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4月2日は「世界自閉症啓発デー」そして映画「僕が跳びはねる理由」スタートします!

4月2日は「世界自閉症啓発デー」そして映画「僕が跳びはねる理由」スタートします!

4月2日は「世界自閉症啓発デー」です。

イギリスで制作された映画「僕が跳びはねる理由」が日本でも4月2日から、公開されます。

この映画は、世界各地で暮らしている5人の自閉症者の生活の様子や思いを通して「生きる」とは何かということを問いかけています。自閉症者の視覚や聴覚など言葉では説明できない感覚や感性を映像という方法で表現してくれています。それは、とても興味深いことだと思います。

意識下で起

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人生、やり切った感ありすぎ。『まるごとインドな男と結婚したら』鈴木成子

人生、やり切った感ありすぎ。『まるごとインドな男と結婚したら』鈴木成子

タイトルからすると、今風の若くて強い女性が、インド人の彼と結婚してドタバタ、でもほんわかな『中国嫁』のインド版みたいなのを想像してたら、全然違いました。かなりハードモードです。

著者の鈴木さんは私より20歳以上年上。海外旅行が手軽になる以前に青春を迎えたはず。それなのに、旅行先で知り合ったインド人の彼と一年後に結婚。旦那さんは就職しておらず、鈴木さんは英語しかできない。でも、すぐに子供ができて、

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で、なんで待ってるのかわかりまてん!『ゴドーを待ちながら』(サミュエル・ベケット)

で、なんで待ってるのかわかりまてん!『ゴドーを待ちながら』(サミュエル・ベケット)

TBSラジオ、ライムスター宇多丸さんのムービーウォッチメン「桐島、部会やめるってよ」の映画評。

たしか「シンボルとなる人物が劇中の最後まで登場しない」という共通点で本作がかるく紹介されていて、ずっと気になっていました。

不条理演劇の代名詞にして最高傑作。デュシャンの泉のようなメインに対するカウンター的存在が、いつの間にか演劇史のなかでどっしりと鎮座している、そんな印象。

本書の解説にある通り

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「辛かったら逃げてもいい」は大人のエゴだよね。【書評】辻村深月『かがみの孤城』

「辛かったら逃げてもいい」は大人のエゴだよね。【書評】辻村深月『かがみの孤城』

「辛かったら逃げてもいい」。生きる術を知る大人の理屈である。しかし、子供はどうだろう。特に中学生の心の悩みは深い。その一言では効かない。「学校」と「家」以外にそんな場所がどこにある。大人になれば辛い目にあったり、理不尽なことをされたら「辛かったら逃げてもいい」とさかんに言われるようになった。その通りなのだが、子供たちのコミュニティは「親」と「先生」で構成される集団にしか属していない。それゆえ、逃げ

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現代の寺田寅彦による科学読本!『波紋と螺旋とフィボナッチ』(近藤滋)

現代の寺田寅彦による科学読本!『波紋と螺旋とフィボナッチ』(近藤滋)

星の動きなど宇宙の出来事を数式で記述する学問が物理学。そして、生物の形態や模様を数理モデルで記述するのが理論生物学。著者は生物の方の第一人者。

著者は「現代の寺田寅彦」と称される。タイトルにある通り、生物にまつわる事柄を、数学的目線とボケを入れながら柔らかく語ってゆきます。

自然界に存在している生物の多種多様な模様を目にすると、その複雑さに思わず「神様の創造」を信じたくなったりしませんか?それ

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韓国映画『鬼手』はホビー漫画×暴力の危険なPPAPだ。

韓国映画『鬼手』はホビー漫画×暴力の危険なPPAPだ。

 今年の秋は、エモの秋だった。

 『TENET』を観ては「美しい男と男の死をも厭わない強い結びつき…ロバート・パティンソン……」とうわ言を繰り返し、『ゆるキャン△』を観て初めて「エモい」という言葉の真の意味を知った。その上今は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の原作小説をまとめ買いし、夜な夜な枕を涙で濡らしている。触れた作品の一つ一つに感情を揺さぶられ、充実したエンタメライフを営むことができた

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はじめに (2018.12.4編集)

初めまして、からてと申します。以前は主にMF文庫Jでライトノベルを書いたりしていました。最近はソーシャルゲームのシナリオなどを書いていますが、もっぱらソーシャルゲームをやりながらyoutubeを観ています。残りの時間は寝るか起きるかをしています。

noteでは主に日記を書いていこうと考えています。その日食べたものや、読んだ本や観た映画、好きなコンテンツ、仮想通貨で大損した話(現在進行形)などにつ

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民俗学・文化人類学が再創造する、あらゆる文化が溶け合う未来。SF作家・柴田勝家氏インタビュー。

