わたしは分断を許さない 香港、朝鮮半島、シリア、パレスチナ、福島、沖縄。「ファクトなき固定観念」は何を奪うのか? (堀 潤)
(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)
いつも聞いているPodcast番組のゲストで著者の堀潤さんが出演していました。そのときのお話にちょっと関心を持ったので代表的な著作を手に取ってみました。
香港・朝鮮半島・シリア・パレスチナ・スーダンといった海外の地、そして国内では、原発事故による強制避難により生じた「分断」の地「福島」、米軍基地移転問題で県民が「分断」された「沖縄」・・・、実際に現場に入って聞くそこにいる人々の声は、たったひとりの意見であったとしても、紛れもない「現実」の証明なのです。
“現場に行く意味”は、「仮説の確認」ではなく、「新たな問いの発見」です。
評論家の宇野常寛さんのコメントは、なるほどと思うものでした。
「表層をなぞったような仮説」であったとしても、そこから始めて、さらに「それが真実か?」と深堀していく、HONDAの本田宗一郎さんの物事の本質をとことん追究する信条にも通底する姿勢です。
もうひとつ、報道キャスター長野智子さんの言葉。
世界各地で非人道的な環境におかれ苦しんでいる人々に対して、自分たちができることについて。
まず、固定観念にとらわれずファクトを知ることが “第一歩” です。「知ろうとすること」なら誰でも始められます。
本書で取り上げられた国内外の現実。こういったリアルタイムの姿を「マスメディア」で見る機会は一昔前に比べて圧倒的に減ってしまいました。
昨今のSNSに代表されるメディアの多様化は、自分の知りたい情報だけを得ることを容易にしましたが、逆に、自分の知らない情報に触れる機会を奪い閉ざしつつあります。
だからこそ、改めて “マスメディアの今日的な存在意義” が問われているのです。
ここ数年で最も劣化したのが「マスメディア」に他なりません。
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