(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)
以前、「未来の年表」という本を読んでみたのですが、その流れで手に取ってみました。
内田樹さんをはじめとして池田清彦さん、ブレイディみかこさん、隈研吾さん等バラエティに富んだ方々が寄稿されているので、それも楽しみでした。
本書で取り上げられているメインテーマは「人口減少社会」ですが、それを論じるにあたっての問題意識、別の言い方をすると「危機感」について冒頭の序論で編者の内田樹さんはこう語っています。
さて、それぞれの論客の方々の指摘の中から特に私の気になったところを以下に書き留めておきます。
まず、「東北食べる通信」編集長高橋博之さんの提唱する「関係人口」を拡大させるという考え方。
たとえば農業や漁業での「生産(農家・漁師)→消費(都市居住者)」という関係を一種の “相互依存/相互支援の関係” と位置づけ、その人と人とのつながりをひとつの社会として活性化を図っていくという活動です。
人口も減少しつつ孤立化も進むという「人口減少社会」にとって、有益かつ現実的な対処策のひとつでしょう。
もうひとつ、東京大学名誉教授姜尚中さんの「斜陽の日本」の現状と今後の在り方についての示唆。
と現状を捉えたうえで、こう提言します。
本書の体裁は、各論客の主張をそれぞれの個性の任せるままに “ただ1冊にした” との様相です。
それ故か、最後の章を受け持った姜尚中教授のパートは行きがかり上「最後のまとめ」を引き受けたかのようで、なんとか無理やり投稿者の最大公約数でも最小公倍数でもない “共同声明” を発したような印象です。
それはそれで悪くないと思いますし、この論考集の基本ポリシーや掲載順序も内田さんの判断だとすると流石としか言いようがありませんね。