マガジンのカバー画像

世界の片隅でつぶやく

48
日常のつぶやき
運営しているクリエイター

記事一覧

大人の学校

大人の学校

先月から10年ぶりくらいに学校へ通っている。

思い返せば私は、10代、20代は元より30代でもデジタル・デザインの学校に入り直したり、この国へ移住後の40代でも語学学校、起業のためのコースなど、ほぼ10年おきに学校へ通っていることになる。
べつに学校が特別好きというわけではないが、必要に駆られてだった。
パンデミック以来、これまでの仕事が厳しい局面に入っていることもあり、私は今、とある資格を取る

もっとみる
15歳の地図

15歳の地図

息子は先日、15歳の誕生日を迎えた。
今は少し落ち着いてきたが、最近まで次から次へとやらかし、エラいことになっていた。
遅刻、授業途中で抜け出す、教師に反抗するのは日常茶飯事…今まで何度学校から連絡が来たかしれない…
”行儀よくまじめなんて 出来やしなかった〜” by尾崎豊。息子の尾崎化が止まらない…

成績もどんどん下降し、このままでは高校進学は難しいかもしれない、と教師からも警告される始末…マ

もっとみる
水の揺蕩い

水の揺蕩い

魚座なだけに、私は水辺が好きだ。
海辺、湖畔、川べり、池、沼、とにかく水の側に居ると落ち着く。

きらきら陽の光を反射し、揺蕩いながら様々な表情を見せる水の波紋を見つめていると、吸い込まれそうになる。
いつまででも眺めていられる。

セイレーンというギリシャ神話に登場する人魚が岩礁に座り、美しい歌声で船乗りたちを惑わせ、荒海に誘いこみ船を難破させる、という伝説もあるが、水辺にはそんな魔性の魅力も潜

もっとみる
めぐり逢い

めぐり逢い

朝ときどき散歩に行く小さな島で、よく出会う老夫婦がいる。

いつも海が見渡せるベンチに並んで座り、家から持参したポットから熱い珈琲を代わる代わるカップに注いで、手さげ袋からこれまた持ってきたシナモンロールを取り出し、その間とくに話すでもなく、まさに阿吽の呼吸という感じでお茶しながら、二人は黙って長いこと海を眺めている。

見かけるたびに、ああ、いい夫婦だなぁ、と思う。

私は結婚願望の薄い人間だっ

もっとみる
猫派

猫派

私は、猫が大好きだ。
犬も嫌いじゃないけど、一緒に暮らすなら、だんぜん猫派だ。
猫は、一匹でいるのが当たり前で群れない。散歩させる必要がない。眠たくなったらすぐゴロンと横になり、夏は涼しいところ冬は暖かいところに、いつの間にか移動してる。
ご飯が欲しい時や、甘えたい時だけ寄ってきて気まぐれ、マイペースで人に媚びず、忠誠心なんてものはカケラもない。

猫の何がそんなにいいのか?
そもそも猫の形状とい

もっとみる
白夜の森、ラップランドにて

白夜の森、ラップランドにて

今の時期こちらの国は白夜で、22時を過ぎても空は白んだまま。
南部では数時間だけ夜の帳が下りるが、北極圏では一晩中太陽は沈まず、完全な白夜となっている。
夫の生まれ故郷であるラップランドの町まで約1000kmもの道のりを車で移動。途中の街々に泊まりながら、数日かけて帰省した。

ここ数年、国境沿いにある夫の祖父が建てたサマーハウスの大規模な修繕を行っているので、昨年は夫と息子まで駆り出され、義父も

もっとみる
ふたたびの春と夏の間に

ふたたびの春と夏の間に

やっと北国にも遅い春がやって来たと思ったら

いつも春から夏は、ほとんど同時なのだ

昨年の記事では和名がわからなかったコーカサス原産の小さなヒヤシンスのような花は、日本ではプシュキニア(プスキニア)・リバノチカという名前だということがわかった。
これはiPhoneの写真アプリにある "画像を調べる" 機能を使って判明した。
花が割とはっきり写っていないと、ただ植物と表示される場合もあるけれど、こ

