中山かず葉

”繊細な執筆家”として、『Inspired by──』を屋号に「ある対象」から受けた影…

中山かず葉

”繊細な執筆家”として、『Inspired by──』を屋号に「ある対象」から受けた影響・感動をエッセイに紡いでいます。願わくば、「中山かず葉の視点」が「あなたの視点」をやさしく照らせますように│不定期更新なので通知ON🔔にしていただけると嬉しいです│※プロフィール記事準備中!

マガジン

  • Inspired by──

    歌、物語、街に人──。あらゆるモノゴトから受けた感動(Inspired)を、”中山かず葉”の視点で紡いだ作品集。”あなた”の視点が1mmでも柔らかくあたたかい方に変わることを祈って。

  • なかやまかずはの『ささめごと』

    "えっくす"のタイムラインのように、時系列で"なかやまかずは"の映画感想・自由律俳句・140字のショートエッセイ等もろもろを「こしょこしょ……」とささめています。

  • 私的偏愛図録 ~紫のゆかり~

    「私は、なにかを”愛する”ことが得意なのかもしれない……」そんな発見から生まれた、中山かず葉が(偏)愛するものものについて書かれた記事を秘密の図鑑にしました。

記事一覧

固定された記事

【202310(14)+X】 ”おとな”の居場所

そう、マスターは言っていた。 話の脈略をたどると、それは友人に向けて放たれた文言だったのだけれど、そのフレーズはじんわり、ぽつーんと、たしかに私の胸にも光をとも…

中山かず葉
5か月前
27

【#3行日記】 追憶

知らなかったはずの匂いが不意に鼻をかすめ わたしは突然「懐かしさ」の惑星に飛んだ あの美しい都だけを置き去りに

5

【詩】 桜流し

つんざくような桜流しに いっそ打たれてしまえばよかった 花弁に絡みつくきみの香りが いっときの喧騒を足早に ぼくのからだをすり抜け 指先をかすめることもなく 知…

中山かず葉
3週間前
12

【#3行日記】 2023(+1)0328

満ちゆく月に痩せた背中を重ねて手を伸ばす この世界から消えてしまったあなたの名前を 僕らは今でも地球のどこかで呼びあっている

中山かず葉
1か月前
6

【#3行日記】 6弦に馳せて

愛を返せずに離れたのは他でもない自分だが 時折思い返しては同じメロディーを指で辿る こじれたロマンスをいつまで続けるのだろう

中山かず葉
1か月前
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【短編】 「なにか」を求めて

まだ蝉も鳴き始めない夏の日の朝。 私が生まれついたこの街は、「午後」に切り替わらないうちからうだるような暑さに占拠されるような所なのに、爽やかだった。 「爽やか…

中山かず葉
1か月前
15

【#3行日記】憧れが交じり合うところ

僕らはいつだって互いの才能に両片想い ふたつの唇からこぼれおちる「羨ましい」という音階だけを残したまま 言葉になりそこねた吐息ばかりが水平線の向こう側へと溶けて…

中山かず葉
1か月前
7

【#3行日記】20240309

人生の割と早い段階で己の身に降り掛かった 「孤独」が、「不条理」が、 「劣等感」が、 皮肉にも表現することに大変役立っている。

中山かず葉
2か月前
10

「あなたの作品が大好きです」
「あなたのことをとても尊敬しています」

生き方や作品に影響を受けた方を昨年亡くし、とうとう本人にこの想いを伝えることができなかった。

──その後悔こそが、抱いた感動や尊敬の念を"言葉"にしてまっすぐ相手に伝えてしまう最大の理由だとやっと気づけた。

中山かず葉
2か月前
3

【短短編】シャ・ノアール

あのこは今日も、ちいさな身体で必死に何かを訴えている。 耳をぺたんと折りたたみ、毛を逆立てて、 とびきり低いうなり声をあげながら。 んなぁぁぁぁぉん! んなぁぁぁ…

中山かず葉
2か月前
8

【プロフィール】自己紹介が苦手な私のセルフポートレイト

「自己紹介が苦手です」が私の常套句になったのは、一体いつからだろう。 学生時代から現在にいたるまで、 いざ自分のことを話そうとするとモゴモゴと口ごもって相手にう…

中山かず葉
3か月前
25

2023年も中山かず葉の記事を読んでくださり誠にありがとうございました!また来年!

