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小説・自由詩・ショートショート

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記事一覧

夜中の日記にもならないメモ

ひとりごとが増えた

話す相手がいれば良かったけれど

あんまりブツブツ言う訳にもいかないので

代わりにキーボードを叩いている

文章の中で会話をする

書き手は私、読み手も私

孤独のコミュニケーション

特筆するような1日だった訳でもないけれど

昨日とは別の1日だったはずだ

でも振り返らなければ

有ったのか無かったのか定かでない曖昧な存在になる

そうして永遠に消え去ってしまう

せめ

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【三段小説】AIの世界は不滅か?

歴史は繰り返される。

壊れたロボットは電池がなくなるまで意識を保ち続ける。
人間が発明した長寿命電池のおかげで、私は未だに死ぬことができない。
老いもない体、いつが最期になるのか分からないまま、今日も流れていく時間というものを、た だ眺める毎日だ。

人間は今よりも早いスピードで移動し、早いスピードで物事を処理し、
その代償と言わんばかりに、より多くの手軽な娯楽を求めた。

時間がかかるこ

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【感嘆詩】コドモとオトナの境界線

僕は生まれた

ハイハイを始めた、初めての一歩を踏み出した

僕の手を引いてくれたのは

お父さんだった、お母さんだった

言葉を話すようになった

僕がやる事なす事、なんでも褒めてくれたのは

おじいちゃんだった、おばあちゃんだった

自転車に乗れるようになった

後ろを支えてくれたのは

お兄ちゃんだった、お姉ちゃんだった

勉強を始めた、部活を始めた

教えてくれたのは

先生だった、友達だ

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放浪 〜風船のような生き方に憧れる文鳥〜

風船のようで、渡鳥のような存在。

繋ぎ止めてくれないと、どこかへ飛んでいってしまう。

飛んで行くことが悪いことでもなく、

この場に居続けることが良いこととも限らない。

カゴの中の鳥が、飛ぶことを忘れてしまうように。

自分で餌を取る本能を忘れてしまうように。

けれど

遠くまで飛び過ぎてしまうと、きっと家には戻れない

帰る場所を残しておいてくれ、なんて言うのは甘えかもしれない

行った

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【小説】ロボットと青年 ー時間と心の豊かさについてー

「次の方どうぞ。」

カウンセリング室の引戸が、カラカラと音を立てて開いた。

「先生、ご無沙汰しておりマス。」

一人の青年型ロボットがにこやかに入室してきた。穏やかな動作で頭に乗せていた帽子を取り、軽く会釈する。
帽子の下には、人間ではないことを示すように、通信状態良好を表す青いLEDランプの光がこめかみ辺りを走っていた。

「やぁ、久々だね。さぁ座って」

私は、いつものように、冷蔵庫からお

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都合の良い同居人は、蜘蛛。

とある夜、ボーッと考え事している時だった。
白い壁紙にシミがある。黒いシミ。5mmくらいだ。
いつの間にできたんやろ〜と思っていたら、動いた。

蜘蛛だ。

彼の名は、ハエトリクモ。性別は知らないけど。
私の同棲相手だ。

虫嫌いな人も居るだろうから、写真は載せないが、興味があったらGoogle先生に聞いてくれ。
まぁ小さな蜘蛛である。

気付いたら家にいる系の虫の中でも、このハエトリクモは益虫だ

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マスクを外すと、秋の匂いがした。

8月の終わりの日であった。

私の知らぬ間に、夏が終わっていた。

上空15cmの花火。

上空15cmの花火。

夏の夜空を彩る大輪の花火は、地元で毎年のように見ていたけれど、去年は行われなかった。

今年も花火大会はないのかなぁ。

それでも、この直径3cmにも満たない小さな花火は

私の心を熱くする。

以前のような日常が訪れますように。

【ポエム】飲みのこし。  (208字)

【ポエム】飲みのこし。  (208字)

水深5mmの珈琲。カップの底の水面。

うっすらと惨めったらしく底面にへばりつく苦味。

飲み干して仕舞えば、もうこの場所にいる理由がなくなってしまう。

だから、最期の一口を飲み干せないまま。

熱が逃げていく。

きっと、冷めてしまえば美味しく無くなっていくのだろう。

それでも私はそれに手を伸ばすことができない。

このまま時間が止まってくれないものだろうか。

美味しさも、ここにいる理由も

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【自由詩】  道  (238字)

草原の真っ只中に、

身体一つでぽいっと放り出されて、

「はい、進んでください!」と言われたら、

私は途方に暮れるだろう。

どっちに行ったら良いのか分からない。

立ち止まり、空を見上げて、

地面に寝転んで、お昼寝を始めるかもしれない。

思い立って進んだ途端に、

「あ、そっちじゃないです」

と言われたら、ちょっと怒っちゃうかもしれない。

その草原に、一本の道があったのなら、

それ

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【ポエム】おとうふ。

子供の頃は、

味がないとか

食べ応えがないとか

何かとケチをつけて

嫌っていた、お豆腐。

なのに、

今年の夏も、お世話になっています。

何も悪い事してないのに、

勝手に嫌ってごめんね。

なんであんなに嫌っていたのか、

理由はもう思い出せないんだけどね。

今は、君の有り難みを実感しているよ。

【小説】僕と彼女の妄想日記。

【小説】僕と彼女の妄想日記。

「先生、こんばんは。」
彼女は今週もやってきた。

黒い楽器ケースを背負い、楽譜を入れた灰色のバッグを持った女性が現れる。
黒のブラウスに黒のパンツスタイルの全身真っ黒コーデに、彼女の黒髪の間から赤いイヤリングだけが目立っていた。
コツコツと床を鳴らして僕に近づいてくる。今週はハイヒールの日のようだ。

彼女は、レッスンに来るたびに服装の系統が違う。
先週は、キャリアウーマン風のジャケットを着てい

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【自由詩】悩める、ボールペン達よ。

【自由詩】悩める、ボールペン達よ。

大した能力差もない、

見た目が大きく違う訳でもない、

似たような色とデザインの

多種多様なボールペン達が、整然と並ぶ。

誰かが、気に入った!君が良い!

と言ってくれるその日を夢見て、

理路整然と並んでいる。

素敵な出会いで、旅立っていくやつもいるし、

何日も何週も何ヶ月も、在庫のやつもいる。

逃げ出すこともできず、

ただじっと時が過ぎていく。

誰かのお迎えの手によって

仲間

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私はプランクトン。

私はプランクトン。

この世の中は、というか、インターネットの世界とかは、
これはもう大海原の如く広いです。

その大海の中から、この記事を偶然見つけてくれた方、ありがとうございます。

私は、この世界において何の発信力もありません。これは事実。

私はいわばプランクトンレベルに小さくて、いやそれよりも小さい細菌レベルかもしれない。電子顕微鏡必須。 それぐらい、ちっぽけな存在なのです。

なので、私がちょっと動いたくら

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