誰も知らないレオナルド・ダ・ヴィンチ (斎藤 泰弘)
(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)
タイトルに惹かれて手に取った本です。
誰もが知る「レオナルド・ダ・ヴィンチ」ですが、著者はレオナルドの「手稿(自筆ノート)」の考究により彼の知られざる素顔を推理していきます。
そういった手稿ではありますが、著者が本書で展開しているさまざまな解読と解釈の中から、私が興味を抱いた箇所を覚えとして書き留めておきます。
まずは、いかにもレオナルドならではの「画家の条件」について。
レオナルドの残した「人体図画」には解剖学の実地の知見が活かされていたのです。ある意味、彼の写実的な絵は「解剖図」でもあるのですね。
ふたつめは、科学的考察や思考を旨としたレオナルドが「占星術」について口を開こうとしなかった理由について。
これは、正鵠を射たものかはわかりませんが、なかなか面白い著者の推論です。
さて、本書を読み通しての感想です。
「手稿(自筆ノート)」という興味深い “材料” からあれこれと多面的なレオナルド像を掘り出しているのですが、私の構想力では、それぞれのエピソードが少々断片的過ぎて、どうにも全体像を組み上げられませんでした。
何か一冊、レオナルドについての入門書のようなもので一通り勉強してから本書を手に取った方がよかったような気がしましたね。
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