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集英社「小説すばる」にコラム書いた。その他雑感

集英社「小説すばる」から声をかけて頂き、コラムを書きました。
12/15発売2024年1月号です。
そんなお話です。

中学3年生を持つ親御さん。いかがお過ごしですか。受験ですね。
何でも中学3年生の12月からの3ヶ月間。この時期が人生で一番学力が伸びる時期だそうです。
まあ、よく考えれば今まで何もやっていなかった子が一日2時間勉強すれば、上がりますよね。

なんでこんな事を書いているかというと、目の前に我が家の中三男子がいます。勉強とかしています。国語とか社会とか理科とか教えています。

彼氏、本読むのは好きだし(深夜特急とか池井戸潤とか)突然マネーロンダリングとかの話を吹っ掛けてくる。おまけに朝、全国紙を長々と読んでいます。早く着替えろとか僕に怒られるわけです。ちょっとおもしろいので何とかしてあげたいわけです。

特筆すべき特技がない限り、勉強してある程度の学力をつける。それは今後最低限の生活をするにはどの国でも必須だと思います。
時々周りにいる「中卒だけど成功している!」という方は元々の才覚があり、それを発揮できた訳です。つまり特筆すべき特技です。
それを見た周りの人が「今更学歴なんて意味ないYO」と言うのはいかがなものかと。

なんてことを目の前の彼氏を眺めて考える訳です。
もちろん偏差値が高い高校大学=幸せな人生。そんな訳はありません。ここを曲解する素敵な方々が世にはいるので山羊的ポジショントークです。

先ほど国語を教えているとか書きました。私、現代文は昔からぶっちぎりの点数を頂いていたので余裕で教えることができます。軽い自慢です。
しかし誤字脱字は酷いものです。noteを始めて色々な方と同人誌など何かしらご一緒させて頂きました。ありがとうございます。その際の私の誤字脱字、これでどれだけご迷惑をおかけした事か。特に「真夜中インター」に出稿した時など、酷い有様でした。お三方、ごめんなさい。

自分で書いたものは己の「念」が既に投影されているから見つけにくいのだ!などと、自分の中で言い訳しています。反省していないのです。だからまた繰り返すのです。駄目人間です。

「念」とか書きました。私は小説とか書いています。そこには念が入ります。その念を形作るのは今まで体験した事や見聞きしたものです。その中には小説や音楽も含まれます。
最近気が付いたのですが、文章/noteを書き始める前と比べ今まで読まなかったもの、聴かなかったものを受け入れる事が出来る様になった。そんな気がします。

今までだったら藤井風とか食わず嫌いしてたはずです。彼のデビューシングル「何なんw」。題名だけでおっさんをイラッとさせます。それが今では通勤行き帰りの車中で藤井風、激しくヘビロテです。

メロコアとかもそこまで聞かなかったです。今聞いているのは下に貼りつけたインディーズもいいところのFAILHEAD。CDも配信もない。youtube登録者619人。
時間や衆人の洗礼を経たものを聞くのが「タイパ」がいいと思っていましたがそんな事も無いようです。僕の頭も僅かですが柔軟になったかもしれない。

平日、書けねぇとしょんぼりしている深夜2時。明日も仕事があるのに。そんな時に聞くのです。この年で東京とか、熊より人が多いところ行っちゃう?とか思います。

しかし困った事もあります。いろんな小説を読みます。そして自分の小説を書き始めます。
「あ、さっき読んだみたいなオチとか書かないと、読んでいる人を惹きつけられないな」
「ざらざら感を出そうと思ったけど、この間読んだあれに比べたら全然駄目じゃん」
先人が頭にちらつきます。ネットでご尊顔まで検索します。うお、髭かよ、うお、童顔かよ、うお、barのカウンターの椅子の上で胡坐かよ。
ペースが思いっきり落ちます。

