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世界の片隅でつぶやく

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日常のつぶやき
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霧の朝に

霧の朝に

霧雨にしっとりと濡れながら

白く煙る景色の中に佇んでいると

夢の中に迷いこんでしまったような

ぼんやりとした心持ちになってくる

港の方では何度も霧笛が鳴っている

その音に誘われるかのように

靄に包まれ歩いてゆくと

このままどこか知らない世界へ

吸い込まれてしまうような気がする

こんな霧の朝に

自分と同じ姿をしたもう一人の自分

ドッペルゲンガーに

会ってしまうのかもしれない

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おせち料理と正月の器

おせち料理と正月の器

新年、明けましておめでとうございます。

2024年元旦の朝の気温はマイナス13度、日の出は9:24でした。
初日の出を見るとしても、こちらの国は10時近くになるため、まだ朝日が昇る前にお雑煮を作って食べました。 

手作りおせち毎年恒例のおせち作りは、もう10年も作り続けていることに気づき、食い気と日本の食への執念に我ながら驚く(笑)
昨年10月に一時帰国できたので、かなり日本食材を持ち帰り、今

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ありえへん、一時帰国の顛末 その2

ありえへん、一時帰国の顛末 その2

また少しご無沙汰してました。
その後、私たち家族は何とか無事に居住国へ戻ってまいりました。
しかし、今回ほど日本を離れ難い気持ちになったことはありません。
あともう少しだけ長く滞在したかった…(泣)

予想もしなかった567再感染という事態に見舞われ、大幅に予定が狂ってしまった今回の一時帰国。

私はなかなか熱が37度4 、5分から下がらず、持病の咳喘息も出始め、もしもの時のために残っていた吸入薬

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ありえへん、一時帰国の顛末

ありえへん、一時帰国の顛末

お久しぶりです。
まだ一時帰国中の、しゑにです。
短期間にいろいろな事があり過ぎまして、コメントの返信や皆さんの記事を読む余裕がなく、すみません。
月命日の春馬くんの似顔絵は、日本へ発つ前に予め描いておいたものです。

事の発端は、一時帰国の1週間前に息子が怪我をしたこと。
詳細は省きますが、また中二病のやらかしで、掌を5針縫いました。一時帰国の前日にギリギリ抜糸は出来たものの、今思えばこの時から

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毒キノコを喰らう民

毒キノコを喰らう民

キノコの美味しい季節になった。

こちらの国では秋になると森へキノコ狩りに行く民も多い。店で買うと結構いい値段だけど、自分で採ればタダなので、俄然やる気もでる。
ここで重要になってくるのが、食べられるキノコと食べられないキノコの識別が自分で出来るかということだ。
私はキノコが大好きだ!
しかし我が家は夫がインドア派ということもあり、今まで数えるくらいしかキノコ採りに行ったことがない。経験値が低いの

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14歳、ついにやって来た中二病

14歳、ついにやって来た中二病

先日、息子は14歳の誕生日を迎えた。

今年も誕生日ケーキは息子のリクエストで、いつもの抹茶ロールケーキあずきクリームを焼いた。

まずは前日に餡子を炊くところから始まるので2日がかりだ。
仕事の合間に小豆を煮てたら、いつの間にか鍋の水が全部なくなっていて焦げ焦げに…。全部捨てて一からやり直すハメになった。貴重な小豆が…(泣)
キッチンに移動し、鍋を見張りながら仕事することにした。その前に鍋の焦げ

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夏の名残り

夏の名残り

9月に入り、こちらの国ではすでに秋の風が吹き始めている今日この頃。

少しでも晴れて気温が上がった日(といっても18℃とかだけど…)は、まだまだ海で泳いだり日光浴をするために、外へ出て来る民。
夏よ行かないで…という、人々のいじましい気持ちが感じられる。
平日でもノートパソコン開きながらそこら辺の芝生に寝そべったり、木の枝にハンモック吊るしてゆらゆら揺れながらお仕事中の人なんかもいるので、この国で

