マンモスを再生せよ ハーバード大学遺伝子研究チームの挑戦 (ベン・メズリック)
(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)
以前、「合成生物学の衝撃」という本を読んだのですが、その流れで手に取ってみました。
ケナガマンモスを再生しようという俄かには信じ難いプロジェクトの話です。
最先端の遺伝子学がテーマですが、専門的な解説書ではなくノンフィクション物語の体裁です。なので、学術的な内容を期待していた読者の方は少々拍子抜けするかもしれません。私も「遺伝子編集技術」のあたりは、先に類似の書物(合成生物学の衝撃)を読んでいたこともあって、ある程度行間を埋めることができたかなという次第です。
本書で紹介されている数々のエピソードはどれもとても興味深いものですが、特に私が気になったくだりを書き留めておきます。
遺伝子学と倫理に関わる「科学者の姿勢」に言及した部分です。
まず、遺伝子学の特殊性をこう紹介しています。
そこで、こういった研究に携わる科学者の倫理観が極めて重要な課題として取り上げられます。
科学者自身による倫理判断にのみ頼るのではなく、状況を公表することにより「社会的検証の機会」を整えておこうというとても重要な姿勢です。
すでに現在の先端科学の水準は「生命を創造する」ことをも可能にしつつあります。こういった監視機能を幾重にも備えておかないと、その合成生物学のもたらす予期せぬ弊害を予見し回避することが困難な段階に達しているのです。
ちなみに、2020年のノーベル化学賞は、ゲノム編集技術のCRISPR/Casを開発したドイツMax Planck Institute for Infection Biology の Emmanuelle Charpentier所長と米California大学Berkeley校の Jennifer Doudna教授が受賞しました。
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