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思考の枠を超える tiny.cc/cl7kuz ひらめかない人のためのイノベーションの技法 tiny.cc/bl7kuz 子どもの地頭とやる気が育つおもしろい方法 tiny.cc/al7kuz 自分の頭で考えて動く部下の育て方 tiny.cc/8l7kuz

最近の記事

「驚く」文献

驚くこと、そして、驚き続けること。それが「介護民俗学」を支えるいちばんのエネルギーになるのだ。 六車由実「驚きの介護民俗学」p.202 驚けないというより、最初は「驚かない」ようにしていた。業務を滞りなくこなすには、驚いている時間がなかったからである。 六車由実「驚きの介護民俗学」p.209 「けだし、驚異することによって人間は、今日でもそうであるがあの最初の場合にもあのように、知恵を愛求し(哲学し)始めたのである。」 アリストテレス『形而上学』982b1 「実にそ

    • 「うまく伝えられないもどかしさ」が魅力になるのかも?

      ツイッターをやるようになって「文章がうまい」と言われることが増え、不思議な気分。そのほんの数年前まで「お前の文章はわけわからん」と言われていただけに。私は子どもの頃から作文を大の苦手としていただけに、今も文章をうまく書く自信がない。コツもいまひとつ分からない。 ただ、いくつか気づいたことはある。「面白い文章を書こう」とすると、面白くない文章になる。なんなんだろね、これ?狙ったやつは狙っているとすぐバレる。面白いと思わせようとして書いている文章にはわざとらしさがあふれ出て、面

      • 単独の優秀さ、タッグを組んだ優秀さ

        微生物の研究をしてると、1+1=0になったり0+0=1になったりして面白い。 病原菌をやっつける警察官みたいな微生物は拮抗菌と呼ばれ、農作物を守るために開発が進められているけど、なかなか思うような成果が出ない。拮抗菌を単独で病原菌と対峙させると確かに病原菌をやっつけるのたけど。 他の微生物が混じるだけで拮抗菌は病原菌をやっつける機能を失ってしまう。農業現場は雑菌だらけだから、これでは役に立たない。1+1=0になるというのはこのこと。確かに存在したはずの機能が現場では発揮され

        • 専門家と素人の関係

          私は専門家には敬意を払うべきだと考えている。その道で素人とは比較にならないほど検討しまくった人なのだから、その意見はまず妥当なものだと受け止めたほうがよいと考えている。だけど、「専門でないなら黙ってろ」「専門家が言っているんだから何も言わずに信じろ」は違うと考えている。 私はこれまでに二つ、世界で初めての研究成果を出すことができた。そしてどちらの研究も開始するにあたって「篠原君が考えるようなことはすでに専門家が検討し尽くしているはず、無駄だからやめておけ」と忠告された。でも

        「驚く」文献

          「醸造アルコール」考

          「醸造アルコール」考。 あくまで私個人の感じ方でしかないのだけれど、日本酒で醸造アルコール入りだと、味は美味しいのだけれど胃に届いた時に「どすん」が来て、「あ、これは頭痛くなるやつ、すぐ吐き気が来るやつ」ってわかる。お猪口一杯でやめておかないと、後で大変なことになる。 そんな体質になってしまったのには、理由が二つあるように思う。一つは酒に弱いこと。普段、お酒を楽しむにしてもお猪口一杯だけにしている。純米だと4,5杯はいけるだろうけど、味を楽しむにはお猪口1,2杯で十分。コッ

          「醸造アルコール」考

          東京一極集中はなぜ始まったのか

          なぜ東京一極集中が始まったか。堺屋太一氏が興味深い発言をしている(第156回国会 国会等の移転に関する特別委員会 第4号(平成15年2月26日(水曜日))) https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigirokua.nsf/html/kaigirokua/002615620030226004.htm 「次に、東京集中は自然に起こっているんだ、これは経済の流れであると言う人がおりますが、これは全く間違いでございます。 戦後、昭和十六

          東京一極集中はなぜ始まったのか

          おいしい日本酒との出会い

          私は当初、日本酒が大嫌いだった。甘ったるくてベタベタして悪酔いする。決定的だったのは、大学入学したての時の歓迎会。日本酒コップ一気飲みをやらされ、当然ながらゲーゲー吐いた。目が回ってグラングラン。「ポン酒」はもう飲まないぞ!と心に決めた。 私が日本酒の旨さに目覚めたのは阪神淡路大震災。当時は真冬。暖がとれなかったため、薪になるものはないかと町中を歩いていたところ、酒蔵が倒壊していた。申し訳ないけれど、薪に使わせてもらえないかとそこにいた人に声をかけた。すると、コンクリートの

          おいしい日本酒との出会い

          「幸運」考

          私は幸運にも京大に進学することができたけど、本当にいくつもの幸運が重なったからだと思う。もちろん私自身も受験勉強で努力はしたけど、その努力さえも幸運の助けがなければやる気を出せたかどうか。「運」の力を除いたら、どれだけ実力があったのか、疑わしい。 私は公立中学でど真ん中の成績でウロウロしていた。親が「高校選べないよ」と心配したほど。私は長子だからか高校というのがピンとこず、「勉強嫌いだし、いいよ、高校行かなくても」なんてこと言っていた。定期テストが近づいても「部活がないから