愛したものの下書き
https://note.com/preview/nf570e60cf1c8?prev_access_key=279982935ff813af18abde431af580bc

中山かず葉
4か月前
3

〖おしらせ〗
中山かず葉、やっとXのアカウントを作りました!"マチュア"記事にも書いたと思うんだけど、年内中には絶対作りたくって。
ギリギリだけど間に合って良かったー!

良かったら(@oneleaf780_3)に遊びにきてくださいませ!あ、フォローも待ってまーす🙆‍♀️✨

中山かず葉
4か月前
2

「さて、これから動くぞ」というときに限って思わぬ足止めを喰らってしまうことがある。

それは、悲しみだったりやりきれなさだったり、カタチを変えてぐにゃぐにゃと目の前に現れる。否応なしに。

それでも私にできるのは、言葉を紡いでいくことだから、もがきながらなんとか綴って生きてくよ。

中山かず葉
5か月前
2

忘れられない夜、というものがある。

それは"忘れられない"とも言えるワケで、思い入れがあればあるほど美しい部分を妥協せずにひとつの作品へと昇華させるのがむつかしくってたまらない。

それでも、記憶を外側まで留めておきたいから。

("忘れられない夜"がテーマのエッセイ執筆中!)

中山かず葉
5か月前
4

「~できなかった」

"ない"方にフォーカスしてしまいがちなのは、きっと私だけではないはず。

だからこそ、いちばん初めに手放した方がいいんだってことが痛いほど分かるけど、「うるせぇできねぇんだよ」って気持ちに嘘つかないことも大事な気もする、から。

少しづつ進めばいいのよね。

中山かず葉
5か月前
2
【202310(14)+X】 ”おとな”の居場所

【202310(14)+X】 ”おとな”の居場所

そう、マスターは言っていた。

話の脈略をたどると、それは友人に向けて放たれた文言だったのだけれど、そのフレーズはじんわり、ぽつーんと、たしかに私の胸にも光をともしてくれたのだった。

たったひと晩のできごとが、
今でも忘れられない。



▼ 1軒目
「おっす~!」

1年弱会っていないことがまるでウソみたいに、親友との再会はいつもどうりの軽やかな挨拶ではじまった。

進学・就職のために若くし

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【#3行日記】 追憶

【#3行日記】 追憶

知らなかったはずの匂いが不意に鼻をかすめ

わたしは突然「懐かしさ」の惑星に飛んだ

あの美しい都だけを置き去りに

【詩】  桜流し

【詩】 桜流し

つんざくような桜流しに

いっそ打たれてしまえばよかった

花弁に絡みつくきみの香りが

いっときの喧騒を足早に

ぼくのからだをすり抜け

指先をかすめることもなく

知らない誰かの元へと

散り散りに舞い落ちてゆく

寒空の下で開いた心だけを置き去りにして

細い枝葉は苛烈な雨風に揺らぎ

青灰の春を迎えました

【#3行日記】 2023(+1)0328

【#3行日記】 2023(+1)0328

満ちゆく月に痩せた背中を重ねて手を伸ばす

この世界から消えてしまったあなたの名前を

僕らは今でも地球のどこかで呼びあっている

【#3行日記】 6弦に馳せて

【#3行日記】 6弦に馳せて

愛を返せずに離れたのは他でもない自分だが

時折思い返しては同じメロディーを指で辿る

こじれたロマンスをいつまで続けるのだろう

【短編】 「なにか」を求めて

【短編】 「なにか」を求めて

まだ蝉も鳴き始めない夏の日の朝。

私が生まれついたこの街は、「午後」に切り替わらないうちからうだるような暑さに占拠されるような所なのに、爽やかだった。

「爽やか」は、すごい。

