志賀直哉

『蠅』と『城の崎にて』

『蠅』は、『城の崎にて』のオマージュ作品なのではないかと考える。

『蠅』            
蜘蛛の巣に捕われる       
(馬の上で療養)       
①農婦と危篤の息子       〈生と死のコントラスト〉
②駆落ち中の男女        〈社会の荒波に藻掻く〉
③男の子と母親         〈死と両極(の様な)存在〉
ただひとり、悠々と青空の中を飛んでいった

『城の崎にて』

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城の崎に行く、ということ

山の手線の電車に跳飛ばされて怪我をした、なんてことはない。本当になんてことはない、ただの旅行である。

蜂の死骸を見て自分の死を考える訳でもなければ、溺れる鼠に自分を重ねる訳でもない。まして石を投げてイモリを殺してしまうはずもない。

ただちょっと気ままな温泉旅行、それだけである。

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海鮮丼を食べる。宿に荷物を置き、浴衣に着替えて湯巡りをする。少し酒を飲みながら歩き、夕飯を済ませる。遊技場で

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ありがとうございます。他のものも読んでいっていただけたら嬉しいです。
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余分がなく、鮮明。-志賀直哉 著 『和解』

植物や生き物の声、大切なひとの身に明日起こること、残された時間。「聞こえたらいい」「見えたらいい」と思うものは、この世にごまんとある。

「愛情」もまた、目に見えないもののひとつだ。

愛情は「目に見えない物質 世界代表」のようなもので、渡すほう、受け取るほうによって捉え方がまるで違う。なかでも「家族の愛」は、人によって地盤がまったく違ってくるように思う。

育ってきた環境や、受けてきた影響による

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ありがとうございます!きれいなゼリーをどうぞ('-'*)
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「深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)&読みたいことを、書けばいい。」志賀直哉『小僧の神様』篇⑫(第279話)

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2019年9月20日 朝
スナックふかよみ

だけどなぜ志賀直哉は、こんなことやろうと思ったの?

『小僧の神様』は、新渡戸稲造への返歌であり、『ヨハネ伝』の再現なんでしょ?

『ヨハネ伝』にはサロメの逸話は出てこないし、ここまでオスカー・ワイルドの『サロメ』を盛り込む必要なくない?

志賀直哉(1883-1971)

それが、あるんだよね。

え?

志賀は自分の境遇を『サロメ』

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本が読めるまで(小休憩)。

 しばらく「ほんよめ」シリーズ(とかって略してみた)を投稿していなかったのですが、ここ何日かは志賀直哉について書いています。

 投稿ができなかったのはとにかく忙しかったのと、気分が晴れなくて本を読んでいなかったのと……。読書が自分自身に還る時間になればいいのですが、何か疲れていたりすると文字が頭に入ってこないのです。読まなければいけないものは読んでいましたが……。

 以前もどこかで書いたと思い

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お読みいただきありがとうございます。
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本が読めるまで(8)志賀直哉「或る朝」

 最近、志賀直哉のことしか書いていませんが、今日も志賀です。少しずつ一人の作家の作品を読んでいくということをしていきたいなと思っています。今年いっぱいは志賀直哉になりそうです。

 今日は「或る朝」という短編について。これも知名度はあまり高くないのかなーと思いますが、今まで読んだ志賀の短編のなかでは一番好きです。ちなみに「ちくま日本文学」という筑摩書房から出版されている志賀の文庫では巻頭に置かれた

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「深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)&読みたいことを、書けばいい。」志賀直哉『小僧の神様』篇⑪(第278話)

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2019年9月20日 朝
スナックふかよみ

新渡戸稲造の『一日一言』の中にある「恩を施しては忘れよ:情けは人の為ならず」は4月23日?

それが『小僧の神様』と何か関係あるのですか?

もちろんだとも。

「4月23日」って、何の日か知ってる?

え? 何の日だろう…

では解説しよう。

Y夫人の音楽界と、Aの奇妙な細君へつながる、重要なブリッジだ。

1914年の夏に交通事故

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志賀直哉の流行性感冒を読んで

いまだに巷ではコロナが猛威を奮っています。100年前のスペイン風邪には学ぶところが多いだろうな、と思っていたら、新聞でこの「流行性感冒」という作品が紹介されていたので、本当に久しぶりに本を読もうと思いました。

「流行性感冒」は実体験に基づいている

「流行性感冒」は30ページに満たない短編小説です。老眼の私でも読むのが苦になりませんでした。

志賀直哉一家と思われる夫と妻と幼い娘、それにお手伝い

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ありがとうございます!嬉しいです

「深読み LIFE OF PI(ライフ・オブ・パイ)&読みたいことを、書けばいい。」志賀直哉『小僧の神様』篇⑩(第277話)

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2019年9月20日 朝
スナックふかよみ

稲造?

新渡戸稲造の『一日一言』だ。

にとべいなぞう?

あの五千円札だった人?

『一日一言』は、二十世紀初頭の代表的文化人、新渡戸稲造による格言集。

1915年(大正4年)に実業之日本社から出版され、12年後の昭和元年までに84版を重ねるほどの国民的大ベストセラーになった。

新渡戸稲造(1862-1933)

12年で84版

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本が読めるまで(7)志賀直哉「老人」

 引き続き志賀直哉の短編を読んでいきます。今日で3作品目です。今日は明治四十四年に発表された「老人」です。

 「老人」はこれまで読んだ志賀の作品の中では、知名度的にはあまり高くないように思います。私も初めて読んだのですが、でもとてもいい話だなと思いました。

 「老人」と呼ばれる主人公の男性の晩年の話です。短編なので短いですが、あたたかい作品でした。最後アイロニーで終わるかなと思いましたが、やは

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