ジャスミン眞理子

ジャスミン眞理子でございます。1947年生まれの おめでたい団塊世代。古い映画専門の洋…

ジャスミン眞理子

ジャスミン眞理子でございます。1947年生まれの おめでたい団塊世代。古い映画専門の洋画・邦画のご紹介をします。

最近の記事

洲崎パラダイス・赤信号 (1956) 日活

川島雄三監督 1963年(昭和38) 51本の作品を遺して 肺性心により45歳で亡くなった川島監督。 川島監督は20代の頃から 筋萎縮症の症状が 徐々に表れ始め 歩行にも多少、障害を有していたそうですが 大学卒業後、難関を突破し入社した松竹では 生活のために プログラム・ピクチャーと言われる コメディ映画を量産。 その後、日活に移ってから撮った 1956年『洲崎パラダイス・赤信号』 1957年『幕末太陽伝』で 高い評価を得 更にその後、移籍した東宝では 「この

    • 丹下左膳余話 百万両の壺 (1935) 日活京都撮影所

      山中貞夫監督 28歳の若さで夭逝した 天才監督と言われた 山中貞夫。 サイレント映画からトーキーに移行する時期に活躍し わずか5年の監督キャリアの中で 26本の作品を遺しました。 しかし今、現存するのは 本作と『人情紙風船』『河内山宗俊』の三作だけだそうで 私は三作とも観ましたが この『丹下左膳・・』が 一番、好きです。 ある評論家が 脳髄が痺れるほどの「神品」と 仰っていましたが なるほど、まさにそのとおり これほど面白いとは!           〇 伊賀の

      • 二十四の瞳 (1954) 松竹

        木下惠介監督 これほど多くの童謡・小学唱歌が 使われた作品も 珍しいのではないでしょうか。 埴生の宿、七つの子、村の鍛冶屋、荒城の月、浜辺の歌、仰げば尊し・・・ この作品を 何べん観たか分からないくらいですが そのたびに こういう歌が やがては消えていってしまうのかと 寂しい気持ちになります。           〇 昭和三年の春 新任のおなご先生として 香川県小豆島の 岬の分校に赴任してきた大石先生 (高峰秀子)は 洋装で 颯爽と自転車に乗って登校するが

        • 生きていた男 (1958) 英

          マイケル・アンダーソン監督 アンダーソン監督は 『80日間世界一周』を撮った監督さんですが この作品はまったく違う趣きの サスペンス・ドラマ。 B級映画だと思って観てたら まあ、とっても 面白かったんですよ。 騙されましたわ。 映画のおしまいに 知らないおじさんが出てきて 「映画の結末は決して口外しないで下さい」と 釘をさします。 この偉そうな人は誰かと思ったら サイレント映画で活躍した  ダグラス・フェア・バンクスという 大スターの息子さんで この映画のプロデュー

        洲崎パラダイス・赤信号 (1956) 日活

          アパートの鍵貸します (1960) 米

          ヒリー・ワイルダー監督 原題は「The Apartment」 断然、邦題がいいですね。 この映画は アカデミー賞・5部門のほか 数々の賞を取った クリスマス・イヴから ニューイヤーにかけての 世界中で愛された ロマンチック・コメディです。            〇 1959年・12月。 従業員約3万人の ニューヨークの保険会社。 その19階の大部屋で勤務する バドこと C.C.バグスター (ジャック・レモン)が主人公。 夕方、5時20分になると 社員はいっせいに帰

          アパートの鍵貸します (1960) 米

          悲しみよこんにちは (1957) 米・英

          オットー・プレミンジャー監督 フランスの作家 フランソワーズ・サガンが 18歳で書いた 同名小説が原作。 でもこの映画は 米と英の合作映画。 リヴィエラ、コートダジュールの舞台で 英語の台詞が飛び交います。 でもやっぱり、おしゃれで素敵な映画。 タイトルも素敵だし 主人公・セシールの いたずらと本気が ないまぜになった感情 南フランスの 美しさと哀しみ・・・ この映画を観たのは 大昔、20歳前後で あまり計算したくないけど、55年も前になるんだわ。 感想として はっき

          悲しみよこんにちは (1957) 米・英

          大人の見る繪本・生まれてはみたけれど (1932) 松竹

          小津安二郎監督 昭和7年製作 モノクロ・サイレントの戦前映画。 サイレント映画の金字塔 とも言われている作品ですね。 小津監督は この時まだ29歳。 せっかくこの世に 生まれて来たのに・・・という 人生の重~いテーマを 子供目線で 軽やかに描いてしまうなんて 小津さんはやっぱり、天才なんだな。           〇 兄・良一 (菅原秀雄)と 弟・啓二 (突貫小僧)は 両親 (斎藤達雄・吉川満子)と共に 東京郊外の新興住宅地に 引っ越して来た。 池上線沿線の

          大人の見る繪本・生まれてはみたけれど (1932) 松竹

          汚れなき悪戯 (1955) スペイン

          ラディスラオ・バホダ監督 もう70年近くも前の映画ですが 世界中で大ヒットしました。 原題は「パンとワインのマルセリーノ」 私はこの映画を 高校生の頃、名画座で観ました。 高校2年、3年の頃は 洋画一辺倒でしたが 毎週のように 映画館に通ったものです。 そして 主題曲「マルセリーノの歌」は ラジオでよく流れていました。 教科書やノートを広げた (広げただけ) 机の上を照らす スタンドの丸い灯りの下で 聴いていた夜を 思い出します。 映画は何べん観ても 涙が出ます

