【前号まで】
昭和の大女優・和楽京子こと石田鈴の元で荷物整理のアルバイトをする大学院生の岡田一心は、彼女の作品を共通の話題にして、カフェの女性店員と交流を深めていく。肉体派女優と呼ばれた和楽京子は巨匠・千家監督の目に留まり、後に世界を席巻する『竹取物語』に出演した。
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凱旋帰国
一九五〇年代のことである。その年、日本映画界はもちろん、まだ敗戦の色濃い日本
「平成猿蟹合戦図」吉田修一 読了。
何ゆえ、このタイトルなのか…。いわゆる復讐劇なのだと理解しながら読んでいくも、どんな復讐劇なのか始め不思議に思いながら読む。
なんせ、始まりは長崎・五島列島から連絡の取れなくなった夫を探してまだ若い女の子が乳飲み子を抱えて、上京するところから始まるから。
この子が嫌な目に合うんだろうか~と、気分を悪くする前の予防線を自分に張りながら読み進めるけれど、
なんとも
『続 横道世之介』吉田修一
『最後の息子』が一番好き~と言った舌の根も乾かぬうちに、
やっぱり『横道世之介』が一番好きかも…と思う。
吉田さんの作品は本当に幅が広くて、どうしようもないくらいに暗くてドロドロしていて、人間の業の深さや悲しみを見せられているような気持ちになるものもあれば、
『横道世之介』みたいな、軽い会話を楽しめて、且つ、人生っていいよね、と気楽に肩をたたき合えるような作品もある。