kyokota(きょこた)
読書(漫画以外)の記録。 名前が覚えられないため、外国の本があまり読めない。まほろ市出身。 Instagramにも載せています。 https://www.instagram.com/kyokota_log/
日々のなかで、ふと思ったこと
血なまぐさいあらすじを知っていたら読まなかっただろう本作。「直木賞受賞、アステカ文明」と聞いて図書館で予約したら、ちょうど100人待ちだった。結論から言うと、とても面白かった。 ギャングに兄を見せしめとして殺され、メキシコの町を出た女。同じくメキシコの麻薬密売人として組織のトップとなり、追われることになった男、ある野望をもった日本人医師。彼らが入り組んで麻薬、暴力、ビジネスをしていく話。それにアステカ文明がからまる。少しだけ匂わせると、アステカ文明には、いけにえ文化がある。
下まつげの裏側まで、水位が上がってくる。私にも得体の知れない「波」がやってきた。本屋の試し読みを手にとって読み始めたら、第一話で主人公が言われる言葉に私も撃たれてしまう。そのままレジに持っていった。 主人公は夫を亡くしたばかりのうみ子さん65歳。彼女は映画好き。亡き夫と映画館に居るときも「あるもの」を気にしていた。久々に入った映画館で、美大の映像学科に通う学生と出会い、彼女は映画作りを始める。一話一話が長めにできているのだが、その一つ一つに胸打たれる場面があって、わたし的に
Twitterで読んで「好きだなあ」と思い、本屋にあるのを知っていた。2巻が出ているのも知っていた。絶対に良いだろうから、とっておきのときに買おうと思っていたマンガ。出先での待ち時間のために、ついに購入。 天気はじめ色々な要素で体調や気持ちがしんどいことが多い「午後」さんのエッセイレシピマンガ。私も夜お菓子を作り始めて台所がいい香りに包まれるのが好き。昼間じゃなくて夜のそれが格別。 パウンドケーキに始まり、豆腐のアヒージョ、スコーンなど、彼女のエピソードと作り方が綴られて
クスッ、ブフッ(鼻から息がもれる音)、ブハッ(吹き出す音)、ははは(笑ってる)…としながら読んだ。 SNSやブログで人気の料理コラムニスト山本ゆりさんのエッセイ。(iwaki付ムック買いました。プリンおいしいです。)丁寧なくらし系、映えるおしゃれ系、海外モノ…と料理アカウントをフォローしまくっている私だけど、実際に一番作っているのは料理のお兄さんリュウジさんと、この山本ゆりさん。レシピもそうだけど、私はこの二人が大好きなのだ。その人を見ていたいと思えないと投稿やレシピを読ま
強大なモンゴル帝国が弱小島国である日本に侵攻し二度も敗戦したとき、「参勤交代」など大名による反対必須の「武家諸法度」を、どのように伝えたらいいのか。大仏建立に際して「行基」をインフルエンサー僧としてクラウドファンディング((リターンは「ご利益」)を行うとしたら…といった歴史を題材にプレスリリースを書いた本作。 著者は元Apple、現在はNECパーソナルコンピュータ、レノボ・ジャパンの広報である鈴木正義さん。お父さんが歴史マニアだったらしい。彼のユーモアやチャーミングさのおか
『ねこしき』猫沢エミ Instagramで見るおいしそうな食べ物や、パリのパートナーとの裏話がわかった。色々あっても美味しいご飯を大切にするの人は魅力的だ。昔『CUTIE』で見ていた美人さんとこんな形で再会するとは。 『いとしいたべもの』森下典子 『日日是好日』の森下さんによる食べ物エッセイ。絵も森下さんによるもの。おいしいポイントがしっかり絵に現れている。森下さんはトンカツと千切りキャベツにブルドッグソースをかける描写を9行に渡って綴る。どうかしている。(褒めてる) 『
