東山彰良

「緊急事態下の物語」を読んで

「緊急事態下の物語」を読んで

5人の作家の短編集。 「腹を空かせた勇者ども」:金原ひとみ 🔖“私は人の気持ちを鑑みながら、それでも自分の気持ちを維持させていく道を模索し続けてる。その中で、これはアクシデント的に起こった一つの事象でしかない。起こったことにはただ粛々と対応するしかない。“ “いかに趣味判断を乗り越えるかというのは、哲学が誕生した時から人類の命題で、簡単に答えが出るものじゃない。だからこそ、趣味判断をしては奈良に、と言うことも、趣味判断をするべきだ、と言うことも、浅はかであるという印象しか与

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ニッケル・ボーイズ 4月後半の読書。

ニッケル・ボーイズ 4月後半の読書。

正しい、とは何か。正義、とは何か。 物事には両面がある。 黒人のジョージ・フロイト死亡事件の裁判で、白人警官に有罪判決が出された時、私はちょうどこの小説を読んでいた。Black lives matter運動の契機となった、あの事件から約11ヶ月。  無実の罪でニッケル少年院に送られた真面目なエルウッド少年。  ニッケルで繰り広げられるのは、虐待と服従、賄賂と不正取引。新参者エルウッドは、有色人種という枷を背負わされており、暗黒の少年院内で、堅実派エルウッドと現実派ターナーの

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豊かな言葉にふれ、日々を豊かに

豊かな言葉にふれ、日々を豊かに

本を読むようになってから、ブックマークに入れて一日一回は見に行くサイトがある。 本との出会いを与えてくれる好書好日。名前もいい。 いい本を紹介してくれるサイトないかな〜、と検索をかけて発見したのだが、本そのものより著者にクローズアップした内容にどっぷりハマった。 丁寧な取材がされているのはもちろん、どのライターさんの記事も著者一人一人へのリスペクトが感じられ、読んでいて心地いい。 更新頻度が高く、毎日10件弱ほどの良質な記事が読めるのがうれしいところだ。 朝日新聞系のサイ

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ゲームテキスト文学としての舞城王太郎。

ゲームテキスト文学としての舞城王太郎。

 何もかも上手くいかない日、というのがあります。  それが今日です、と言いたい訳ではありません。  ただ、夕食作りが失敗した日は少し憂鬱な気持ちになります。逆に夕食作りが上手く行くと、仕事やプライベートで嫌なことがあっても、少し晴れやかな気持ちになります。  僕の一日において、夕食作りはちょっとだけ重要な位置にいます。ちなみに、今日はポトフを作ってみたんですが、ぎりぎり及第点といった感じでした。  うーむ。  明日も、残ったポトフを食べる予定なのですが、一日置くことで味が

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ラム&コーク/東山彰良

ラム&コーク/東山彰良

東山彰良さんの小説はたしかこれが3冊目。 初めて読んだのは「流」次は「ラブコメの法則」そして、今回は「ラム&コーク」を読み終えた。 私が読んだ3冊すべてに通じるのはバックサウンド。実際に自分が体験しないであろう出来事(殺人や闇との関わり)が起き、現実にありえないとわかりつつもシーンの一つ一つから情景、さらに音まで聞こえてくるのは何故だろう。 私は小説を読むと登場人物が勝手に頭の中で会話を繰り広げるタイプの読者であるが、音(生活音や扉の閉まる音、銃声までも)頭の中に何故か

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猫が見ていた:湊かなえ/有栖川有栖/柚月裕子/北村薫/井上荒野/東山彰良/加納朋子:猫は猫

猫が見ていた:湊かなえ/有栖川有栖/柚月裕子/北村薫/井上荒野/東山彰良/加納朋子:猫は猫

「猫が見ていた」(151/2020年) 猫の短編集。7作品、猫に対するアプローチも様々。超有名作家たちの、猫に対する思いが、そろりそろりと伝わってくる。自分は家で猫ズと一緒に暮らしているので、 そして、いつもとはチョット違う作家の姿を見ることが出来るのが、こういう短編集の醍醐味。お気に入りは柚月裕子の「泣く猫」かな。いつも通りのクールでドライな世界観であることは変わりないけど、そこに猫がするりと入りこむ柚月ワールド。いつもよりも少し猫寄りなところにほっこりします。この作品

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『流』

『流』

やっぱり台湾てなんか惹かれる。 『流』東山彰良 1975年、偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。17歳。無軌道に生きるわたしには、まだその意味はわからなかった。大陸から台湾、そして日本へ。歴史に刻まれた、一家の流浪と決断の軌跡。台湾生まれ、日本育ち。超弩級の才能が、はじめて己の血を解き放つ!友情と初恋。流浪と決断。圧倒的物語。(Amazonより) 個人的に海外が舞台の作品を読むのに苦手意識があって、名前とかの固有名詞を一度変換しなければいけないという

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新しい血|東山彰良

新しい血|東山彰良

文・東山彰良(作家) 今年1月11日に行われた台湾総統選挙では、大方の予想通り民進党・蔡英文が再選を果たした。820万票を集めての圧勝だった。 対立候補の国民党・韓国瑜は「安全でお金持ちの台湾がいいか、危険で貧乏な台湾がいいか」と民衆に問いかけた。台湾独立を主張する民進党が勝てば中国が黙っちゃいない、逆に我々国民党が勝てば14億の市場が開けているぞというわけだ。が、そのようなポピュリズムに与したのは550万人に留まった。つまり台湾人のおよそ6割が、たとえこれから危険が待ち

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『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。』

『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。』

初めて読む作家のチョイスとしては多分間違った。 『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。』東山彰良 如何にモテるか――それだけをこの胸に問い続けて、今日まで生きてきた。この本の主成分は、これまで恋に関して沈黙するしかなかった有象無象たちの涙なのだ。 「有象くん」と「無象くん」というフツーの男子大学生をはじめ、女の子たちをめぐりもろもろ事件が起きる春夏秋冬のエピソードが綴られる連作短編集。「イケメンくん」に「二番手くん」「ダンベル先輩」「抜け目なっちゃん」、「都

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「流」  東山彰良

「流」 東山彰良

何者でもなかった。ゆえに自由だった――。 1975年、台北。偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。 内戦で敗れ、追われるように台湾に渡った不死身の祖父。なぜ? 誰が? 無軌道に生きる17歳のわたしには、まだその意味はわからなかった。 台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。歴史に刻まれた、一家の流浪と決断の軌跡。 ここまで満場一致の受賞作が過去にあっただろうかと目を疑うほど二重丸が連続した選考結果に驚いた第153回直木賞。 又吉さんと羽田さんが芥川賞

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