          「幸運」考

          修正資本主義の修正

          2000年代に入ってからの日本の様子は、第二次大戦が起きる前の先進国での社会状況と似通っている。戦前、先進国では自由主義がはびこっていた。多くの労働者は低賃金にあえぎ、生活するのがやっと。その様子はチャップリン「モダン・タイムス」でも描かれている。 他方、経営者や資本家は大金持ちになった。貧富の格差が拡大し、貧しいものは貧しいまま、お金持ちはさらにお金持ちに。貧困に苦しむ人が裕福になる道はほとんど閉ざされていた。これに関してはトマ・ピケティ「21世紀の資本」で詳しく論じられ

          修正資本主義の修正

          レヴィ・ストロースとモンテーニュ

          大学の文化人類学の講義で、レヴィ・ストロースのことを知った。それまで、欧米人が白人だけを優秀な種族と考え、その他の民族を見下しがちな中で、ストロースは違った。「未開の民族」と表現され、蔑まれていたような種族にも、豊かな文化と深い哲学が息づいてることを発見し、世界に知らしめた。 ストロースは構造主義という哲学・思想を提唱したことでも知られる。自分から見て非常に変わった風習を持つと感じると、人は「野蛮」「未開」とみなしてきたけれど、ストロースは、それぞれの民族には、それとははっ

          レヴィ・ストロースとモンテーニュ

          創造性は凡人でも発揮できる

          3冊目の本(ひらめかない人のためのイノベーションの技法)を書くことにしたのは、当時、いけ好かん記事が横行してたから。創造的な仕事ができるのは一部の天才に限られる、だから天才にだけたっぷりと報酬を与え、そうでない人間は低賃金にあえぐがいい、みたいな記事。x.gd/G6TT0 そうした記事には一つの倒錯があった。天才を高く評価しているフリして、「金持ちは創造性豊かな天才だからお金持ちになったのだ」という倒錯した論理を植え付けようとしてる裏の意図がミエミエだった。金持ちを天才にな

          創造性は凡人でも発揮できる

          算数、数学は情報を削ぎ落とす学問

          (算数の問題は、文章から状況を読み取る力が必要なのでは?と考える教員の人の意見に対し) 「文章から状況を想像する力」は、数学では邪魔になることが多いと考えています。数学は「情報を削ぎ落とす」ことを特徴とする学問だからです。削ぎ落とせるものはみんな削ぎ落としてしまう。どんな些細な情報も取りこぼそうとしない国語とは正反対の志向をする学問です。 私は中3になるまで、数学の文章問題が超苦手でした。「花子さんは自転車で駅まで時速4キロ、太郎君は徒歩で時速2キロ」という問題が出てくる場

          算数、数学は情報を削ぎ落とす学問

          体験データの積み重ねを見守り、時に驚く

          息子や娘が通っていた育児支援室では、時々手品が披露されていた。3歳未満の子どもは、帽子からステッキが飛び出てきてもちっとも驚かない。小さなものから大きなものが出てくるはずがない、という体験データが蓄積していないため、「そういうことも起きるだろう」というような反応になってしまう。 かけ算の順番について書いたら少しバズったけど、その中のコメントで、「子どもの発達段階」を踏まえていない意見が複数あるなあ、と感じた。かけ算を習う小2くらいだと、まだ3×4の答えが、今日は12かもしれ

          体験データの積み重ねを見守り、時に驚く

          かけ算の順番について

          小学校の教員の方から「かけ算の順番についてどう思うか」という質問を受けた。 たとえば「バナナが3本ずつ入った箱が4箱あります。バナナは合計何本あるでしょう?」という問題があった場合、3×4だろうが4×3だろうが答えは12本だけど、「3×4の順でないと間違い!」と考える派閥があるらしい。 この件に関して私は、「教える側は意識する必要があるが生徒に押し付ける必要はない」と考えている。 まだかけ算を習い始めたばかりの子は、3×4と4×3が実は同じ答え(12)になることに気づいてい

          かけ算の順番について

          「そのとき、日本は何人養える?」を書くきっかけ

          拙著「そのとき、日本は何人養える?」は、30年かけてコツコツ資料をあさり、データを集め、ようやく書き上げた本なので、もう一度書けと言われたら「ムリ!」と答えるしかない。それだけ力をこめた本でもある。 x.gd/oV2Ol そもそもの着想は、高校の日本史の教科書から。江戸時代の人口の推移をグラフで示していたのだけど、享保年間に三千万人に達したあと、明治維新に至るまで100年以上、ピタリと増えずに終わった。「もしかしたら日本は三千万人しか養えないのでは?」ということに気がついた

          「そのとき、日本は何人養える?」を書くきっかけ

          第2志望の大学には通ったほうがいい

          どうしても入りたい大学があるから、滑り止めで合格してもそこにはいかずに浪人する!という人も少なくない。ただ私は、滑り止めの大学に通うことをお勧めする。受験し直すにしても、「いざとなればここに通えばいいや」という安心感は非常に大きく、その安心感が学力を伸ばすからだ。 私は最初の受験の時、どこにも合格せず、浪人することに。予備校に通ったのだけれど、「いま、事件や事故に巻き込まれて新聞に載ったら、『無職』ってなるんだなあ」と思ったのを覚えている。それまで、どこかに所属していたのに

          第2志望の大学には通ったほうがいい