ほんとうのわたしをさがして⑦
私はまだ生きているが、あのとき、本当に死のうと思っていた。だけど、死ぬ前に何かやりたいことはないのだろうか?と考えた。
ふと、海が見たい、と思った。
車で1時間半くらい走れば海には行ける。
そうだ、明日行こう。そう思った。
その日は仕事だったので
泣き腫らした目のまま仕事に行った。
夜、仕事の合間に、私はふと連絡をした。
相手はあの時の彼だった。
なぜ、彼に連絡したのかはわからない。
ノリなのか、なんなのか。
年末にみんなで集まったときに誘おうと思って連絡したので、連絡先はあった。
返事は割とすぐにきた。
明日休み?という問いに対して、
休みだけど
と返ってきていた。
ふと我に返って、いや、連絡して何になる?
でも彼は沿岸に住んでいるので、
あわよくば連れて行ってくれるかも?という
思考回路だったのかもしれない。
海が見たいなあと思って
と返したら、
南の方の海でいいなら、道の駅で合流して
それから行こうよ
と返ってきた。
まさか、行こうって言われると思ってなかったから。
流されると思った
休みじゃないかもしれなかったし
休みであっても迷惑じゃない?
しかも来てくれるって
そんなことがあるか?
本当にそう思った。
時間とか場所とかも素早く決まって
じゃあ明日ねって
私たちは15年間まともに話さなかった。
彼に振られてから、20歳の時もアタックしたけど
マジで諦めてってほんとに言われて(メールで)
だから本当に嫌われたんだなって思っていた。
同窓会で会っても
本当にろくに話さなかった。
でもそれは、私がそれくらい意識してるってことで
向こうもそうなんだろうなと思っていた。
良い終わり方ではなかったから。
それにしても、15年ぶりに会ったとして、
何を話せばいいのだろう?
何か話すことある?
不安だった。
朝になっても、やっぱり断ろうかなとか
そんなこと思ったりして。
でも、やけくそで行った。
だってもう死ぬんだから、
彼に嫌われようがなんだろうが知らんし。
彼と合流して、ごはんを食べて、
海に行った。
彼は普通だった。
15年前と何も変わらずに
あの優しさのままだった。
話しやすかった。
ふたりでたわいもない話をして
何時間も過ごしたのを思い出した。
すごく楽しかった。
昨日まであんなに泣いていた自分が
嘘のようだった。
とにかく楽しくて、頭で何も考えられなくて
心で話をしていた感じがする。
海について、
どうして海見たかったの?
と聞かれた。
正社員になりたくないなんて、
そんなダサいことなかなかいえなくて
黙っていたら、
「母さんとケンカでもした?」
と聞かれた。
ああ、この人は知ってるんだ。
高校のころ、もしかして話したのかな?
無意識で愚痴っていただろうか?
この人は私を知っている。
強くそう思った。
私は洗いざらい話した。
すごくよく聴いてくれた。
ひとつも否定しなかった。
オレでもそれは悩むなあって
そう言ってくれた。
自分の職場の人の話も交えながら
左側にいた彼を見ると
すごく笑っていた。
笑ってる。
この人、私のとなりで
笑ってる。
幸せだった。
なんだ、私って私でいいんだって
噛み締めた。
この人が私の話を聞いて
笑いながら話してくれるなら
私は生きていていいんだ。
心からそう思った。
帰ってきても、問題が解決したわけではなかった。
だけど、今まで心を殺してきたことを
やめる覚悟ができた。
私はまだ、生きる。
だから、今日も私は生きている。
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