殴られた記憶がある。 かなり昔の話だが忘れてはいない。 殴られたら誰だって痛い。 誰だって痛いから、誰だって 相手の痛みを想像できないはずはない。 それなのに相手を なぜ殴る事ができるのだろう。 自分がされて困る事を相手にする人は まったく理解に苦しむ。 本当に困った人だ。 嫌われても仕方ない。 それでも構わないとしたら、不幸な人だ。 いつか殴り返されるだろう。 あるいは、刺されるかもしれない。 たとえば、ほら こんなふうに背後から、不意に。 A
昨日今日が見えすぎて
君たちはだまされている。 こう言われて君は、そうだろうか と思ったのではないかな。 あるいは、そんなことはない と思ったかもしれない。 または、そうかもしれない なんて思ったり。 いずれにせよ、君は思った。 こう言われたために、君はそう思った。 つまり、反応してしまった。 与えられた刺激に対応してしまった。 そりゃそうだ。 刺激を無視するわけにはいかないものね。 置かれた状況によっては 命にかかわるかもしれないわけだから。 だけど君、それによって 君はだまさ
少し 少し ほんの少し 少しずつ 少しずつ ほんの少しずつ ほんの少しでいいから ほんの少しずつでいいから 前へ 前へ 前へ進もう 急ぐことはない 諦める必要はない ほんの少しでいいから ほんの少しずつでいいから 前へ 前へ 前へ進もう 前進 前進 また前進 Just a Little Forward A little bit Just
あんたらと一緒にせんといて
赤いちょうちん 紺のれん いらしゃいの声聞けば ここは地鶏屋 信玄よ 焼き鳥 つくね 手羽先 かしら まずは一杯 栄町 お座敷それとも カウンター こちらへと誘われりゃ ここは遊び場 信玄よ ゴルフコンペ ボウリング あとで一局 碁も打てる ねじり鉢巻き 恋もする 裏表 焼き妬かれ ここは劇場 信玄よ 仕込みの辛さ 笑顔で拭い たまにゃ一曲 生ギター Song of Shingen Red lanterns, dark blue noren
桜散る散る 牡丹は落ちる 背中で咲いてる緋牡丹ひとつ あんた あたいの花弁を見たんかい? そいつぁ 命あっての物種だぜ 万華鏡アーティスト 緋牡丹おしん ここにあり 娘盛りに釣糸とエレクトーンをひいて 浮世の憂さをSpoonでかき混ぜる ダンナちゃんは夜勤かい? ばっしゅは朗読してるかい? panちゃん どこへ行ったんや? 大阪なめたらあかんがな 太陽の塔は今日もにょっきり立ってるぜ もうかりまっか ぼちぼちでんな なにゆうてまんねん 百万年
父が台所で料理をしている。 フライパンの上で卵焼きを作り その上に切り揃えたほうれん草を載せ さらに全体を筒状に丸めようとしている。 なかなかおいしそうだ。 だが、父の料理姿など見た記憶がない。 そもそも父は亡くなったのではなかったか。 いつの間にか、父の姿は消えている。 台所にいるのは母てある。 フライパンの上で牛肉を焼き その上に切り揃えたねぎを載せている。 それから全体を筒状に丸めるのだろう。 「おいしそうだね」 母に声をかけると、小言が返ってくる。
日本の総人口、前年と比べて60万人近く減少。 外国人を除けば、83万人以上減少したそうな。
海岸なのに海は見えないのだった。 大男が大きなオートバイに乗り 砂浜を颯爽と横切ろうとしている。 心配していると、やはり横倒しになった。 水着の女たちの大袈裟な悲鳴が聞こえる。 それからどうなったのか あまり気にせずハンバーグ屋へ入る。 じつは違うのかもしれないが とにかくハンバーグ屋のような店だ。 やや長い行列がレジ前にできている。 私が並んだ列のすぐ手前の男が 隣の列の女と会話をしている。 「それは嘘だろ。絶対に嘘だ」 「だって、こんな辺鄙な海じゃな
夕闇の荒野をひとり くたびれた旅入が歩いていた。 遠く人家の灯りが見える。 頼めば泊めてもらえるかもしれない。 不用心な事に その家の玄関の扉は開いていた。 見知らぬ家族が食卓を囲んでいる。 老婆がうなずく。 「おかえり。遅かったね」 若者が立ち上がる。 「おかえりなさい。お父さん」 美しい女が微笑む。 「疲れたでしょう。あなた」 旅人は走って逃げる。 「嘘だ。こんなのデタラメだ」 裏返しの星座には見覚えがない。 流れ星が夜空を昇ってゆく。 A Tra
その意気や よし