山羊的木村
サイドブレーキを引きながらも、ここではない何処かへ行こうとしているnoteを集めました。 今日も明日も明後日も生き延びましょう。そしてどこかでお会いしましょう。
インターネットで創作するたのしむ文芸誌「真夜中インター」のまとめです。 #真夜中インター ネットで出会うような、あなたの創作とのエピソードをまとめます!
山羊アンテナ木村 小説全集(2020/6/20~全1巻) 22本収録 ¥0
28歳。新卒で入った都内のセールスプロモーションの会社を辞めた。退勤は毎日23時を廻る。時折会社に4日間ほど泊まり込む。そんな勤務は少しずつ身体と頭にダメージを与えた。辞めると定収入が途絶えるのでバイトでつなぐ。学生の時にもやっていたテニスインストラクター。それだけでは厳しい。大学同期のKが家業のビルメンテナンス会社に入っていた。声を掛けてくれた。うちでバイトしないか? 新大久保にある小さな会社。少人数で現場を廻る。社名にビルメンテナンスとあるが、要は何でも屋だ。公共施設や
集英社「小説すばる」から声をかけて頂き、コラムを書きました。 12/15発売2024年1月号です。 そんなお話です。 * 中学3年生を持つ親御さん。いかがお過ごしですか。受験ですね。 何でも中学3年生の12月からの3ヶ月間。この時期が人生で一番学力が伸びる時期だそうです。 まあ、よく考えれば今まで何もやっていなかった子が一日2時間勉強すれば、上がりますよね。 なんでこんな事を書いているかというと、目の前に我が家の中三男子がいます。勉強とかしています。国語とか社会とか理科
SNSの海であなたを見かけました。10年経っていてもあなたの笑顔はあの時と同じように素敵でした。 ニューヨークにあるワシントンスクェアパーク。一面黄金色に染まった銀杏並木の中にいるあなた。苗字は英語です。僕が聞いていた苗字ではありません。 11月の東京。どこまでも澄み切った青空を仰ぐとあなたを思い出します。アナスイと組曲、BLUE LABELとヒステリックグラマー。趣が違う服を着こなせる。そんな人でした。あなたは僕に何を残したのでしょう。 * 初夏でした。
受賞のメールはnoteのディレクターの志村さんから頂いた。以前クリエイターズファイルの企画でインタビューを受けてからのお付き合い。いつもながらとても丁寧な文面。 授賞式で他の方に聞いてみた。 「すごく丁寧な、きめ細かな文章で頂きましたよ」 世には小説新人賞がたくさんある。長く続いているものや出版社が主催している新人賞はおしなべて丁寧な気がする。全体の講評、二次まで通過したものへの選評。選者、応募者、受賞者に敬意がある。今回のnote創作大賞の講評や選評、文字数多かった
その通りすがりの夜は今でも僕のどこかに沈んだままだ。 終電間際の乗客。彼らは輪郭がぼんやりしている気がする。明かりが足りないからかと思ったが、佇まいそのものが薄い。その輪郭は各々違う。 郊外に向かう車両の窓を霧雨が濡らす。車内の会話はない。皆、スマホを眺めている。席は全て埋まり、立っているのは僕含め数人。この時期僕は仕事が詰まっている。二週間以上遅い時間の帰宅が続いている。でも明日は休みだ。遠距離の彼女が部屋に来る。 電車に乱暴なブレーキがかけられた
前日の雨で桜の花はほとんど落ち、路面や水たまりに散らばっている。泥にまみれた花びらを踏んで歩く。靴の裏にも花びらはついているだろう。僕はいつからか桜の花が灰色を帯びて見えるようになった。 僕は「クラバート」と言うドイツの児童文学書をビジネスバッグに入れている。といっても分厚い本をそのまま持ち歩く訳にはいかない。なので本をばらし、その日の気分によって何章かを表紙に差し込む。なんだってそんなに面倒な事をするのか、なかなか説明しづらい。もし
ようやく予約の取れたキャンプ場。以前から家族三人と犬でそのキャンプ場に通っていた。芝生が美しく手入れされている。しかし最近のキャンプブームで滅多に予約が取れなくなってしまった。前に来た時はキャンプ慣れしていない人たちが夜遅くまで騒いでいた。今日はそんな人がいなければよいのだが。 高速道路を降り、少し山道を走ると視界が開けた。五月の初夏。青々とした草原と周りを取り囲む美しい山々が広がっていた。 「家は雨だったけど、晴れたね、良かった!」 小四の聡美が言う。この子がいつまで
これはジャック・ケルアック「オン・ザ・ロード」の読書感想文である。なかなか出てこない。引用がとても多い。ご了承願いたい。 あるアンケートから始まった。 少し前の事。小説の材料にしようとTwitterでこの様な投稿をした。 登場人物が20代後半の小説を書こうとしていた。20代後半から30代の自由と希望がテーマ。 「自由と希望」は「夢」でなく、「愛」でもない。 自由って自分が隷属している何かから抜け出したり、勝ち取ったりするものだと僕は考えている。それを20代後半からの彼
