「銃口からピース薔薇」ヒスイの毎週ショートショートnote
巨大な『ピ』は、北極海で生まれたらしい。
『ピ』は傾きつつ北大西洋へ向かい、カナリー海流にのって
北と南アメリカの境目をくぐった。
『ピ』が運河をゆくところを見たとパナマ人はいい、
コスタリカ人は「ぴょんと飛んだ」と言った。
アルゼンチンでは海岸沿いをゆく『ピ』を見たという噂が流れた。
巨大な『ピ』はペルー海流を経由して、北赤道海流から黒潮へ。
ゆっくり流れる『ピ』は優雅で、人々はすべての手を止めて見とれた。
そしてある洋上で、ひとりの少年が『ピ』に向かってロケットランチ