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【#創作大賞感想】「ナースの卯月に視えるもの」で蘇る感情の波が前向きな私を作る
長くなりますが「ナースの卯月に視えるもの」の感想に入る前に私の母についてお話をさせてください。
私の母は呑気で怖がりで自分ひとりではどこにも行けないほど方向音痴でした。家の近所でさえ道に迷うので妹と大笑いしてからかいました。母は「馬鹿にして!」と怒るのですが仕方ありません。だって、信じられない迷い方をするのですから。
激しい方向音痴のせいでしょうか、姉妹でからかいすぎたせいでしょうか。いくつも
『紅のはらほろ散りて新しきーー』ヒスイの春短歌
『紅のはらほろ散りて新しき
花をとどける母ゆきし春』ヒスイ
(くれないの はらほろちりて あたらしき
はなをとどける ははゆきしはる)
仏花とは、白に限るようでして。
ところがうちの母は『赤』が好きな人でして。
なので仏前の花にも赤いカーネーションが入っております。
こういう決まりには、ふだん、ひどくうるさい姉ですが
いっぽんの赤いカーネーションだけは
黙って見逃がしております。
そ
『女子留置所の中』【5715文字】 #エッセイ部門 企画参加作品
『女子留置所の中』
「わかっているわよね」
店を出た私に中年女性が声をかけた。
鋭い視線で、私の前に立った女に向かって私は頭を下げた。
引きずられるようにして店の事務所へと連れて行かれる。女は私を離さないとばかりに腕を強く握っていた。
事務所では店への弁解の余地無く警察官へと身柄を引き渡された。ヨロヨロとした足取りを両脇で警察官に支えられながらパトカーに乗り込む。
パトカーの後部座席は思った
「忠実な伝書鳩と、終わらない断捨離」
年の暮れから病になった母は、最近しきりと断捨離をする。
それも『人にあげたい断捨離』だ。
「これは従妹のAに渡して」
「こっちは義姉へ」
まるで断捨離じゃなくて、形見分けじゃないかと思うが、母に逆らうのは面倒なので私は黙って、伝書鳩のように、母の断捨離を運んでいく。
「そろそろ渡す相手もいないんじゃないの」
聞いてみると、母はニヤリとした。
「まだまだあるわよ。あんたの知らないひとも、大勢
メメント・モリ。死じゃなくてあなたを想うそんな日々だった。
あの大震災からもう10年経ったんだと思いながら、
10年前のじぶんの日記をみていた。
あの頃、ツイッターを始めた知り合いの人が
何人もいたけれど。
わたしはなかなか手が出せなくて。
なにかを言ったり書いたりすることがすごく
こわくなっていた頃だった。
いつかやるよって友人には言いながら
やらないまま日々は過ぎ。
あの頃からなんとなくだけど、SNSやっていないと、
世の中に存在し