井上荒野

井上荒野さんのおふくろの話。

著名人が母親との思い出を回顧します。今回の語り手は、井上荒野さん(作家)です。

母の呟き

 私の父は小説家だったが、私の母もまた、小説を書いていた。そのことを母は、父の死後10年ほどが経ったときに私に明かした。私が小説家になって仕事が忙しくなった頃で、母の前で忙しさを愚痴っていたら、突然、話し出したのだ。

 私の父は横書きでしか小説が書けない人だった。それで、もともと母は、父がノートに書いた

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「気配」を感じる

井上荒野さんの「赤へ」を読む。井上荒野さんは、(あれの)と読むそうで、本名。

珍しい名前です。男性かなとも一瞬思いますが、
女性。お父様は作家の井上光晴さん。

いつも井上荒野さんの作品を読むと、なにかしら衝撃を受けるのですが。

この作品では、気配です。
絶妙な気配の表現を感じました。学ばせて頂きました。

10作品からなる短編集ですが、10作品すべてテーマは死です。作品の中に、ずばっと死が出

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井上荒野「あちらにいる鬼」

まず、二人称視点で書かれていることが特徴的であった。作者の母親と、父親の愛人であった瀬戸内寂聴の2人の視点から、時系列に沿って物語が進んでいく。
この話を読む上で忘れてはならないのは、限りなくノンフィクションに近いが、決してノンフィクションではない、ということである。井上さんのインタビューをいくつか拝見したが、このことは井上さん自身も何度か口に出している。そのくらい、この話がフィクションであるとい

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読感:綴られる愛人:井上荒野:ばれ無し

年間、文庫本で、小説ばかり、約150冊を読み続けているGGが、読んで気になる作品の感想を書いてます

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「綴られる愛人」

サスペンスです

ストーリーは、正直、よくあるかもしれませんが、そこが本書の肝ではないです。ミステリを期待している人向けではないでしょう

何が凄いか

本作品、「文通」が巻き起こす事件です

手書きの手紙を書いているうちに、手紙の世界にどんどん引きずり込まれていく過程

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全身小説家

最近、井上荒野さんが「あちらにいる鬼」という作品を書いた。父親の井上光晴と瀬戸内寂聴をモデルにした小説らしい。

恥ずかしながらつい最近まで、井上荒野さんが井上光晴の娘さんであることさえ知らず、お二人の作品をひとつも読んだことがなかった。

それなのにどうして名前を知っているのかというと、25年前に観た映画の故である。作家、井上光晴は知らなかったのに、ちょっとしたきっかけから観に行った映画は「面白

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ならなければ何者かに

こんばんは。

春は自分が生まれた季節、桜・暖かい・誕生日と、好きだな〜と子供の時から思ってましたが大人になると、花粉・自律神経の不調・メンタルの不安定・桜すぐ散るなぁと、あんまりいい季節じゃないなと感じます

普段は息子と向き合う日々、夫は帰りが遅い日もあり、気づくと今日1日子供以外に会話してない、なんて日もあります

この前、夫が少し早めに帰り息子とお風呂入って寝かしつけて、夕飯食べていた時、

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映画「天才作家の妻」を観た後に - もうひとりの「天才作家の妻」

先だって観たグレン・クローズ映画「天才作家の妻 - 40年目の真実」を、地味だとか謎解きがないとか書いた。

ついさっき、朝日新聞の「好書好日」というサイトで、小説「あちらにいる鬼」を上梓した作家、井上荒野のインタビューを読んでいたら驚くべきことが。

この本は「父である作家・井上光晴の妻、つまり著者の母親と、光晴と長年にわたり男女の仲だった作家・瀬戸内寂聴を彷彿させる二人の女性の視点から、彼らの

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今日の図書館日記

台風ですね。
なんとか図書館には行けました。

今日借りた本は、トップの写真の通りです。
3冊を除いて、引き続き借りた本ばかり。
糸井さんの本と、世界クッキーは、手元に置いておきたくなります。

フィッターXは、もう1つの白×ピンクの表紙の方が良かったなあ。文庫本の表紙が白ピンクなのかな。かわいいんです。

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本棚をクルクル回っていて、
小野寺史宜さんという作家さんを見つける。
借りた本の

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「それを愛とまちがえるから」井上荒野著 を読んで。

いつでもそうなのだ。今度こそ何かがはっきりすると期待して、結果的には混迷がいっそう深まることになってしまう。

なんだか言えなかったり、言い間違えたり、言ったら本当になってしまったり。

みんながそうかはわからないけれど、少なくとも井上さんもきっとそんな風に日々を感じていて、私がモヤモヤ眉間辺りに溜め込んでいることを、じょうずに言葉にしてくれて、それにすごく救われている。

(ただ、文庫に関しては

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少し若い男 菅田将暉演(仮) / 「切羽へ」井上荒野著 を読んで

他人の感情を、たとえばその後の行為は批評できても、その感情自体を否定する事は絶対にしてはいけないと思っている。
どんなに此方からは理解できなくても、その時感じた気持ちはその人だけのもので、外からは分かり得ないからだ。

怒ったでも、傷ついたでも、嬉しいでも、そして誰かを好きになったでも。

九州の離島で暮らす主人公の30過ぎの女性は、夫を愛していて、愛されていて、しかしある時島に新しくやって来た、

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