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#小説
【小説】 神様のことなんですけど、
風に揺らされた草は乾燥が進んでいるように見えた。それが足首を撫でて痒かった。
しゃがんで、指先でつまんで擦ってみる。砂のように粉々になると思ったのに、割れるみたいにして千切れた。さっきまで繋がっていた箇所からは、水分が滲み出ている。生きているワタシに何をするの、と怒られた気がして、思わず手を離した。
「あら田町さん、こんにちは」
明るい声に呼ばれて、弾かれたように顔を上げる。アパートの門の内
「初めての人生の歩き方――毎晩きみにラブレターを」第420話:今夜は春巻き。
初めまして。小説家と詩人とシンガーソングライターを目指して日々色んなことにチャレンジしている有原悠二と申します。
詳しい自己紹介はこちらから⇒https://html.co.jp/yuji_arihara
〇日記 家に帰ると、春巻きが待っていた。しかも、生春巻きではなく、油でカラッと揚げた中華系の春巻きだった。私は春巻きが大好きなのだ。だから、家に帰って、しかも仕事をして、更に大量のお肉をメガド
【小説】 Draw Your Rainbow
「虹描きは、不要不急です」
そう、文科省のお偉いさんに言われた楓は激怒していた。
「たくさんの人々が家に拘束されている今こそ、虹を描かなきゃいけないんです!」
それでも、先方の言い分は一向に変わらなかった。
「疫病の蔓延を抑えるために、不要不急の外出は控えてください」
壊れたレコードのようにそう繰り返すので、楓は怒りに任せて電話を切った。
だめだ、埒が明かない。月読さんに電話しよう。
【小説】 つぎのおはなし
「ゆうちゃん、もうおしまい。帰るよ」
そう繰り返す私の声は、徐々に厳しくなっていった。
それは、入院している父を見舞いに行った帰りのこと。病棟の来客スペースにあるテレビを食い入るように見つめる二歳の息子は、一つのことに熱中しだすと、なかなか次の行動に移ってくれなかった。
「お母さん、これから買い物行かなくちゃならないの。はやくして」
無駄だと分かっていても、イライラしてしまう。もうちょっと
フィルモア通信 New York Seiji&Huberts going going gone.
セイジ、ニューヨークタイムス、ぼくらの手
セイジさんは日本の大企業から在米駐在としてニューヨークにやってきた。そして何年か後アメリカ永住権を取得して会社を辞め、四十歳を前にして料理の道に入った。当時アメリカでは最高峰の料理学校、ニューヨークアップステートにあるCULINALY INSTITUTE OF AMERICA 通称CIAは授業料も高く基本的に全寮制なので除隊補助でもないと自力でやるしか
[38日後はお月見🌕] noteでお月見コンテスト開催
お互いの距離を保ちながら皆との共通体験が楽しめる「お月見」。 #新しいお月見プロジェクト の準備を始めてから私も夜空を見る機会が増えました。月の形の変化や明るさの変化に気づくようになり、改めて「これまで本当に月を見てこなかったんだなぁ」とひとり反省しました。
そんな私のように、これまでお月見と全く接点がなかった方が、
・今年はすこしだけ月を眺めてみる、とか
・今年はちょっと月を見ながら食事やお酒