マガジンのカバー画像

68
スキ数関係なく、思い入れのある記事をまとめました.
運営しているクリエイター

#日記

滲み出るものは嘘じゃないから

滲み出るものは嘘じゃないから

言葉で伝えられないってことは自覚してないってことだと思っていた。

言葉はいくらでも嘘を吐ける。言葉はいくらでも取り繕うことができる。それに比べて行動は嘘を吐かない。

そう言われることは知っていて、それが現実になることがあるってことも知っていて、でもその上で、行動はサルにでもできるけど言葉を尽くせるのは人間だけなんだから、言葉で行動の意図を伝えたり、伝えた言葉を嘘にしないよう行動すればいいのに、

もっとみる
別れと出会いの足音がきこえる

別れと出会いの足音がきこえる

所用を済ませ、エレベーターで上がった先を少し歩く。
先生の部屋には明かり灯っていたけれど、コンコンッとノックをするも返事はなく、留守にしているようだった。

Slackを開こうとスマホを開くと容量不足で雲マークがついていて。ダウンロードしようとするも大学のWi-fiは役に立たない。仕方なく近くのソファでパソコンを開くと、昨日、先生から確認の連絡が来ていた。

「明日12時半から、データ&同意書受け

もっとみる
大丈夫、私たちだって大人になれるから。

大丈夫、私たちだって大人になれるから。

「ごめん、まだ家だ。
 誕プレでも決めて待っといて。」

「おけ」

「遅れてごめん」

「いいよ、6分じゃん。」

私が住むマンションの前からアヤネの家まで徒歩3分の距離に住んでいるのに、待ち合わせをするとどちらかが遅れるか、同時に到着するかになる。

きっと「18:00に待ち合わせ」は私たちの中では「18:00に家のドアを出る」で、その結果3分後には会えるのだし、その3分で何ら変わりはしないか

もっとみる
"幸せ" の方が答えだよ。

"幸せ" の方が答えだよ。

「寝ちゃダメだ」と思いながらも遠のいていく意識のなかで、彼がカーオーディオの音量を下げていることに気がついた。

その約10分後、ふと起きて「寝ちゃってごめんね」と言うと、ずっと運転しっぱなしで自分の方がもっと疲れているだろうに、彼は「疲れたでしょう、寝てていいよ?リクライニング倒しな」と片手で私の頭を撫で、やわらかな声で言った。やはりカーオーディオの音量は小さくて、ほんとうに下げてくれてたんだな

もっとみる
あこがれが思い出に変わっても

あこがれが思い出に変わっても

日本に帰ってきて、朝ごはんが クロワッサン から 食パン に変わった。食パンは焼いて、お土産に買ってきたエシレバターとヌテラ(ヘーゼルナッツとチョコのスプレッド)を塗って食べている。

パリが私に与えた食いしんぼう魂は帰国後も消えてくれなくて、毎晩ひとりでバリバリ食べていた『LU』というメーカーの板チョコが載ったクッキーを、日本でもおやつによく食べている。帰ってきてから2週間で、もうなくなりかけ。

もっとみる
夢の続きからみる景色

夢の続きからみる景色

パリに来てから 時間 を気にしなくなった。

日本にいるときは、夜遅くなれば親がうるさいから、どれだけ遅くなっても許してもらえるゼミの飲み会を除いて帰る時間が遅くならないかどうか、いつも怯えていた。

朝は乗る電車の時間に間に合うように起き、朝ごはんを食べ、化粧をし、家を出る。なんとしても乗りたい電車の時間に間に合うよう、間に合わなさそうなときは愛用のチャリをかっ飛ばし、歩くときは全力で走っていた