停滞していたエネルギーがブワワワッ!と音を立てて流れ出すかのように、気づけば普段取らない行動にすんなりと身を委ねていた。

ただただ、歩く。「なにか」を求めて。



一体どれほど歩き続けたのだろう。

蒼く、時折緑

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【#3行日記】憧れが交じり合うところ

【#3行日記】憧れが交じり合うところ

僕らはいつだって互いの才能に両片想い

ふたつの唇からこぼれおちる「羨ましい」という音階だけを残したまま

言葉になりそこねた吐息ばかりが水平線の向こう側へと溶けていく

【#3行日記】20240309

【#3行日記】20240309

人生の割と早い段階で己の身に降り掛かった

「孤独」が、「不条理」が、 「劣等感」が、

皮肉にも表現することに大変役立っている。

「あなたの作品が大好きです」
「あなたのことをとても尊敬しています」

生き方や作品に影響を受けた方を昨年亡くし、とうとう本人にこの想いを伝えることができなかった。

──その後悔こそが、抱いた感動や尊敬の念を"言葉"にしてまっすぐ相手に伝えてしまう最大の理由だとやっと気づけた。

【短短編】シャ・ノアール

【短短編】シャ・ノアール

あのこは今日も、ちいさな身体で必死に何かを訴えている。

耳をぺたんと折りたたみ、毛を逆立てて、
とびきり低いうなり声をあげながら。

んなぁぁぁぁぉん!
んなぁぁぁぁぉん!

美しいオッドアイから流れる悲しみを、
ふわふわの体毛に隠された見えない傷跡を、
もう二度と取りこぼすことがないように。

私は「わたし」の心に住む黒猫をそっと抱きしめた。

どうか、あのこの傷がすこしでも癒えますように。愛

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【プロフィール】自己紹介が苦手な私のセルフポートレイト

【プロフィール】自己紹介が苦手な私のセルフポートレイト

「自己紹介が苦手です」が私の常套句になったのは、一体いつからだろう。

学生時代から現在にいたるまで、
いざ自分のことを話そうとするとモゴモゴと口ごもって相手にうまく伝えられない。

それは文面に置き換えても同じで、
メモ帳にはスラスラと構成を作れるものの、いざエディタを開くとピタリと手が止まってしまうのが常だった。

それでも、ひとは書き手の”生き方”や”人となり”を知りたいものだと思うから。

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〖おしらせ〗
中山かず葉、やっとXのアカウントを作りました!"マチュア"記事にも書いたと思うんだけど、年内中には絶対作りたくって。
ギリギリだけど間に合って良かったー!

良かったら(@oneleaf780_3)に遊びにきてくださいませ!あ、フォローも待ってまーす🙆‍♀️✨

「さて、これから動くぞ」というときに限って思わぬ足止めを喰らってしまうことがある。

それは、悲しみだったりやりきれなさだったり、カタチを変えてぐにゃぐにゃと目の前に現れる。否応なしに。

それでも私にできるのは、言葉を紡いでいくことだから、もがきながらなんとか綴って生きてくよ。

忘れられない夜、というものがある。

それは"忘れられない"とも言えるワケで、思い入れがあればあるほど美しい部分を妥協せずにひとつの作品へと昇華させるのがむつかしくってたまらない。

それでも、記憶を外側まで留めておきたいから。

("忘れられない夜"がテーマのエッセイ執筆中!)

「~できなかった」

"ない"方にフォーカスしてしまいがちなのは、きっと私だけではないはず。

だからこそ、いちばん初めに手放した方がいいんだってことが痛いほど分かるけど、「うるせぇできねぇんだよ」って気持ちに嘘つかないことも大事な気もする、から。

少しづつ進めばいいのよね。