まあ、9月から11月まで3本短編書いたからいいんじゃない?
もうね、アホかと、馬鹿かと。20代じゃないんですよ。時間ないんですよ、あなた。3か月で短編3本のペースだと本出す頃には120歳だぞ。死んでるじゃん(長編は書いているんですが)。
目の前の中三男子とか、TwitterとかFacebookとか、youtube整体骨ボキボキ動画とかシベリアンハスキーもふもふ動画に気を取られずに書けと。

「ドラゴン桜」、ご存知でしょうか。東大に進むための高校生に様々な勉強方法が授けられます。その中の一つがネガティブ感情をパワーにする「バカ鉢巻」。
それをするしかない(リンク先ご参照あれ)。単なる「バカ鉢巻」ではだめなので、「お前は小川哲でもなく、伊坂幸太郎でもなく、太宰治でもないんだよ、バカ!」にしようかと。https://x.com/corkagency/status/1734171864858349924?s=20

しかし「バカ鉢巻」で息子の前に現れる勇気はありません。

※創作大賞で出版が決まり、直し真っ最中の秋谷りんこさん、せやま南天さん。このおふたりには本当に頑張ってほしい。校了になったかもしれない。本屋さんに並ぶのが楽しみでしょうがない。上田聡子さんと同じく、僕のポーラスタア。

切羽詰まってへらへらしていたら、Twitter(X)でよく分からないアカウントからフォローを頂きました。プロフに意味深な事が書いてあります。そんな時はメッセージを見た方がいい。これ鉄則。ちゃんとDMがありました。

詳細は省きますが、集英社「小説すばる」から突風の様な締切が提示されたコラムの依頼です。
うひょー!
しかし、何回読んでも突風の様な締切。

突風の様な締切で一つ思い出しました。

昔、セールスプロモーションの会社に籍を置かせて頂いた時です。某広告代理店にプレゼンに行きました。相手は40代キレキレの体育会系男性です。
「もうちょっとさ、いいのないのかな。あ、もう飯の時間じゃん。俺、飯行ってくるからその間に考えていて。このテーブル使っていいから」
1時間という突風の様な締切。いくつか考え、そのうち一つを大幅に練り上げるという事になりました。突風締切得意かも。

ちなみにその方、本当に素敵でした。その方の部下、20代後半の女性社員と名刺交換しました。その女性は僕の名前を見て「ブふっふぉっ」と吹きました。
僕の名前は「木村哲也」です。何十回も経験していますが「木村拓哉」と重ね合わせて吹いた訳です。もう慣れましたけど。でも僕の担当の男性がブちぎれました。

「お前、人様のお名前を見て笑うってどういうことだ、お前、今から自分の名前を丁寧に500回書いてこい」

さすがのCED(今CEDで検索してもあの広告代理店は出てこないんですね)。

彼がいう「500回書け」。言わんとすることがよくわかりました。
帰りの地下鉄日比谷線。暖かい風呂に入っている様な、そんな気持ちになった事を覚えています。
ちなみにですが、先日、四谷で大量に名刺交換する機会がありました。お一人、自分のお名前500回丁寧に書いてこいと言いそうになる方がいました。でも僕は大人です。まだ「do-re-mi」繰り返しているけどね。

集英社「小説すばる」。小さなコーナー。800字1ページです。本当に小さなコラム。でも声をかけて頂いたことが嬉しいです。

「小説すばる」編集の方とのやり取りですが、プロでした。今回は当然入稿やら校了やらがありました。すげぇもんです。私が得意とする誤字脱字の指摘はもちろん、文章を引き立たせる効果的を最大限にする単語の入れ替えの提案。極めつけはタイトルの一部変更。私の文意を理解し、上昇させてくれました。

800字の中でも何とか山羊的な「念」を込められたかなと思います。

集英社「小説すばる」
「のりがたり」という月替わりのエッセイ。「乗り物での移動時に起きたエピソード」

よろしければお手に取って頂ければ幸いです。発売は12/15。
※松井玲奈さんの新連載も始まるよ!
※三浦しおんさんの短編もあるよ!


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