「お風呂入るよ」「お風呂入ろう」「お風呂に入りなさいよ」などと声をかけてもなかなかお風呂に入ろうとしない子どもたち。 「先にお風呂で待ってるからね」と先に入ってると、自分のタイミングだけど、かなりの確率でお風呂に入ってくる。 どうも、親であろうと命令されたり勧められたりだとやらされ感を感じて、言われた通りにするのが嫌になるらしい。お風呂に入らなきゃ、と思っていても、先回りされることがシャクに感じて、言われた通りにしないでおこう、となるらしい。 けれど、先に大人がお風呂に入
為末氏が、小中学校の間は全国大会はない方がよい、としている。それには2つほど理由を上げておられる。 ①勝てる人間だけスポーツ好きになり、その他は嫌いに師てしまう傾向。 ②体ができてないときの「勝てるテク」は大人になると通じず、かえって大成しない。 少年野球を例に上げておられたけど、少年野球はグラウンドの整備が甘いところが多く、地面に叩きつけるように打てばイレギュラーが多く、セーフになる確率が高いものだから指導者もそう指導しがち。だけどそのやり方に最適化すると、高校以上のきれ
私が勝ち負けにあまりこだわらなくなったのは、剣道の最初の顧問の影響が大きかったかもしれない。非常に厳しい指導で知られていたが生徒からの信頼も厚く、当時、部員数は100名を超える人気だった。大阪市でも上位に食い込む強豪校でもあった。 顧問は剣道だけでなく他の武道にも熟達していて、合計15段という話だった。ある年、卒業式に不良たちが集団でその先生をホウキでタコ殴りにしようとしたのだが、返り討ちにあったという伝説も残っていた。さて、その顧問は一つ、面白い指導をしていた。 フェア
為末大氏の「全国大会は高校生から、中学生までは全国大会がなくてもよいのでは、勝てる子はそのスポーツが好きになるけれど、そうでない大多数の子が運動そのものを嫌いになってしまうから」という内容の提言を紹介したら、同意する人も多い半面、勝ちにこだわる意見も多数。 井上雄彦氏の作品「スラムダンク」には、キャプテンとなる登場人物が、同級生の勝ちにこだわらない姿勢に苛立ち、ぶっ飛ばすシーンが描かれていたと記憶する。「勝ちたくないのか?」と言っていた気がする。 やはり同氏の作品「リアル
「日本では、勝ってスポーツが大好きになった人以外は、大嫌いになる傾向があります。若年層からの全国大会の勝ち抜きシステムが、勝てない子にとって楽しくない仕組みだからです。子どものときに、勝ち負けではないスポーツのおもしろさを感じていることが大事だと思うのです。」 為末大氏 朝日新聞220328 これ、勉強も同じだと思う。成績の順位をつけられてそれでも勉強大好きなままでいられるのはトップクラスの子だけ。それ以外の子は勉強が嫌いになってしまう。 為末氏は、全国大会は高校からでい
幸運なことに、私はいろんな学会やシンポジウムで講演させていただく機会を与えて頂ける。私の研究を面白がってくださる方がいてくれて、本当にありがたいことだと思う。ただ、私は学会からの賞に縁がない。これは仕方のない面がある。私は異分野出身だから。 学会奨励賞や学会賞は、当然ながら学会の重鎮の人たちに覚えていてもらう必要がある。その際、当然ながら自分の後輩や同窓の人の顔を思い浮かべ、「あいつ、業績があるのにまだ受賞していないな」と思い出すので、受賞者対象になりやすい。 ところが私
「若者の心をガッチリつかむにはどうしたらよいか」という記者からの質問に栗山監督は「そんなの僕も知りたい」と答えていた。けど、栗山監督は実のところ、心をつかむ必要なんてない、と考えているように思う。 心をつかもうとしている時点で、若者のパフォーマンスを最大化する、という本来最重要の目的から離れてしまう。若者の心に自分を強く刻印することが最大の目的になってしまっては、若者のパフォーマンスを最大化することはできない。 どうやら記者は、若者のパフォーマンスを最大化するにはまず若者
知人が少子化対策を担当するという話が。それに刺激を受けて、少し考えてみたい。 少子化対策で話題になる政策のほとんどは、すでに結婚してる夫婦にいかに子どもを産ませるか、みたいなものが多い。しかし事情がある場合以外では、政府から言われずとも子どもを欲しがってるご夫婦は多いように思う。 少子化問題は、そもそも結婚に至らないことが大きいだろう。特に第二次ベビーブームの世代は、独身が少なからずいる。結婚に至らなかったため、第三次ベビーブームは起きなかった。第二次ベビーブームの世代はす