          汚れなき悪戯 (1955) スペイン

          名もなく貧しく美しく (1961) 東宝

          松山善三監督 松竹から東宝に移った 松山善三の第一回監督作品。 主演は 松山監督の奥様である 高峰秀子さんと 小林桂樹さん。 耳は聞こえず、口もきけない者同士の 感動的な人間愛のドラマだが この種の映画は 観客を呼べないというジンクスがあったが 高峰・小林の手話猛特訓、地方キャンペーン 試写会、大スペースの新聞広告等々 文部省の特選推薦もあり ジンクスを破って大ヒットとなった。 またこの映画は 当時の皇太子殿下、美智子妃をはじめ 皇族方がご覧になった。 劇場の

          名もなく貧しく美しく (1961) 東宝

          赤い風船 (1956) 仏

          アルベール・ラモリス監督 フランス・パリの高台の街 メニルモンタンを舞台に 少年と風船の友情を描いた 一編の詩のような作品。 36分の短編で 台詞はほとんどありませんが 第29回アカデミー賞で 脚本賞受賞 カンヌ国際映画祭の短編パルム・ドールを受賞しました。 本作に触発され、後に生まれた作品が多々あります。 〇室生犀星が「蜜のあわれ」を執筆 〇いわさきちひろは 絵本「あかいふうせん」を出版 〇旧ソ連の作家・アンドレイ・タルコフスキーは 「ローラーとヴァイオリン」を制

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          赤い風船 (1956) 仏

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          隣りの八重ちゃん (1934) 松竹

          島津保次郎監督 1934年に公開された 古い古い映画です。 1934年と言ったら 昭和9年。 日本映画がサイレントから トーキーに移ったのが 1931年だそうで それよりわずか3年後の作品。 その日本初のトーキー映画、松竹の『マダムと女房』の監督を 後輩の五所平之助監督に奪われ、発奮した島津監督の 原作・脚本・監督による『隣りの八重ちゃん』 東京郊外に 隣り同士で住む  2家族の交流を描いた作品で ホームドラマの元祖的作品とも 言われてるそうです。 それでは

          隣りの八重ちゃん (1934) 松竹

          自転車泥棒 (1948) 伊

          ヴィットリオ・デ・シーカ監督 イタリアの ネオレアリズモ映画の代表作と言われていますね。 1948年制作と言うと ちょうど私の生まれた頃で 日本も終戦から3年後で 国中が貧しかった時代。 私は赤ん坊だったから 貧しいとか、ひもじい、なんてことは覚えてないけれども・・ イタリア映画も好きで よく観ましたが なんというか、貧しさの風景が日本と似ているようで そのやるせなさが ひときわ胸に沁みる気がします。 それにしても これほど悲しい映画が 他にあるだろうかとも思うけれ

          自転車泥棒 (1948) 伊

          黒い十人の女 (1961) 大映

          市川崑監督 何度も観てますが そのたびに 映画がはじまったとたん、ぞくぞくっと来る。 もの凄くモダンで スタイリッシュな作品。 シャープな画面構成と モノクロの映像が美しく ピカッ、市川監督のセンスが光ります。 クレジット・タイトルに流れる 芥川也寸志さんの音楽が また痺れるんです。 浮気者の男の殺害を共謀した その妻と9人の愛人たちの 奇妙な友情を描いた作品。 1997年 映画のリバイバル公開時には そのファッションなどが  若い世代に受け入れられ 二度目の大

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          黒い十人の女 (1961) 大映

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          ヘッドライト (1956) 仏

          アンリ・ヴェルヌイユ監督 アンリ・ヴェルヌイユ監督というと 『地下室のメロディー』や『シシリアン』などの 暗黒映画が思い浮かびますが 本作や『過去を持つ愛情』など ほろ苦く 情感あふれる恋愛映画も 日本でもヒットしました。 ジャン・ギャバンと フランソワーズ・アルヌール。 どちらもフランス映画界を 代表する俳優さんで 魅力的な顔合わせですね。 日本でも高倉健さんや、仲代達矢さんなど ギャバンさんを尊敬する俳優さんは たくさんおられたそうですが 三船敏郎さんとギャバ

          ヘッドライト (1956) 仏

          こころ (1955) 日活

          市川崑監督    夏目漱石の名作ですね。 新潮文庫だけでも 発行部数700万部越え 同文庫の中で 一番売れている作品。 日本で最も読まれた 小説だそうですが 今はどうなのでしょうか。 読まないなんて あまりに勿体ない。 私も大昔、高校三年ではじめて読みましたが そのときは もの凄く感動しました。 しばらく頭が ぼうっとなるくらいでした。 普段も ぼぅっとしてますけどね。 で、お友達と 雑司が谷の漱石さんのお墓に お参りに行きました。 こんなことをしたのは は

          こころ (1955) 日活

          グレン・ミラー物語 (1954) 米

          アンソニー・マン監督 やっぱり、音楽映画のナンバーワン! グレン・ミラーに ジェームス・スチュアート その妻に ジューン・アリスン ジェームス・スチュアートさんが グレン・ミラーさんご本人に なんとなくお顔も 雰囲気も似ていたと思う。 そして冒頭、クレジット・タイトルのシーンから流れる 「ムーンライト・セレナーデ」 嗚呼、なんていいんだろう この旋律は ジャスミン(←私よ)の 琴線に触れる。 聴くたびに キューンと胸が締めつけられ  救急車を呼びたくなる。

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          グレン・ミラー物語 (1954) 米

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