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別れの予感

 22歳を目前に、眠れない夜が続く。寝つきも悪く、たとえ寝れても1〜2時間ほどで起きて、また寝れない。そんなことを朝になるまで、もう二週間ほど繰り返している。

 惜別の季節がまたやって来る。自分の周りにいる人が、すべてどこかに行ってしまうんじゃないか。そんな絶望感と、少しの安心感を感じるようになった。

 それぞれの人が自立し、旅立つ。僕が大切に思っている人たちも同じように、旅立ってゆく。みなしっかりしていて人を助けられる人たちばかりだから、挫折はあれど上手くやっていくだろう。僕の周りにいる人の凄さは僕がたくさん見てきた現実だ。それぞれが大切な人を大切にし、慈愛と誇りを持って生きていける人たちなのだから。そんなことを考えるとふと、こんなことを思う。

    「じゃあ俺っていらなくない?」

 もう知っていると思うが、僕は自分勝手で卑屈で、自暴自棄になっているときは論理も破綻して他人の立場に翻ることもできない人間だ。他人の気持ちを推理はすれど、共感はできない人間の欠陥品。誰が為に生きていくのかを考えもしようとせずに自分の快楽のみを求め続ける獣のようながらくた。自分のことを大切に思ってくれている人たちに平気でこの文章を読ませる図々しさと、それでいて「大切だよ」と言われても響かない自分の腐った心が嫌いだ。

 生きるも死ぬもなく、この世界から消えてみたい。ほんの少し地球が軽くなった。一部屋空いた。1人消えた。植物は感じるだろうか。空気を汚す原因がまたひとつなくなったことを。風は感じるだろうか。運ぶ空気を押し返す抵抗がひとりぶん減ったことを。あなたたちは悲しむのだろうか。愛をもらえるだけ貰って死んでいく俺に。

 どうしてこんなに人の気持ちを想像できないんだろう。推理しないとわからないのはなんでなんだろう。人が愛し合うために備えているはずの共感という機能が俺にはよくわからない。

 そのくせ他人に期待をしているから苦しいんだろう。どうせまた誰かが思い通りになってくれるから、どうせまたなにかしてもらえる、どうせまた会える。そんなのばっかり。自分のことしか好きになれない自分が嫌いで、自覚すると死んだ方がいいんじゃないかとさえ思う。他人を思いやる素晴らしさを理解できないまま生きていくのなんて虚しいばかりだ。

 眠りについたままどこかに消えちゃいたい。すべての人に別れを告げてしまいたくなるような悲しみがたまに襲ってくる。弱い自分は、今日も眠りにつく。日が登れば、寝不足の頭痛と一緒に目覚めるのだろう。どうにかなってしまいたい自分と、どうにもできない自分の隙間で、今日も生きてる。

2023.11.24  4:46終稿

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