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案山子の独り言
2022年3月30日 17:36
夏の午後私のお家の隣から蝉が庭木に飛んできたなんて大きな声でしょうこれじゃ昼寝も出来やせぬあまり大きな声なので追い出されてきたのでしょうホウキを手にしてみたけれど短き命と思うたら追い出すにしのびなしここで存分鳴くがええ私の昼寝はどこでもできる
2022年3月29日 19:07
椿の花が落ちました突然ぼとっと落ちました縁起悪いと言うけれど ピンピンコロリン 潔くみんなそうなりたいと願ってる春風そよぐ路地の裏椿の花が落ちました
2022年3月26日 20:54
あの人なんだか悲しそうあの人なんだか寂しそうあの人なんだか苦しそうあの人なんだかしんどそう雨中とぼとぼ歩いては町の中に消えてゆく元気のないおとな達私の真っ赤な雨傘をそっと貸してあげたなら少し元気が出るだろか私がおとなになったなら真っ赤な雨傘さしながらピチピチチャプチャプランランラン元気に歩いていきたいな
2022年3月23日 16:27
雲ひとつない青い空黄色い稲のその向こう一本道のその先で私を待ってる人がいる茶色い町に囲まれた少し小高い丘の上そよ風吹くその中で私を待ってる人がいる日の出は見事な曙色夕暮れ時は茜色日暮れはほのかな色提灯夏は煌めく夢花火一緒に丘から見た景色今も鮮やか甦るいまだ心は夢の中目を瞑って開けたらばこの夢覚めやしないかと思えど悲しさ増すばかり寄せては返す思い出に追憶儚く
2022年3月20日 09:44
今日 歯が一本抜けましたこれから歩むこの道が希望ばかりでないことを私はちゃんと知っている失うことの多い道何をどれだけ失くしても私は私自分だけは失くさない
2022年3月18日 12:33
ひびが入って危ないと柱を交換するという鋸で切られるその姿心を痛めずいれようか私は知ってるあなたのことを地震があったあの時も台風が来たあの時も2階で騒いだあの時も疲れてもたれたあの時もあなたはびくともしなかったしっかり支えてくれましたひびが入っしまったは支えてくれたその証役目果たして行き着く先が危ない 変えます さようなら何と悲しいことでし
2022年3月15日 08:06
ここにいる牛も 豚も 鶏もみんな連れていかれてはお肉にされると爺は言うこの子も その子も あの子もみんなお家に行っては食べられる爺にひどいと伝えたらおまえのお腹の飼虫がぐーぐー鳴かなきゃ止めるべと大きく笑って言うのです野道小道よ帰り道鳴くな鳴くなと帰り道夕暮れ時のお家前飼虫ぐーぐー鳴きました何にも知らないあの子たち何にも言えない私です
2022年3月14日 06:28
しらす飯を頼んだら熱々ご飯のその上で死んだしらすの大群が私をじっと見つめてる大事な命というけれどこうして命を奪っては私はのうのう生きているこんなに命頂いてつまらん生き方していてはしらすたちが浮かばれん命を力に変えていく今日も明日も明後日も
2022年3月11日 05:56
あの日海から黒い手伸びてきて全てを奪ってしまったの大きな声で精一杯方々叫んでみたけれど消えゆく町の騒音に 只々飲み込まれるばかり力一杯握ってた私の大事な宝物みんなみんな引っ張られ海に盗られてゆきました情なき真っ黒海坊主私があなたに何をした答えもしない海坊主こんなことして何になる全てを奪ったこの海が何もなかったかのように平然としているそのさまに私は唖然とするば
2022年3月7日 06:22
空も海もなーんでこんなに広いのになーんで何も置かないのお金がなくて買えないの欲しいものがないのかなあれあれ 雲さん飛行機さんおやおや 船さんお魚さんひっきりなしにあっち行きひっきりなしにこっち来る「ものがあったら通れんね」母さんにこにこ言うのですものを置いたら邪魔になるだからものを置かないのなんて優しいことでしょう私も空と海のよう広い心を
2022年3月2日 17:34
「だるまさんがころんだ」振り向けば雲ひとつない青空と黄色輝くひまわり畑ゆらゆらひまわり揺れるけど目を瞑ってあげましょう「だるまさんがころんだ」振り向けば果てしなく続く黒い影戦車 ミサイル 兵隊さんひまわり踏んで進んでいくどれも止まってくれないね「だるまさんがころんだ」「だるまさんがころんだ」動けば失格 知らないの私の声じゃ届かない私は見ているよ何もしてな
2022年3月2日 15:28
いっぱい足跡つけたとて昔も今も変わらない寄せては返す夕波に跡形もなく消されてく静かな浜の夕暮れはさまよう私の影ばかり