にっしー

処女作は「愛憎列車」。自己紹介みたいなもの。 自分の人生の解像度を上げられたらいいな。

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処女作は「愛憎列車」。自己紹介みたいなもの。 自分の人生の解像度を上げられたらいいな。

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愛憎列車

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葉桜

満開の桜よりも、葉桜を見る方が好きだ。 散ってゆく者と新しく芽生える小さな始まり。 大切な春を、過去を思い出させてくれる。 それなのに世間は、満開指数だとか公園で…

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アンチダイバーシティ

※この物語はフィクションです。僕が書くこの文章に差別や侮辱の意味合いはありません。もしそれをこの文章から感じるとしたならば、それはあなたの内在的な差別心を投影し…

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 22歳を目前に、眠れない夜が続く。寝つきも悪く、たとえ寝れても1〜2時間ほどで起きて、また寝れない。そんなことを朝になるまで、もう二週間ほど繰り返している。  惜…

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台湾に1週間、「暮らすみたいに遊びたい」を胸に掲げてお邪魔した。予定を詰め込みすぎずに、心のままに街を歩いて、そこにあるものをレンズに写した。そこで暮らす人たち…

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喪失の秋

「心の中で生きてる」なんて信じないし気持ちが悪い。 その死を否定することこそがその死を無価値にする。  得るということは、いつか失うということである。それを初め…

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【シロワッサン】かつて天才だった俺へ。

過去の自分(9歳と6歳の頃の)天才的な作品を紹介していきたいが、少しだけ。大人になる悲しさを愚痴らせてほしい。 作品は下の写真載ってるところからです。飛ばして〜 …

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自分との解釈違い【成長について】

もし、あなたが、これより後に並ぶ文を読んで何かを学ぼうと思っているのなら辞めた方が賢明だ。これから書くことはわざわざ執筆しなくても自分でも体感している事であるし…

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愛憎列車

愛憎列車

湘南新宿ライン宇都宮行き。帰省のために乗り込んだこの電車は間もなく川崎に着くところ。南武線の車両は黄色なのを初めて見て少し気分が上がる。その隙にこの車両では数人降りて数人乗り込んでくる。そんなことを目的地まで繰り返して行く。地元は茨城の片田舎なので電車よりも車に乗ることが多かったが、中学校に上がるまでは東京に住んでいたこともあって電車に揺られるのは嫌いじゃなかった。とりわけ、父と青春18きっぷを使

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職場のご飯が悪いんじゃなくてさ

職場のご飯が悪いんじゃなくてさ

元気付けてもらいにいくんだもんね
あなたのミスじゃないみたいだけどさ
俺との電話より元気がつくんだもんね
あれだけしたいって言っていたのにさ
だから職場でごはんに行きたいんだもんね
俺はあなたの職場のことはわからないからダメなんだろうね
じゃあ一生だめなんだろうな
職場も生まれも好きなものも性別も違うひとたちはきっと支えて生きてはいけないんだろうな
なにも期待されてないのに離れないでって言われても

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わがままで子供な僕

わがままで子供な僕

自分のわがままが通らないのは気分が悪い。
俺だっておたくのわがままを黙って受け入れて喧嘩しないようにしてきたのにさ。
おたくがこれまでどれくらい俺のわがままを我慢してきたかなんて知らないし、でもそこは感謝しているよ。
だけどどっちかが譲らなきゃいけない時には俺が折れてきたと思うんだよね。
え、「その『折れてやってる』感がウザいんですか?」そうですか、じゃあもうこうしましょう。

おたくにはわがまま

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葉桜

葉桜

満開の桜よりも、葉桜を見る方が好きだ。
散ってゆく者と新しく芽生える小さな始まり。
大切な春を、過去を思い出させてくれる。

それなのに世間は、満開指数だとか公園でお花見だとか、満開を良しとし葉桜を見れば「残念だったね」なんて話して喜んでいる。

だから僕は、誰かと桜を見るのが好きじゃない。

自分の感覚が人と違うと思い始めたのは、小学校1年生の頃だった。先生の指示を間違えて受け取って、間違えた答

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エンジェル・パス

エンジェル・パス

ファースト・ペンギン

 “ファースト・ペンギン”とは、誰もが躊躇して踏み込めない領域に、先んじて飛び込んで行く勇敢なものを指すスラング、らしい。ラグビー部の顧問だということが「いかにも」な、体長180cm後半のでかい図体にオールバックという高校教師らしからぬ格好をした先生がそう教えてくれた。見た目の怖さと裏腹に可愛い趣味をしているのなら女子生徒の人気が出てもおかしくないのだが、休日はスターバック

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人を悦ばせるのが好きだ

人を悦ばせるのが好きだ

プレゼントを選ぶ、その時間が好きだ。渡す人との容姿、性格、発言。その人の全てを想って、自分の価値観と一緒に手渡す。「あなたの事をこのように認識していて、このように想っていますよ」と。手紙を書いても決して伝わることのない感情。自分の無意識が相手に伝わる瞬間が好きだ。予算の決定に関しても、「この人が喜ぶならこのくらい使ってもいいか」だったり、「この人は高すぎるものを渡したら気を遣うだろうな」だったり。

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アンチダイバーシティ

アンチダイバーシティ

※この物語はフィクションです。僕が書くこの文章に差別や侮辱の意味合いはありません。もしそれをこの文章から感じるとしたならば、それはあなたの内在的な差別心を投影しているに過ぎないのでしょう。

