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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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2023年11月の記事一覧

サル化する世界 (内田 樹)

サル化する世界 (内田 樹)

 (注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 内田樹氏の著作は何冊か読んでいますが、このところ少々ご無沙汰していました。ということで久しぶりに最近の著作を手に取ってみました。

 さまざまな媒体やブログに発表した内田氏の小文を取りまとめた「時事エッセイ集」という体裁なので、取り上げているテーマはそれこそ多種多様です。

 その中から、私の興味を惹いたくだりを覚えとして書き留めておき

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誰も知らないレオナルド・ダ・ヴィンチ (斎藤 泰弘)

誰も知らないレオナルド・ダ・ヴィンチ (斎藤 泰弘)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 タイトルに惹かれて手に取った本です。

 誰もが知る「レオナルド・ダ・ヴィンチ」ですが、著者はレオナルドの「手稿(自筆ノート)」の考究により彼の知られざる素顔を推理していきます。

 そういった手稿ではありますが、著者が本書で展開しているさまざまな解読と解釈の中から、私が興味を抱いた箇所を覚えとして書き留めておきます。

 まずは、いかに

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わたしは分断を許さない 香港、朝鮮半島、シリア、パレスチナ、福島、沖縄。「ファクトなき固定観念」は何を奪うのか?  (堀 潤)

わたしは分断を許さない 香港、朝鮮半島、シリア、パレスチナ、福島、沖縄。「ファクトなき固定観念」は何を奪うのか? (堀 潤)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 いつも聞いているPodcast番組のゲストで著者の堀潤さんが出演していました。そのときのお話にちょっと関心を持ったので代表的な著作を手に取ってみました。

 香港・朝鮮半島・シリア・パレスチナ・スーダンといった海外の地、そして国内では、原発事故による強制避難により生じた「分断」の地「福島」、米軍基地移転問題で県民が「分断」された「沖縄」・

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一切なりゆき 樹木希林のことば (樹木 希林)

一切なりゆき 樹木希林のことば (樹木 希林)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 樹木希林さんに纏わる著作は、以前も、「この世を生き切る醍醐味」「樹木希林 120の遺言 ~死ぬときぐらい好きにさせてよ」を読んでいるので、これが3冊目になります。
 なのでいくつかの有名なエピソードはダブりますが、この本が一番 “樹木さんの自然の姿が浮かんでくる” ような気がします。

 まずは「第1章 生きること」から、樹木さんらしい台

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21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考 (ユヴァル・ノア・ハラリ)

21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考 (ユヴァル・ノア・ハラリ)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 恥ずかしながらユヴァル・ノア・ハラリ氏の著作を読むのは初めてだと思います。

 私たちが現在直面している21の重要テーマについての論考です。
 もちろんどの考察も興味深いものですが、それらの中から特に私の興味を惹いたものをいくつか覚えに書き留めておきます。

 まずは、「2 雇用」の章での「AI」について論じているくだり。

 さすがに

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贄門島 上/下 (内田 康夫)

贄門島 上/下 (内田 康夫)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 かなり以前、内田康夫さんの作品は集中して読んだことがあります。
 一番最初は「シーラカンス殺人事件」だったように記憶しています。そのあとは、定番となった「浅見光彦シリーズ」に入っていくのですが・・・。

 今回は、図書館の新着書のコーナーで、久しぶりに「内田康夫」さんの名前をみたので、半ば衝動的に借りてきました。

 この作品は浅見光彦シ

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建築家、走る (隈 研吾)

建築家、走る (隈 研吾)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 変わったタイトルの本ですね。
 今回の東京オリンピック開催にあたっての新国立競技場の設計者としても有名な隈研吾さんの自伝的エッセイです。

 建築家に至るまではオーソドックスなキャリアを歩み、主な経歴や実績だけを辿ると順風満帆のようにみえる著者の半生ですが、実際は、それこそ「走り回った」山あり谷ありの様相だったようです。
 そして、その過

