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立っている。歩いている。そんな我々をドアが妨げている。時間は平等に流れている。悲しいまでに流れている。だから涙を流さずに少しでもドアを開こうとした件について
自動ドアの前に立っている。私が優しく手を前に出すと、それは何の抵抗も、我儘も言わず素直に我々の道を開いてくれる。空気は静かに循環して、苦言の一つも漏らさずに立ち去る。例外なく私は前に進む。ドアを開けた電力への感謝を持たずして、我々は一歩前に進む。意識なく、力なく、何の思考も持ち合わせない誰かであったとしても、ドアは素直に道を譲る。
閉ざされたドアの前に立っている。かざした手は無視されたかのよ