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2024年3月の記事一覧
「読む」と「書く」のアンバランス(薄っぺらいもの・07)
◆第一話
文章を書くのは料理を作るのに似ています。天才と呼ばれる人は別なのでしょうが、私なんかはずいぶん苦心して文章を書いています。
勢いに任せて殴り書きする癖があるにしても、文章を書くのには手間と時間がかかるのです。
料理も手間隙かけてせっかく作ったのに、ぺろりと平らげられる場合があります。あっけないですが、作ったほうとしてはうれしいものです。
書くのに時間と労力を要するのに、さ
多層的で多元的なもの同士が、ある一点で一瞬だけつながる世界
「春」を感じるたびに連想するのは「張る」です。辞書の語源の説明には諸説が紹介してありますが、私は「張る」派です。
春になると、いろいろなものが張ります。木々や草花の芽やつぼみが膨らむのは張っているからでしょう。
山の奥でも雪解けが進み、川面が膨らんで見えます。道を歩く人たちの頬も上気したかのように見えます。細い血管が膨らんでいるようです。
山川草木、そして人が膨らみ張って見えます。膨張
タブロー、テーブル、タブラ(『檸檬』を読む・02)
引きつづき、梶井基次郎の作品を読んでいきます。今回も『檸檬』です。
・「共鳴、共振、呼応(薄っぺらいもの・06)」:対象作品『愛撫』
・「出す、出さない、ほのめかす(『檸檬』を読む・01)」:対象作品『檸檬』
引用にさいして使用するのは『梶井基次郎全集 全一巻』(ちくま文庫)ですが、青空文庫でも読めます。
◆表象に対する紡錘形の立体のささやかな抵抗*タブロー、テーブル、タブラ
丸善の
LRT―舌の位置をめぐる話(薄っぺらいもの・03)
シリーズ「薄っぺらいもの」の三回目です。前回に引きつづき、ぺらぺらして薄っぺらいけどしたたかな存在である――「伝えたい」=「(相手と)つながりたい」というヒトの欲求と欲望(私は欲求と欲望を区別したことがないのでこのように表記します)においてきわめて大切な役割を果たしている「器官=象徴」――舌についての話をします。
*「薄っぺらいもの・01」
*「ぺらぺら(薄っぺらいもの・02)」
今回は、
立体、平面、空白(薄っぺらいもの・05)
今回は、蓮實重彥著『フーコー・ドゥルーズ・デリダ』のうち、「Ⅰ肖像画家の黒い欲望――ミシェル・フーコー『言葉と物』を読む」をめぐっての読書感想文です。
この「フーコー論」は、「薄っぺらいもの」というシリーズを始めるきっかけになった文章の一つでもあります。初めて読んだのはずいぶん前のことですが、以来私にとって気になる文章であり続けています。
引用文の余白に書く
*「顔と視線との離脱現象」