もっとみる
霧の朝に

霧の朝に

霧雨にしっとりと濡れながら

白く煙る景色の中に佇んでいると

夢の中に迷いこんでしまったような

ぼんやりとした心持ちになってくる

港の方では何度も霧笛が鳴っている

その音に誘われるかのように

靄に包まれ歩いてゆくと

このままどこか知らない世界へ

吸い込まれてしまうような気がする

こんな霧の朝に

自分と同じ姿をしたもう一人の自分

ドッペルゲンガーに

会ってしまうのかもしれない

もっとみる
おせち料理と正月の器

おせち料理と正月の器

新年、明けましておめでとうございます。

2024年元旦の朝の気温はマイナス13度、日の出は9:24でした。
初日の出を見るとしても、こちらの国は10時近くになるため、まだ朝日が昇る前にお雑煮を作って食べました。 

手作りおせち毎年恒例のおせち作りは、もう10年も作り続けていることに気づき、食い気と日本の食への執念に我ながら驚く(笑)
昨年10月に一時帰国できたので、かなり日本食材を持ち帰り、今

もっとみる
ありえへん、一時帰国の顛末 その2

ありえへん、一時帰国の顛末 その2

また少しご無沙汰してました。
その後、私たち家族は何とか無事に居住国へ戻ってまいりました。
しかし、今回ほど日本を離れ難い気持ちになったことはありません。
あともう少しだけ長く滞在したかった…(泣)

予想もしなかった567再感染という事態に見舞われ、大幅に予定が狂ってしまった今回の一時帰国。

私はなかなか熱が37度4 、5分から下がらず、持病の咳喘息も出始め、もしもの時のために残っていた吸入薬

もっとみる
ありえへん、一時帰国の顛末

ありえへん、一時帰国の顛末

お久しぶりです。
まだ一時帰国中の、しゑにです。
短期間にいろいろな事があり過ぎまして、コメントの返信や皆さんの記事を読む余裕がなく、すみません。
月命日の春馬くんの似顔絵は、日本へ発つ前に予め描いておいたものです。

事の発端は、一時帰国の1週間前に息子が怪我をしたこと。
詳細は省きますが、また中二病のやらかしで、掌を5針縫いました。一時帰国の前日にギリギリ抜糸は出来たものの、今思えばこの時から

もっとみる
毒キノコを喰らう民

毒キノコを喰らう民

キノコの美味しい季節になった。

こちらの国では秋になると森へキノコ狩りに行く民も多い。店で買うと結構いい値段だけど、自分で採ればタダなので、俄然やる気もでる。
ここで重要になってくるのが、食べられるキノコと食べられないキノコの識別が自分で出来るかということだ。
私はキノコが大好きだ!
しかし我が家は夫がインドア派ということもあり、今まで数えるくらいしかキノコ採りに行ったことがない。経験値が低いの

もっとみる
14歳、ついにやって来た中二病

14歳、ついにやって来た中二病

先日、息子は14歳の誕生日を迎えた。

今年も誕生日ケーキは息子のリクエストで、いつもの、あずきクリーム抹茶ロールケーキを焼いた。

まずは前日に餡子を炊くところから始まるので2日がかりだ。
仕事の合間に小豆を煮てたら、いつの間にか鍋の水が全部なくなっていて焦げ焦げに…。全部捨てて一からやり直すハメになった。貴重な小豆が…(泣)
キッチンに移動し、鍋を見張りながら仕事することにした。その前に鍋の焦

もっとみる
夏の名残り

夏の名残り

9月に入り、こちらの国ではすでに秋の風が吹き始めている今日この頃。

少しでも晴れて気温が上がった日(といっても18℃とかだけど…)は、まだまだ海で泳いだり日光浴をするために、外へ出て来る民。
夏よ行かないで…という、人々のいじましい気持ちが感じられる。
平日でもノートパソコン開きながらそこら辺の芝生に寝そべったり、木の枝にハンモック吊るしてゆらゆら揺れながらお仕事中の人なんかもいるので、この国で

もっとみる