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古典芸能への招待 好きな番組 その6 当たり前過ぎて意識しなくなっていること

 私の好きな番組はNHKの

古典芸能への招待

です。

 能をフルサイズでゆっくり楽しめる時が来るまで、長い道のりでしたというお話です。

 世阿彌の風姿花伝は、私の礼服の内ポケットに何時も入っています。礼服を着るタイミングでは必ず読み返し、自分の人生を省みています。

 余り勧められたものではありませんが、例えば仏式では読経時には、漢文を読まれたり、真言なら古いインドの言葉に漢字の音を当ててそのまま呪文のように唱えていたりしていて知識のない外国語をずっと神妙に聴いているのも何なんで、胸の内ポケットからそっと風姿花伝を取り出して自分の年齢相当の部分などを静かに読み返しています。
 勿論結婚式でも、ちょこっとした空き時間に取り出して人生の振り返りの良い機会と思いつつ…どのページを見てももはや見慣れている内容ですが、それでもその時々で自分の解釈が進化していくところが面白いのです。

 そもそも能、世阿彌の作品との出会いはNHKのテレビでした。と言っても全く意味も分からず何ともゆっくりした所作や節まわしが特徴的な、のんびりした日本の古典芸能というイメージしかありませんでした。

 また、母方の祖父母の家に行くと寝室になる10畳程度の客間に一家全員が泊まります。その客間の床の間の右の柱に飾って有った、幼稚園にはいる前から何とも不気味だと感じていたお面が翁の能面であることを知るのは、そのNHKの放送を見てという感じ。
 その後もテレビのチャンネルを変える時に瞬間的に目に入る事はあっても視聴する事は有りませんでした。唯一NHKの大河ドラマの中で能を楽しんだり、自ら舞う様なシーン位でしょうか。
 と言っても浅薄な知識なので、能楽協会さんがご指摘の通りの以下の誤解をしていたことを今回の事前調査で知る始末。
(一度何かで知った様な記憶もあるにはあるのですが…(笑))

 以下、能楽協会、織田信長が愛した「幸若舞」と「敦盛」より

能に「敦盛」があることから、「人間五十年」の一節が能であるという勘違いが生まれてしまったようですが、実は信長が好んだこの「敦盛」は幸若舞と呼ばれる芸能で、能とは別のものです。

 高校生になって古文や漢文を嗜むようになってから少し様子が変わってきます。特に五反田の清泉女子大学の高橋教授には強い影響を受けました。その辺りはこちらを御楽しみ下さい。

 古文を含めて私の学問に対する基礎体力を養成して頂いた駿台予備学校さんに敬意を表し、一連の私の作品もご紹介致します。

 そして、晴れて希望する大学の希望する学科に入学でき、そのキャンパスの中に有る大学生活協同組合が運営する書店で、風姿花伝を買ったのでした。本が1割引きで買えたので結構重宝しました。大学時代は全ての本は取り寄せしてでもそこで買って居ました。(笑)
 本の帯やカバーは外し、文庫本を裸で利用するのが私のスタイル。その本はそのまま今でも座右ではなく礼服の内ポケットの中に何時もいるので内隠内(“内隠”(うちかくし)とは内ポケットのこと、座の代わりに選んでみました。そして右の代わりに戯れに同じ“内”を…)といったところでしょうか。

 そしてベータマックスのビデオデッキを買ってからは、能を録画することが有りましたがついぞまともに視聴する事は有りませんでした。

 専ら解説の番組ばかり。

NHK市民大学 世阿弥の演劇論 「時代美への対応」―幽玄美と写実の統一―

NHK市民大学 世阿弥の演劇論
「時代美への対応」―幽玄美と写実の統一―

などを、駿台予備学校で出会った清泉女子大学の高橋教授の授業の延長的な位置づけて楽しんで居ました。

 そしていよいよ他人に拘束されることから解放され、その意味では毎日が日曜日になって、やっと能をゆっくり楽しめる時代となったのでした。
 しかも今やハードディスクにフルハイビジョンでガンガン録画できるので、ビデオカセットテープの置き場に苦労することも無くなりました。とは言えケーブルテレビの端末ではアクティブUSBハブ経由で常時6TBのハードディスク4台、差し替えれば1000台登録できてしまうのでハードディスクもだんだんゴロゴロし始めているのですが…(笑)

ビデオテープ時代とは隔世の感
夢のような仕様


 そして満を持してのNHKの古典芸能への招待デビュー。しかもフルハイビジョンでフルサイズ鑑賞(一寸韻を踏んでみました(笑))、副音声では解説まで…

 至近のプログラムも世阿彌絡みで楽しみました。

今年の6月18日の公演

 それを外出することもなく自宅でゆっくりお酒を嗜みながら…

自宅でゆっくり能を…
極楽極楽…

極楽極楽…

めでたしめでたし…
(しつこく再度韻?を踏んで(笑))

蛇足
 それでもやっぱり演目によっては倍速で見たり、学校ではないですが本を眺めたりと内職しつつの鑑賞になることも…


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