族のアート・伝統工芸・文化などについて綴ってゆきたいと思います。
第1回の記事はこちら
第2回は、ヨーロッパで唯一の先住民族サーミについて。
4000文字近くありますので、お時間のある時にでも、お読みください。
サーミとの出会い私とサーミとの出会いは、まだ結婚する前、夫の生まれ故郷である北極圏の街を訪れたことからだった。
その日、夫は用事
映画「髪結いの亭主」パトリス・ルコント〜醒めない甘美な夢
主人公のアントワーヌは12歳の頃、豊満でいい匂いのする理髪店の女主人に恋し店に通いつめていた、なかなか早熟な少年であった。
父親に「将来の夢はなんだ?」と聞かれ、「床屋の女の人と結婚すること」と答えたアントワーヌは、ぶん殴られる。
日本でも昔は "髪結いの亭主" といえば、妻の稼ぎをあてにし養われている男を意味し、いわゆる "ヒモ" を指していた。
フランスでも同じなんだろうか、と思った。
この
ドラマ「季節のない街」〜どこへも行けない、どこにも行かない
ずっと観たいと思っていた、宮藤官九郎 脚本・監督「季節のない街」が、やっとテレ東でも始まり、毎週楽しみに観ている。
このドラマはクドカンが長年温めていた企画であり、原作は彼が演劇を始めるきっかけになったと言う山本周五郎の同名小説。
すでに黒澤明監督が「どですかでん」で映画化しているが、今作では、12年前に起きた”ナニ”の災害によって被災し、仮設住宅に暮らす人々に設定が置き換えられている。
主人
ドラマ「最高の離婚」~それぞれの夫婦のかたち
春の連ドラ開始の狭間に、先日10年ぶりくらいにドラマ『最高の離婚』を観た。
当時も、坂元裕二さん脚本の醍醐味であるセリフの秀逸さや、夫婦の悲喜こもごもをユーモラスに描いていて、その面白さに惹きこまれたけれど、結婚してまだ数年で子育てに追われていたこともあり、夫婦とは…なんてそんなに深く考えてはいなかった。
しかし今改めて観ると、夫婦ってなんだろうな…としみじみと思うところがあった。
真面目だけど
映画「土を喰らう十二ヵ月」、水上勉「土を喰う日々 わが精進十二ヶ月」~滋味深く生きること
映画『土を喰らう十二ヵ月』を観た。
作家のツトム(沢田研二さん)は、愛犬の "さんしょ" と信州の山奥にある山荘で暮らしている。
ツトムは季節ごとの山の恵みを享受し、小さな畑を耕し、子供の頃口減らしに出された京都の禅寺でおぼえた精進料理を自ら作り、喰う。
映画の中では四季折々の山の風景が映し出され、季節の移り変わりを表す二十四節気を示す構成は、まだ雪深い立春から始まり、啓蟄、清明、立夏、芒種、
ドラマ「お別れホスピタル」〜死ぬってなんだろう
苦しくなるほど胸を締め付けられたドラマ「透明なゆりかご」につづき、原作:沖田×華さん、脚本:安達奈緒子さんが再びタッグを組んだドラマ「お別れホスピタル」
前作は命の誕生と死を見つめる小さな産院が舞台だったが、今回は末期がんなど死と向き合う患者とその家族を見つめる療養病棟が舞台だ。
主人公の辺見歩(岸井ゆきのさん)は、療養病棟で働く看護師。
病院では吸えないので、毎朝出勤前に海辺で車を止め電子タバ
映画「PERFECT DAYS」〜かけがえのない毎日に、言葉はいらない
やっと観てきました「PERFECT DAYS」
ヴィム・ヴェンダースの映画を観たのはいつぶりだろう…と思い返したら「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」以来だった…。
なんとあれから20年以上も経っており、浦島太郎にでもなったような気分。
上映開始40分前に、いきなり夫が映画に行こうと言い出し、体感温度マイナス20°の中、ツルツルに凍った道を小走りし滑り込む勢いで映画館に到着したものの、慌てて家を
Chet Baker〜ブルー ヴァレンタイン ジャズ
2月14日は、こちらの国はヴァレンタインデーではなく「友だちの日」だ。