「賢い自分」でなくなったらどうしよう、という恐怖に支配されてきた、という方から相談のメールを受けた。その方は恐怖で勉強してきたので、勉強が苦痛で仕方ないという。面白いと思えない、と。学ぶことの喜びを感じられない、と。学ぶ楽しみを取り戻すにはどうしたらよいか、と。 それまでに体験したことのないことをしてみるとよいかもしれない。旅はその一つ。 私は京大に入ってから3年ほど鬱のような状態になった。一体何をしたらよいのか分からない。やる気が出ない。そんな中、一週間、四国へ旅に出た。
子育て本だと「親が~してあげるべき」、リーダー本だと「リーダーはかくふるまうべき」と、主語が親だったりリーダーだったりする。私は、指導する側を主語、主役にして考えるとうまくいかないように思う。子どもを、部下を見ていないから。自分がどう見えるかを気にしてばかりだから。 日本チームがWBCで世界一になった。栗山監督は、一見何もしていないように見える。実際、こまごまとしたことは指示していないと思う。しかし、私のような野球の素人でも選手たちが生き生きしていた。選手たちが粒ぞろいだっ
これをつぶやいたら、「親自身が勉強する姿を見せなければ」「親自身が学ぶことを楽しむ見本を見せなければ」というご意見が複数。 これらのご意見、半分あっていて、半分は違うかな、という気がしている。そうとも限らない「反証」を結構見かけるから。 https://note.com/shinshinohara/n/nc21851445c94 「わしらは無学だから」と言って、実際学歴もなく、本も読まないご両親。そのもとで育ったお子さん、本はたくさん読むし学校の成績でも抜群。大学は旧帝大に
勉強しようとしない我が子を見て、「勉強しないとどうなってしまうか」という将来の話をし、なんとか勉強する気を起こさせよう、とする親は多い。気持ちは分かる。勉強しなければ損をする。我が子を思えばこそ、勉強しとけとアドバイスせずにはいられない、と。ただ。 「勉強しなければこうなってしまうぞ」という話は、子どもにとって脅しとなる。そうした脅しを聞いた子どもは勉強に対してどう思うかというと、「こんな脅しでもかけないと勉強しないと思われるくらい、勉強というのはつらくて面白くないんだ」と
江戸時代の思想家、安藤昌益は、武士のような搾取者のいない、すべての人間が農業を営む、農民だけの社会を夢見ていたという。搾取する者がいない社会!農民ばかりの社会!それは農業研究者からすれば、素晴らしい社会のように思われる。しかし。 農業以外に目立つ産業のない国は凶作が起きると大飢饉となり、多数の餓死者を出すことが多い。他方、農業以外の産業、工業やサービス業が発達する先進国は餓死者が出ることはない。なぜ農業国で餓死者が出て、工業国は飢えずに済むのか?不思議で仕方なかった。 ア
気になることを聞いた。とある地域で水路が古くなり、国が改修費20億円のうち19億円を負担、地域の人は1人7万円の負担で済むという。この破格の条件でも反対の人が多く、水路を修理できなさそうという。もしそうなれば、その流域数百haの水田がダメになる恐れがあるのに。 反対する理由は、もし農業用水の水路を修復してもらうと、農業振興地域の指定がかかり、田畑を売って宅地にするということができなくなってしまうから。 こうした事例が全国的に起きているかも。実際、農業関係者の集まるサイトで尋
日本の食料安全保障を考える際、厄介なのが「農業のことだけ考えればよい」わけではないこと。日本の国土は狭く、全人口(1億二千五百万人)を養うだけの食料生産が困難なこと。全人口を養うためには、現在の耕地面積の約4倍ほどが必要。最大の耕地面積だった600万haの3倍が必要。耕地が不足。 足りない食料は海外から輸入しなければならない。輸入するためには、貿易なり投資なりの海外とのやり取りで外貨を稼がなきゃいけない。その外貨の稼ぎで海外の食料を買いつける必要がある。そのためには海外の人
品詞が理解できていない子に品詞分解はキツイんじゃない?という声があった。「正解しなきゃいけない」という「呪い」があったらその通りだと思う。しかし、赤ちゃんの学習法、あるいは人工知能による深層学習を見習うなら、その心配は無用に思う。 私自身、この品詞分解を始めたころ、品詞も文法も何もわからなかった。名詞?動詞?主部述部?主語述語?なにそれ?意味わからん!という状態。皆目見当がつかなかった。最初に品詞分解するのも、実際には書くに書けなかった。品詞に何種類あるのかもわかっていなか