栗の渋皮煮の渋を早く抜く方法
友人が栗の渋皮煮を作ろうとして、重曹でのゆでこぼしを何度もやらないと渋が取れなくて大変だ、という記事を書いていた。私は研究の一環でポリフェノールがアルコールによく溶けるのを知っていたので「焼酎に漬けたら渋が早く抜けるのでは?」とアドバイスしたら、早く抜けた!と喜んだ。
もう10年以上前になるけど、当時はクックパッドにも載っていなかった方法。ツイッターでも何度か紹介した方法だからもうレシピがあるかもだけど。
重曹で一度ゆでこぼしし、繊維を柔らかくしてから焼酎に浸けると、焼酎に渋が移って抜ける。
お試しあれ。
追伸。
渋柿の渋を焼酎で抜く方法は、どうもメカニズムが違う様子。焼酎が渋柿の果実に刺激を与え、果肉中のポリフェノールを水溶性から不溶性のものに変えるのが実態のよう。つまり生理反応。実は渋が抜けるのではなく、渋が水に溶けない成分に変わる。渋柿の場合、アルコールに渋が溶けて抜けるわけではない。
追伸2。
甘柿と渋柿の違いについて。
実は甘柿にも渋柿と同じように渋味の原因であるポリフェノール(柿タンニン)を含んでるけど、早くに水に溶けない不溶性になるから、渋味を感じずに済む。渋柿は柿タンニンがいつまでも水溶性のまま含まれるので、食べると舌のタンパク質が変性する。これが渋味。
メカニズムは知らんけど、渋柿をビニール袋に入れて焼酎を吹きかけておくと、ポリフェノールが水溶性から不溶性に変わる生理現象を促せるらしい。つまり果肉の中のポリフェノールは存在したままなのだけど、不溶性になるから渋味を感じずに済む。渋が抜けるわけではなく、感じなくなる。
追伸3。
研究者の先輩が調べて教えてくれた。渋柿に焼酎を吹きかけると甘くなるのは、焼酎に含まれるアルコールが果肉でアセトアルデヒドに変化し、これが果肉中のポリフェノールの変化(重合化による不溶化)を促し、水に溶けない成分に変わってしまうので、渋味を感じなくなるのだという。
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