もっとみる
憧れで終わらせなくて、よかった。

憧れで終わらせなくて、よかった。

パリに来て、もうすぐ2週間。

毎日、どこに行こう、何をしよう、何を買おう、しか考えていない。ここにきてからの1日は、日本の日常の1週間分くらいの濃さをしている。

話したいこと、伝えたいこと、知ってほしいことが、たくさんある。

だけどまずは、今しか書けないことを。

***

物心ついた頃から私の夢の国はディズニーランドではなく、パリだった。

パリはきっと、とにかくおしゃれで、華やかで、美し

もっとみる
イロのない世界はきっと、つまらないよ

イロのない世界はきっと、つまらないよ

#わたしと海

【景色】

サムネ写真を選ぶときに、こないだ彼と白良浜へ行った日の写真を見て、一昨日ゼミで最後に話していた賢そうな話の内容を思い出した。

夏休みどこ行く?という話で、海の人が多くて。なんで人は海に惹かれるんだろうね、という考察をしていた。

そこでまず出たのは、人間がもともと青を好む性質を持つからではないか?という仮説。空も海も青いんだから、青が不快だったらやってられないよねって

もっとみる
一緒に、生きていこうね

一緒に、生きていこうね

心理実習初回は彼の住む街のNPOセンターでおこなわれた。

実習とは名ばかりで実際は施設の人の話を聞くだけだった4時間は終わった頃にはヘトヘトで、大学からのオフィスカジュアル指定によるパンプスの靴擦れで足はボロボロだったけれど、

前日に彼が「(彼が住む街)来るなら会おうよ」と、「現地に(迎えに)行くわ」と言ってくれたからがんばった。(実習全部この街だったらいいのにね)

実習終わりでまだ知人もチ

もっとみる
4年記念日

4年記念日

一目惚れで買った赤いワンピースに、黒いサンダルと前日に染め直した赤紫のイヤリングカラーの外ハネヘアを携えて待ち合わせの駅へ向かうと、電車の時刻的に先に着いていた彼が出迎えてくれた。

「髪染めたんやね、かわいい」と髪を掬う彼に「今染めたら(彼)の誕生日も綺麗なままでいられるかなって」と言うと、「そっか、2週間後?か。」とふんわりと髪を撫でた。彼は彼で高級感のある紺色のシャツに黒いパンツを合わせてい

もっとみる
夢が叶うと決まった瞬間のこと

夢が叶うと決まった瞬間のこと

神に導かれたかのように “私は今、この本を手に入れなければならない” と感じて、一冊の本を手に取ることがある。

昨日の私にとって、それは原田マハさんの『たゆたえども沈まず』だった。

その日、私は本屋大賞20周年フェアの小冊子目当てに新快速で2駅先の大型書店を訪れていた。

お目当ての冊子を本屋に足を踏み入れて30秒でゲットして任務を完了した私は、“せっかく本屋に来たのに何も買わずに帰るなんて…

もっとみる
メビウスの輪

メビウスの輪

どこいく?という彼の声に、久々にヒューガルデンが飲みたい、と言った私のリクエストに答えてその時いる場所から近くて安いクラフトビールのお店をいくつかピックアップしてくれる。ここにしよう、と決めてふたりで歩き出す。

お店の前に立っていたメニューを見てヒューガルデンがあるのかはわからなかったけど、ヒューガルデンでなくても120種類あるというクラフトビールを純粋に楽しみたくなって、あるかわからないけどど

もっとみる
いつか恋しくなる日がくるのだろうか

いつか恋しくなる日がくるのだろうか

バイト終わり、歩いて一旦家に戻り、部屋には入らないまま自転車置き場から取り出した自転車を、シューシューギコギコいわせながら乗り、自転車屋さんへ向かう。大きな道路に面したひらけた場所にあるそこは、パンクした自転車を押して持って行けるほど近い距離にあるわけではなかった。

今日はどうされました?と問うおじちゃんに、おそらくパンクしてます、というと、1時間くらいかかるよ、下手したらチューブ変えなあかんか

もっとみる
愛は音もなく日常にまぎれこむ

愛は音もなく日常にまぎれこむ

付き合って4年目になる今も、彼と会う私の心はいつだって踊っている。

会いに行く前の日には、顔や髪に普段はしない泥パックだとか、finoだとかのスペシャルケアを施して、他もツルスベにして、ドライヤー前には妹の洗い流さないトリートメントを内緒で使う。

お風呂に入る時間が伸びるから、彼に「明日(彼の名前)に会いに行くためにかわいくなるので、電話するの遅くなります」と自己申告する。「どうかわいくなるの

もっとみる