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マンモスを再生せよ ハーバード大学遺伝子研究チームの挑戦 (ベン・メズリック)

マンモスを再生せよ ハーバード大学遺伝子研究チームの挑戦 (ベン・メズリック)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 以前、「合成生物学の衝撃」という本を読んだのですが、その流れで手に取ってみました。

 ケナガマンモスを再生しようという俄かには信じ難いプロジェクトの話です。

 最先端の遺伝子学がテーマですが、専門的な解説書ではなくノンフィクション物語の体裁です。なので、学術的な内容を期待していた読者の方は少々拍子抜けするかもしれません。私も「遺伝子編

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アインシュタインの旅行日記 : 日本・パレスチナ・スペイン (アルバート・アインシュタイン)

アインシュタインの旅行日記 : 日本・パレスチナ・スペイン (アルバート・アインシュタイン)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 1922年~1923年、アインシュタインが日本・パレスチナ・スペインを訪れているのですが、その旅程の途上に記した日記や書簡等を再録したものです。

 一次情報に近いものなので、一貫したメッセージやストーリーがあるわけではありませんが、その分、アインシュタインのストレートな感想や思想を垣間見ることができます。

 アインシュタインの旅は、1

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人口減少社会の未来学 (内田 樹 他)

人口減少社会の未来学 (内田 樹 他)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 以前、「未来の年表」という本を読んでみたのですが、その流れで手に取ってみました。
 内田樹さんをはじめとして池田清彦さん、ブレイディみかこさん、隈研吾さん等バラエティに富んだ方々が寄稿されているので、それも楽しみでした。

 本書で取り上げられているメインテーマは「人口減少社会」ですが、それを論じるにあたっての問題意識、別の言い方をすると

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御社のチャラ男 (絲山 秋子)

御社のチャラ男 (絲山 秋子)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 ちょっと「タイトル」が気になったので、普段手に取らないテイストの本を読んでみました。

 中心人物は「三芳部長」。
 彼に関わる人々が、彼について、他の会社の人々について、あるいは自分自身について語るのですが、それは人物評でもあり、会社を舞台にした人生話であったりします。

 一連のストーリーが一定方向に流れていくのではなく、それぞれの登

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算数・数学はアートだ! ワクワクする問題を子どもたちに (ポール・ロックハート)

算数・数学はアートだ! ワクワクする問題を子どもたちに (ポール・ロックハート)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 ここ数年、私の本の読み方は、中身を確認してから読み始めるということはなく、タイトルや著者だけから判断して気になったものを図書館で予約して読むというスタイルです。
 なので、ページをめくって「あれ?」と予想に反した内容の本に出合うこともあります。もちろん、それがひとつの楽しみでもあるのですが、本書もそういった類のものでした。

 意外な「解

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しらずしらず ― あなたの9割を支配する「無意識」を科学する (レナード・ムロディナウ)

しらずしらず ― あなたの9割を支配する「無意識」を科学する (レナード・ムロディナウ)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 レナード・ムロディナウ氏の本は、以前にも「この世界を知るための 人類と科学の400万年史」「たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する」という2冊を読んでいます。

 本書もまずはタイトルが気になって手に取ってみました。
 テーマは「無意識」です。

 とても興味深い “人間のもつ「無意識」の機能” が紹介されています。

 たとえば、感覚器

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神話の心理学 (河合 隼雄)

神話の心理学 (河合 隼雄)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 河合隼雄さんの著作を読むのは久しぶりです。

 本書は新潮社の季刊誌の連載を書籍化したものです。
 神話を読む際の入門書ですが、学問的な解説ではなく、主としてユング心理学を背景とした河合氏なりの神話の「読み解き方」のヒントが紹介されています。

 ただ、本書を読み通しての感想ですが、その国・地方の「神話」の解釈をもってその国・地方の人々の

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