民俗学・文化人類学が再創造する、あらゆる文化が溶け合う未来。SF作家・柴田勝家氏インタビュー。

「柴田勝家」という戦国武将の名をペンネームにしたSF作家をご存知だろうか。ペンネーム以上にユニークな作品の特徴としては、民俗学・文化人類学のモチーフが全ての作品に描かれていることだ。世界中のSF作品の潮流…ひいては世界のビジネス潮流でも注目を集める民俗学・文化人類学と、SFが描く未来とは?2020年9月に最新短編集「アメリカン・ブッダ」を上梓したばかりのSF作家・柴田勝家氏にお話をお聞きした。

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解釈しがいのある古典!『デミアン』(ヘルマン・ヘッセ)

解釈しがいのある古典!『デミアン』(ヘルマン・ヘッセ)

ジェームズ・キャメロンは「12歳の子供とスタンフォードの45歳の英文学教授が楽しめる、二つのレベルでうまくいく映画をつくろうときめた」と言った。『教養の書』に登場する、あるエピソード。

ハリウッド映画における古典の引用を散りばめたような作品とはちがうけれど、表面には見えない作者の深層心理や想いを発見し、それらを解釈する喜びは『デミアン』にも共通しそうです。

話の大筋は複雑ではありません。少年時

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『KAMEN RIDER memory of heroez』でMOVIE大戦を遊び、迸るライダー愛に溺れよ。

『KAMEN RIDER memory of heroez』でMOVIE大戦を遊び、迸るライダー愛に溺れよ。

 「正義の系譜に刻まれる」という、期待させたいんだか不安にさせたいんだか判断に迷うキャッチコピーと共に突如発表された新作ゲーム『仮面ライダー メモリーオブヒーローズ』が、ついに発売された。オールライダーではなく参戦作品を絞った作風、ゲームオリジナルキャストの起用、過去のライダーゲーから流用されたモーションなどなど、PVから見え隠れする情報にファンの間でもその評判は割れ、混沌を極めていた(♪Be T

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人気作家・深緑野分の解説を特別公開! 大ヒット中の北欧ミステリ『熊と踊れ』

人気作家・深緑野分の解説を特別公開! 大ヒット中の北欧ミステリ『熊と踊れ』



解説

作家  深緑野分

 私たちは暴力と共に生きている。人類がこの原始的な道具を忘れたことはなく、程度の差はあれ、誰もがその被害者で、加害者だ。殴打や殺人、戦争など見かけの激しい行為だけでなく、威嚇や罵声、虐めなど。そのすべてが悪いものだとわかっていながら、冷めた目で受け入れてしまう。

 だが、暴力と真正面から対峙し、小説を通じて問いかけ続けている作家がいる。それが本書の著者のひとり、ア

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書評 読んだふりしたけどぶっちゃけよく分からんあの名作小説を面白く読む方法  三宅香帆    本を読む楽しみを倍化させる。三宅式の読書術が示されていた。総論より各論の方が楽しい。

書評 読んだふりしたけどぶっちゃけよく分からんあの名作小説を面白く読む方法  三宅香帆    本を読む楽しみを倍化させる。三宅式の読書術が示されていた。総論より各論の方が楽しい。



本書の目的は、小説を面白く読むための方法を示すことだ。
大雑把に説明するとmetaphor。つまり、比喩に注目する。
この話しは何を言おうとしているかを読み取ることが大切だと述べている。

第一部は、小説の読み方をレクチャーしているのだが、それよりも第二部の各論。
実際に名作を例にとり、どの部分に着目し読むと楽しいかの具体例が良かった。

芥川と川端のところが、とくに秀逸で読みながら何度も「そ

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大聖堂の描き方(短編の名手レイモンド・カーヴァー)

大聖堂の描き方(短編の名手レイモンド・カーヴァー)

Raymond Clevie Carver Jr.

 自分の読書が長編中心なのは作者の世界観をじっくり味わいたいからで、短編だと、世界観を理解したぐらいで終わってしまうのが寂しかったりします。

 だから、短編しか書かないレイモンド・カーヴァーみたいな作家さんは、自分にとって、苦手ではないけれど没入できるほどには読み込めない作家だと思っていました。

 カーヴァーは、村上春樹さんがその著作の全

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2000年代に発表された海外SF短篇を精選!『2000年代海外SF傑作選』収録作品紹介

2000年代に発表された海外SF短篇を精選!『2000年代海外SF傑作選』収録作品紹介

2000年代に発表された海外SFの名短篇を精選した、『2000年代海外SF傑作選』がハヤカワ文庫SFからついに発売となります! 編集は橋本輝幸氏。実に18年ぶりの年代別アンソロジーとなります! 本ページではさっそくその収録作品を公開いたします!

「ミセス・ゼノンのパラドックス」エレン・クレイジャズ/井上 知訳★初訳
「懐かしき主人の声(ヒズ・マスターズ・ボイス)」ハンヌ・ライアニエミ/酒井昭伸訳

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