『女子留置所の中』【5715文字】 #エッセイ部門 企画参加作品
『女子留置所の中』
「わかっているわよね」
店を出た私に中年女性が声をかけた。
鋭い視線で、私の前に立った女に向かって私は頭を下げた。
引きずられるようにして店の事務所へと連れて行かれる。女は私を離さないとばかりに腕を強く握っていた。
事務所では店への弁解の余地無く警察官へと身柄を引き渡された。ヨロヨロとした足取りを両脇で警察官に支えられながらパトカーに乗り込む。
パトカーの後部座席は思った以上に狭い。ガタガタと身震いをする私を他所にパトカーは静かに警察署へ向かった。