愛を告白する日でも、恋人同士が愛を囁き合う日でもなく、女性から女性、男性から男性、女性から男性またはその逆などなど、親しい友人にクッキーなどほんのちょっとしたものを贈る日なのだ。それもけっこう最近のことで、その前は只の普通の日だったので、そんなに定着もしていない。
あくまでも欧米の商業主義には迎合せず(いちおうヨーロッパなんだ
映画「怪物」〜人は、見たいものだけを、見たいように見ている
ずっと観たかった映画「怪物」
実は、昨年の一時帰国の際に飛行機の中で観ることが出来たのだけど、途中何度か機内アナウンスが入り画面が中断したりで集中出来なかったこともあり、観終わったあとも混沌として感想がまとまらず…。
今こちらの国ではやっと上映が始まりもう一度観たので、今頃だけど感想を書こうと思う。
あらすじについては、note内でも沢山の感想記事があるので割愛する。
まず2度観た最初の感想は
映画「ノスタルジア」 アンドレイ・タルコフスキーの内的宇宙と映像詩
30年ぶりくらいにタルコフスキーの映画を再び観た。
アンドレイ・タルコフスキーは旧ソ連出身の映画監督で、亡命後は祖国に戻ることなく1986年にパリで生涯を終えている。
「ノスタルジア」は、タルコフスキーの中でも一番好きな作品だ。
18世紀ロシアの音楽家であるサスノフスキーの足跡を辿りイタリアに滞在している、主人公の詩人・ゴルチャコフは、信仰心の厚さから世界の終末を信じ7年間も家族ぐるみで家に閉
ドラマ「すべて忘れてしまうから」〜夢見る頃を過ぎても
ミステリー作家のM(阿部寛さん)は、日頃から、行きつけのバーや喫茶店(見栄晴さんがマスター)を書斎代わりとして執筆している。
ある夜バーに、失踪した恋人F(尾野真千子さん)の姉だと名乗る、右目に眼帯をした謎の女(酒井美紀さん)が現れ、自分も受け取れるはずだった祖母(草笛光子さん)の遺産を独り占めした妹の代わりに、内縁関係と言っていいあなたが払って!と、金を要求される。
正体不明の女からのそんなムチ
ドラマ「いちばんすきな花」〜二人組だっていいんだよ
ドラマ「いちばんすきな花」が最終回を迎えた。
今期ドラマの中では「Silent」の生方美久さんが脚本を担当するということで、期待値は一番高い作品だった。
二人組を作るのが苦手だった四人がひょんなことから出会い、四人組になってちょっと生きやすくなってゆく、という物語だったと思う。
男と女では友達になれないのか?とか、いろいろな思い込みや決めつけを、取っ払ってゆく部分は分からないでもなかったが、回
ドラマ「コタツがない家」〜曲者ぞろいのホームコメディ
しばらくドラマの感想が書けてなかったけれど、今期ドラマも毎週楽しみにいろいろ観ている。
「きのう何食べた?シーズン2」も安定の良さだけど、今一番気に入っているのが「コタツがない家」だ。
オープニング映像で、深堀家の男たちを背中に乗せ力強く飛ぶ、万里江は逞しくカッコいい。
深堀家の男たちは私が養う!という気概と、頼りになり懐が深そうな主人公・万里江役は、小池栄子さんにピッタリ。
小池さんて観音菩薩
ドラマ 「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」 シーズン1〜それぞれの生き様と死に様
前々からその評判をnoteでも読んでいて観たいと思っていた、アマプラ・オリジナルドラマ「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」。
脚本は「コンフィデンスマンJP」シリーズや大河ドラマ「どうする家康」でも活躍中の古沢良太さん、「ドクターX ~外科医・大門未知子~」シリーズ、「緊急取調室」シリーズなどを手がけた香坂隆史さん。
国際霊柩送還士とは、海外で亡くなった方のご遺体を国境を越えて遺族に送り届ける