短編小説、好きですか?僕は好きです。 ・すぐ読める。 ・長編では見逃した、繊細な表現などが拾える。 ・その作家が持つ、余計なノイズなども入り込む余地がない気がする。 でも自分で選ぶと同じ作家ばかりになる。 で、お願いです。メンバーシップの掲示板にこの旨のスレッドを立てます。そこで皆さんの好きな短編を紹介して頂きたいのです。 また、書き込みたいけど、メンバーであることをシークレットにしている方もいらっしゃると思います。そのような方はTwitterのDMでメッセージをください
「人から叩かれるなら、小説家にならないほうがいいんじゃないか」 少し前にこんな言葉をTwitterで目にした。 書けば叩かれる時もある。 自発的な文章をnoteに書き始めてからたくさんのコメントを頂いた。 そのほとんどが私を勇気づけられるものであり、嬉しくありがたいものであった。本当に感謝している。お会いしたらお一人様あたり2時間ほどの熱い(暑い)ハグをしたい。何なら渋谷のスクランブル交差点で華麗な前転を決めようではないか。一緒にやりましょう。(バク転ではない。でんぐり返
※これは追悼文だ。俺なりの最大の弔意を表している。でも表現的に不謹慎だと思うかもしれない。本当に申し訳ない。 西の山羊が亡くなってしまった。 最初に「西の山羊が死んだ」にしようかと考えた。梨木香歩さんの「西の魔女が死んだ」のオマージュ。でも会った事ない人に「死んだ」とか言う。いくら失礼な俺でもまあ、どうかと思う。 (ふみぐらさんの長野は俺がいる新潟の西だ) 西の山羊が生きて死んだ。 西の山羊、これはふみぐらさんの事。 時系列がごちゃごちゃになるけど許してくれ。 ※人
今更だが書かせてくれ。 前にスペースで語った。だからもういいかなと思ったけど、肝心なところ言ってなかった。呑み書きに乗じてテキストとして残しておこう(マリナさんありがとな)。 note創作大賞。とんでもなく魅力的なコンテストが開かれた。 「あなたの作品が書籍化・映像化されるかも?」 来たぜ! 再三鬱陶しいぐらい言っているが、俺の望みは書籍化だ。 小説でな。 しかし、noteから小説が書籍化されたのは非常に少ない。現時点でnoteから書籍化されたのは約160本。その中で小説
前の日の雨で桜の花はほとんど落ち、路面や水たまりに散らばっている。泥にまみれた花びらを踏んで歩く。靴の裏にも花びらはついているだろう。僕はいつからか桜の花が灰色を帯びて見えるようになった。 僕は「クラバート」と言うドイツの児童文学書をビジネスバッグに入れている。僕にとってスヌーピーのライナスの毛布のようなものかもしれない。 名門と言われる大学のテニスコート。そこで行われる国際大会。国際大会と言っても大坂なおみや錦織圭が出る訳ではない。ツアー最下部のフューチャーズ。世界を
新宿の路地裏。サラリーマンの胸ぐらを掴んで突き飛ばす。 しばちゃんが倒れたサラリーマンを起こす。 「てっちゃん、軽いジャブにしとくね」 しばちゃんはひまわりのような笑顔で言う。 あごを打つ。人間の頭蓋骨は後頭部で首の骨とつながっている。あごを打てば、そこが支点となって『てこの原理』が働き、脳が揺れる。倒れる時に頭をコンクリートにぶつけないように気を付ける。外傷がつくことなく上手に倒れてくれる。 危なそうな時は支えてあげる。 最近は皆、現金をあまり持ち歩かないのでス
中年男性は変化しない。 世の物語の主人公は思春期から30代。 本棚にある小説やまんがを眺め、そして今まで見た映画を思い出す。中年男性が主人公になるものは少ない。あったとしても彼らは薄らぼんやりしている。そう、中年男性は物語にならないのだ。 物語とは、主人公が何かをきっかけに選び、変化をする。 変化出来なくても、もがく。呆然とする。 中年男性は選択しないし変化しない。変化できなくても、もがかないし、呆然ともしない。その場にいるだけだ。 一概には言えないが、中年であっても
俺はカネを払っていない。 映画を見に行かない。レンタルもしない。録画されたものを見る。 本を買わない。図書館で済ます。 音楽はサブスクリプション。Spotifyでしか聞かない。月額980円。CDを買うことはなくなった。 雑誌を買ったのは何時だろうか。覚えていない。 家で飲むコーヒーはスーパーの棚、一番下に置いてある。外で飲むコーヒーはコンビニ。スターバックスのカフェフラペチーノって下手すりゃ俺の昼飯2食分。 服はユニクロ。縫製も生地も申し分ない。何が申し分ないって、それは