 昨今、「マジョリティ」だとか「マイノリティ」って言葉も聞かなくなってきた。かつての社会には「在るべき形」があったのだろう。それに当てはまらない、いや当てはまれない人たちをそう呼んでいたそうだ。マイノリティた

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学生最後の誕生日に、まとわりつく幸せと恐怖

学生最後の誕生日に、まとわりつく幸せと恐怖

満月はぎりぎりで逃したものの、まだ餅をつくウサギが見えそうなくらい明るい。暖冬とはいえコートなしでは凍えるような寒さに身を震わせながら、マフラーの温もりに安堵している。吐く息が白く高く舞うほどに、先月に完全に辞めたタバコを恋しく思う。そんなよき日に、22歳になった。
 
 恋人が予約してくれた旅館に泊まり、順序も作法もわからぬ夕食を終え、ゆっくりと風呂に入る。そうして人の温もりを感じながら寝る。そ

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別れの予感

別れの予感

 22歳を目前に、眠れない夜が続く。寝つきも悪く、たとえ寝れても1〜2時間ほどで起きて、また寝れない。そんなことを朝になるまで、もう二週間ほど繰り返している。

 惜別の季節がまたやって来る。自分の周りにいる人が、すべてどこかに行ってしまうんじゃないか。そんな絶望感と、少しの安心感を感じるようになった。

 それぞれの人が自立し、旅立つ。僕が大切に思っている人たちも同じように、旅立ってゆく。みなし

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タイトル未定

タイトル未定

未来のこと

 大学4年生もそろそろ終わり、もう少し経てば社会という未知なる世界に飛び出していかなくてはならない。今日のことだけ考えていればよかったあの時、小学生の僕は22歳を「大人」と感じていた。10年という時間はそれほどまでに長い時間だと思っていた。自分の人生の全てだったのだから。あれから瞬く間にその「大人」になってしまった。あんなに逞しくて強そうな存在が、いかに弱くて恐怖に塗れていたのかを知

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読書感想文【正欲】

読書感想文【正欲】

読んでる時のメモ

この小説には、水という言葉が多い。価値観と時代という流動的な概念と共にキーワードになっている。
朝井リョウ、この人は現実主義な文章を書く。声が喉仏を通過するだとか、見えない現象を物理的に表現したがる。気が合いそうだ

感想文

自分が普通かどうかわからなくなるような性癖と嗜好に気持ち悪さと恐ろしさを感じた。
また、それを助長するような「多様性の理解」のスローガン。全ての正義が受

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【一週間】台湾滞在記

【一週間】台湾滞在記

台湾に1週間、「暮らすみたいに遊びたい」を胸に掲げてお邪魔した。予定を詰め込みすぎずに、心のままに街を歩いて、そこにあるものをレンズに写した。そこで暮らす人たちの姿はいきいきとしていて、僕が持ってないもの、余裕を、人に分け与えるほど充分に持っている人たちだった。彼らの見えている世界はきっと、優しくてあたたかくて、高望みもなく今あるものを尊んで、とても素敵な景色なんだろう。台湾で暮らす人とその生活の

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喪失の秋

喪失の秋

「心の中で生きてる」なんて信じないし気持ちが悪い。
その死を否定することこそがその死を無価値にする。

 得るということは、いつか失うということである。それを初めて実感として知ったのは中学2年生の秋だった。
「何でも言い合える女友達が亡くなった。」それは人生で初めて喪失を知った日でもあり、それと同時に存在することの本質を知った。いるということは、失っていないことであり、いないということは、失ってし

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【シロワッサン】かつて天才だった俺へ。

【シロワッサン】かつて天才だった俺へ。

過去の自分(9歳と6歳の頃の)天才的な作品を紹介していきたいが、少しだけ。大人になる悲しさを愚痴らせてほしい。
作品は下の写真載ってるところからです。飛ばして〜

大人になるとは、どのようなことを指すのだろうか。
20歳を迎えた朝に急激に子供心がなくなったわけでもないし、就職をして安定的な生活を送ることもまた大人になった証明にはならないだろう。
結論を出すには早すぎるのかもしれないけれど、あえてオ

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告白の続き【あとがき】

告白の続き【あとがき】

 

男が神妙な顔つきで女を見ている。片手には日が暮れる前に村の男たちで獲った獲物の、これでもかというほど脂の詰まった部位をしっかりと握っている。男は困っていた。まだ世界に言葉ができる前のこと、自分の知っている求愛ではこの気持ちが正しく伝わらないことを感じていた。周りの男たちの、セックスの為の求愛とは違う。彼女の見てる世界に少しでいいから触れてみたい、できればずっと。彼は純粋で、それでいて貪欲な彼

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自分との解釈違い【成長について】

自分との解釈違い【成長について】

もし、あなたが、これより後に並ぶ文を読んで何かを学ぼうと思っているのなら辞めた方が賢明だ。これから書くことはわざわざ執筆しなくても自分でも体感している事であるし、俺なんかよりよっぽど頭の良いであろうみなさまにとっては至極当然、明明白白だ。これは知識とするにはあまりにも価値の低いものであるが、知覚することこそその真価を発揮する。そいつの名は【成長】だ。簡単だよね。いわゆらなくてもわかるでしょ。

 

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