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サウスポーと子供時代

サウスポーと子供時代

私は右利きだが、実は4歳頃までは左利きだったらしい。
しかし、親に矯正され右利きになった。
今はそんなことあまりないと思うけれど、昔は私のように左から右利きに矯正されることは結構あったようなのだ。
どうしてそんなことしたのか?と母親に聞いてみたことがあった。
どうも私は、ひらがなを書き始めた頃に、 "鏡文字" と言って鏡で写したように左右反対に文字を書いていたそうだ。それを見た親は、これはマズい…

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群島を巡る、夏の旅

群島を巡る、夏の旅

7月、こちらの国は大人も1ヶ月の夏休みだ。
しかし子供ともども長い休みをどう過ごすかというのは結構悩みのタネになったりもする。
中学生の息子はすでに6月から夏休みに入っているので、友達も旅行やサマーハウスへ行ってしまい遊ぶ子もいなくなり、時間を持て余し気味だ。

夫は若い頃は留学もしてたし、国外出張も多くこれまでいろいろな国を訪れているのだが、基本そんなに旅行が好きではなく、家でのんびりダラダラま

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夏至祭の前夜は

夏至祭の前夜は

この国では6月最終週の土曜は、夏至祭だ。
その前夜である明後日金曜の晩には、海や湖の畔などの水辺で、大きなかがり火が焚かれる。
これは長い冬の間待ちに待った短い夏の到来を祝うため、または夏至を過ぎると夜が少しづつ長くなってゆくため悪魔が徘徊するのを追い払うなどと言われているが、まだこの国にキリスト教が広まる前からある伝統的な儀式で、クリスマスと同じくらい重要な日なので田舎へ帰省して過ごす民も多く、

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ドラマ「やっぱり猫が好き」に慰められた〜50代、山あり谷あり

ドラマ「やっぱり猫が好き」に慰められた〜50代、山あり谷あり

実は、ここ2、3ヶ月くらいずっと体調が優れなかった。
発端は、ある日とつぜん体のあちこちが痒くなり、蕁麻疹が出ては消えるというのを繰り返すようになった事だった。
先ず疑ったのは、服薬している甲状腺の薬だった。ほぼ甲状腺ホルモンの値も通常に戻りつつあったものの横ばい状態だったため、同時期に少し薬の量を増やしたら多すぎたようで、亢進症の反対の低下症状態になってしまった。しかし一年近くも飲んで何ともなか

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野花のベッドで眠りたい

野花のベッドで眠りたい

北国にも、ようやく遅い春がやって来て、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral)と呼ばれる、春の儚い花たちも咲き始めた。
これらの野花は、可憐でひっそりとした風情というよりも、蔓延っていると言ったほうがいいくらい旺盛にびっしりと咲いていて、その様は、まるで花の絨毯というか寝床のようにも見え、思わずその上に寝そべってみたくなる。

たぶんこの国では、本当に寝そべっても誰にも何も言わ

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求愛ダンス

求愛ダンス

今まで何度か記事にしてきた、近所の島にいる白鳥ファミリー。

普段ならこの国では、白鳥たちはこれから南の国より帰って来る頃だけど、この白鳥ファミリーは冬の間もこの地に留まり越冬した。
親鳥が、成長した子供たちと一緒に、近くの島から島へ旋回しながら飛ぶ練習をしている姿を見た時は、感動した。(写真は撮れなかった)

先日また島へ行って見ると、二羽しかいない。
もしかして、今まで濃いグレーの毛に覆われて

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氷の芸術

氷の芸術

朝、海沿いを歩いていると、凍っていた海が溶け出しており、海風に吹き付けられた無数の氷が岸辺に打ち上げられている風景を目にした。
薄いガラスの層が幾重にも積み重ねられているようで、一枚ずつ手に取り眺めたくなるような光景だった。

透明な氷のプレートが朝陽にきらきら輝いて美しい。
まるで自然が作り上げた現代アートのようだ。

とりあえずスマホで撮影して、翌日は一眼レフ持参で同じ場所に駆けつけたものの、

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