猫が見ていた:湊かなえ/有栖川有栖/柚月裕子/北村薫/井上荒野/東山彰良/加納朋子:猫は猫

「猫が見ていた」(151/2020年)

猫の短編集。7作品、猫に対するアプローチも様々。超有名作家たちの、猫に対する思いが、そろりそろりと伝わってくる。自分は家で猫ズと一緒に暮らしているので、

そして、いつもとはチョット違う作家の姿を見ることが出来るのが、こういう短編集の醍醐味。お気に入りは柚月裕子の「泣く猫」かな。いつも通りのクールでドライな世界観であることは変わりないけど、そこに猫がするりと入りこむ柚月ワールド。いつもよりも少し猫寄りなところにほっこりします。この作品で感じたのは、猫は犬と違って、ダークな世界でも猫でいられるのかなって。ダークな世界な犬は、ひたすらダークな世界に飲み込まれていく緊張感を漂わすことが多いと思う。でも、猫はダークな世界の中でも、変わらずに猫である。猫は猫。人間でも犬でも麒麟でもない。よって猫の擬人化はあり得ないのだ。

東山彰良の「黒い白猫」は人間を飲みこんでしまう猫の話かと。猫が怖いのではなく、猫には人の心を操るパワーが潜んでいるのが怖い。いや、違うか、その潜んだパワーを見つけるのは所詮人間。

そう、猫は人のことなんて、適当にしか思っていないのだ。敵でもない、味方でもない、猫にとって、人は、ただ見ているだけの価値しかない存在なんでしょう。

猫、素晴らしい。ありがとう、猫ズ。

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