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人を育てるための質問を使いこなす技術

人を育てるための質問を使いこなす技術

長文ファンの皆様おはようございます。

質問は人を育てる上で重要なものだと思いますが、これを使いこなすのは難しいとも感じます。

第一に質問に対しての回答を評価してしまいがちです。

質問をしながら、自分の頭の中で正解を思い描いていれば、その質問は「相手に正解を探させる」ものになります。これでは「正解を答えよ」とするテストとあまり変わりません。

質問で他者を育てるには質問への返答に対してオープン

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楽しむから自主的自発的になる

学習は自発的、自主的であるほうがいい、と思っている人がほとんど。ところが自主的自発的でないからやむなく無理やり強制、命令するしかないのだ、という人も多い。自主的自発的に学ぶのは、ごく限られた一握りの人間だけができることなのだ、と思われているフシがある。しかし。

私は不思議に思う。(早教育を強いられている子を別として)小学校就学前の幼児はまず間違いなく学習意欲のカタマリだから。学ぶことが大好き。「

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「教える」の多くは幼児的欲求?

面白い体験を伺った。とある女性が初めてテレビゲームをやってみたら、普段からやってる息子が「そこはこうしたほうがいい」「次はこうなるから気をつけて」と教えてくれて、かなりうっとうしかった、と。他方、やったことのない夫は一緒にドキドキしながらうまくいくと驚いてくれて、嬉しかったという。

その経験から、人間には教えたがる本能があるのではないか、という指摘がなされていた。これは大変面白い話だと思う。教え

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子育ては文化人類学者のように

子どもの工夫や発見に驚くことをオススメしたら、「驚くはずがない、それは芝居に違いない、芝居は子どもに見抜かれ、むしろ悪影響だ」という意見が複数。私からしたらなんで驚けないのかが不思議。その点について考えてみたい。

息子が赤ちゃんの頃、ヒモを引っ張るのが好きだった。そのためか、蛇口から出る水の糸をつかもうとした。ところがつかめない。確かにつかんだはずなのに?と、手のひらの中を見つめたり。何度も何度

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言語化とは、言葉を道具として使い倒すこと

言語化する上で気をつけていることがある。自分の紡いだ言葉に囚われないこと。これは一見、矛盾しているように思われるかもしれない。物事を把握するために言葉を紡いでいるのだから、言葉を重視しているように思える。でも、言葉に縛られたら言語化はできなくなる。
どういうことか?

自分は強者である、と言語化したとしよう。すると、強者であるフリを始めるクセが、人間にはあるらしい。自分の紡いだ言葉通りの存在になろ

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安全と安心

安全と安心

長文ファンの皆様おはようございます。

私は日本社会は「安全」ではなく「安心」を重視し、お金を使い過ぎていると考えています。では「安全」と「安心」の違いは一体なんでしょうか。

定義を調べると

安全→「危険がなく安心なこと。傷病などの生命にかかわる心配、物の盗難・破損などの心配のないこと」
安心→「気にかかることがなく心が落ち着いていること」

と出てきます。ISO基準などでは安全は「許容できな

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目標から逆算し、先回りされると意欲を奪われる

私の塾は基本、成績のあまりよろしくない生徒が来ていたのだけれど、たまに勘違い(?)した親が、ものすごく成績の良い子を連れてきて「お願いします」と言ってくる場合があった。中学受験に失敗し、高校受験で挽回したい、という熱意を母親が持っていた。面接のとき、母親は子どもに語りかけた。

「あなた、同級生の○○ちゃんが合格して、泣いて悔しがったでしょう?高校受験で挽回する、って誓ったじゃない!?○○ちゃんは

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「成功体験」考

失敗を楽しんで観察するとよい、と提案すると、「成功体験を積むことも大切」という指摘を頂くことが多々。私も成功体験を積むことには賛成。でも、指導する側が成功体験を積むことに意識をフォーカスさせることは、いろいろ不都合が起きやすいと考えている。

成功体験を積ませようと指導者が意識すると、子どもからしたら成功を急かされる感じになりやすい。指導する側も、早く成功させようと急かしたくなる気持ちになり、失敗

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苦労話は笑い話に

「ワシは自腹で新技術を開発した、だから研究者も研究費がなくても成果出せ」という意見を頂いた。その人の成果は確かに素晴らしいものだった。けれどそれだけに幾重にも残念に思った。

虐待された子どもが親になって子どもを虐待するかのような構図に気づいてない。

せっかくの功績がマウンティング(自分の方が上だと主張する示威行為)の道具に成り下がっている。

人を見下せば敬意を得られるどころか嫌われるという単

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失敗を楽しむから失敗しなくなる

おねしょを直す方法として、面白いアプローチを聞いたことがある。寝る前に水分たっぷりとって、「ジャンジャンおねしょしよう!」と伝えることだという。すると、病気が原因などは違うだろうが、程なくしておねしょしなくなるという。この話は人間心理を考える上で興味深い。

私達は失敗したとき、「失敗しちゃいけない」と考えがち。失敗を禁止事項として伝えれば失敗せずに済む、と考えがち。だから子どもや部下に「失敗しち

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なぜ「学習」と「実践」と「思考」を同時に回さなくては身につかないのか。

なぜ「学習」と「実践」と「思考」を同時に回さなくては身につかないのか。

学習というものを行う時に私なりに昔から意識していることがあります。

単に何か他人から「学ぶ」だけではその言わんとされていることの背景にあることがよくわからないのと、自分としての肌感覚、体験的なもの物と紐付けることができないので、やはり「実践する」ということをしないと理解が深まらないということ。ただ、学んで実践するという一方向だけでもだめで、その上で、自分で「考える」という行為を行い、内省的な時間

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競争するなら大人が負けてみせること

私は競争原理に批判的。トップの人間以外の、大半の人間の意欲を削ぎ、劣等感を与えて無気力に導くことがほとんどで、集団としての活力はむしろ奪われるから。
ただ、人間には競争心があるのも確か。そこで私は「負ける」ことにより意欲を刺激する、ということはよくやっている。

今年は息子にとって初めての大峯山。私も小学5年生で初めて登った。その時のリュックの重さは4キロ。息子は少し負荷をかけて5.5キロ。「お父

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エコロジカルアプローチ①-学習者中心の最新トレーニング理論-

エコロジカルアプローチ①-学習者中心の最新トレーニング理論-

1.はじめに僕がエコロジカルアプローチに触れるキッカケとなったのは、当時大学4年生の時に戦術的ピリオダイゼーションの論文を漁っている時でした。
やたらと「生態心理学」というワードが出てきました。生態心理学とはギブソンという心理学者が唱えた理論です。

そこからそのワードを基に紐解いていくと辿り着いたのが「エコロジカルアプローチ」です。この理論は日本で当たり前とされているコーチの言語による『矯正』的

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「期待」が不安→恐怖→嫌悪を招く・・・期待に代わる方法の提案

歌手の一青窈さんは最初のヒット曲の後、「癒やし系」と呼ばれ、「ぜひ次も癒やし系を」と期待されたとき、その期待に応えようとして潰れてしまったという。自分が何をしたいのかわからなくなって。

「前畑頑張れ」で有名な水泳の前畑選手は、「ぜひ次のオリンピックで金メダルを」と期待されたとき、その期待に応えようとして、そのプレッシャーに押しつぶされたという。

フィギュアスケートの真央選手は、オリンピックなど

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