- 運営しているクリエイター
#とは
先生の人差し指とキーボード
からし色のマフラーが冬のくもり空の下ではぐれ者のように浮いていた。
ちょっとだけ毛玉ができている。一月はじめのころだと新しいものを身につけている人が多い。クリスマスプレゼントであったり、初売りの戦利品だったりするのだろう。
先生のそのマフラーはどちらでもないようだ。身体にすっかりなじんでいるようにも、見えたから。
私は奥さんがいないと何にもできないんだよ。
いつだか、そんなことをはにかみつつ言
万能な天気なんてない。
雨の日だったことを、よくおぼえている。
九月のあたま。雨のおかげで暑くはなかったけれど蒸していた。
たった一日でいろんなことが積み重なっていた。それを何とかやりすごし、なるべく良いほうに解釈しなければと自分に言い聞かせながら、傘を片手にエレベーターのボタンを押した。
残っている訓練生は私だけだった。
障害者就労移行支援所(以下、支援所)はビルの七階にあった。あいにくエレベーターは一階から上がっ
「なんで?」の角にぶつかって
私は豆腐が嫌いだ。
豆腐だけはどうしても食べられない。
逆に言うと豆腐以外に食べられないものは特にない。
ちょっとぐらいの汚れものならば残さずにぜんぶ食べてやる。
おお豆腐。君はダメ。
真実を握りし……めてないと良いな。豆腐の真実なんて知りたくもない。
こうしてキーボードに touhu と叩きつけるのもあまり気が進まない。
その程度には豆腐が嫌いである。
この私のアンチ豆腐っぷりを見て人は