退院1日目、2日目 在宅2020年2月9日(日)、病院まで迎えに来てくれた母とタクシーに乗り込む。一人暮らしの家ではなく、病院から車で1時間くらいの実家にしばらく滞在することにした。普段タクシーに乗らない私が一時間もタクシーに乗るなんて大奮発。保険の対象になるかと悠々とタクシーに乗ったが、よく調べたら対象外だったので、1万円を超えた交通費は結局自腹となった。(医療費控除の対象にはなるので、確定申告でしっかり申請することにする。) 家でひたすら寝る。シャワーは浴びられるが、湯
この巻は愛でしかない、と思った。私は羽海野チカさんの愛に「この世界はなんて計りしれない!!」と思った。 何も持っていないからこそ将棋に打ち込めた零くんに大事なものができていく。昔のマンガやドラマの定石であれば、何かを得るためには何かを犠牲にしなければならなくて、それが美学になっているものすらあったように思う。羽海野チカさんは、大切なものも手に入れていいんだよ、そして一緒に、精一杯考えて新しい強さを見つけていくんだよ、という世界を見せてくれる。 ひなちゃんの愛らしさも、零く
瀬戸内寂聴の不倫相手の娘が書く、父と母と愛人。 瀬戸内寂聴さんが亡くなり、新聞で井上荒野さんの文章を読んだ。この追悼文によると、寂聴さんと彼女の父親が不倫をしていたらしい。さらに、そのことを題材にした小説を荒野さんは書いているらしい。一体どんな物語なのだろう。 話は、男の妻と愛人の両方の視点で交互に語られる。男女の仲になるきっかけ、男が語る嘘の数々、また別の女。 妻も愛人も、その後成長し小説家として記した娘も含め、存分に生きていて「女ってすごい」と思う一冊。厄介としか言
怖い怖い怖い怖い…!!軽い気持ちで読み始めたこのマンガ、1巻の最後のページで読まなきゃよかったかも、と思いつつどうなるのか知りたいので2巻も読んでしまうだろう、と思った。「ヒューマンホラー」だそうだが、なんでこんなに怖いの?これは実話なの?と思いググってはるな檸檬さんのインタビューを探し、夢中で読んだ。 芸能界や仕事で売れるためなら、嘘でも何でも汚い手を使う人がいるというような話を聞くことがある。ひょんなことからファッション業界の「それ」に巻き込まれてしまった夫妻と、彼らを
登場人物がどんどん年をとっていき(私も)、単行本が出る度に親戚に会うような気持ちになる本作。 先日、宅飲みで友達がさらっと『きのう何食べた?』レシピから明太子のディップとツナサラダ、ミネストローネ(これは結構彼女アレンジだと思う)を作ってくれた。ケンジ達がカロリーを気にしながら食べたディップはフワフワで確かにヤバいおいしさだったし、サラダも砂糖がアクセントになってとてもおいしく、よしながふみさんのレシピの素晴らしさを体感した。 レタスが余っていたので復習がてらツナサラダを
シェパーズ・パイはどんなものかわかるようになったし、何なら自分で作れるようになった。でもランカシャー・ホットポットやヨークシャー・プディング、ハニー・ブレッドは未だによくわからない。 メアリー・ポピンズが東風にのって、桜町通り17番地のバンクス家にやってくる。バンクス夫妻は家を空けなければならなくなってしまったので、5人の子どもたちは一週間メアリー・ポピンズと不思議なゲストとともに自分たちで食事を作る。7日間のエピソードと、巻末に登場したイギリス料理のレシピが載っている。
「世界にはまだ食べたことのないおいしいものがたくさんあって、行ったことのない場所がたくさんあるんだった!」と当たり前のことを思い出した。 ラトビアの黒パン、フィレンツェでのアーティチョークのオムレツ、ヨーロッパの列車で匂いを気にしながら食べた納豆とアボカドのオニギラーズ、崎陽軒のシウマイ弁当、インドの三角錐ドーサ…といった旅先での食べ物にまつわるエッセイ。 思えば自分にも「あそこのそばは美味しかった」「あのシラス丼はいまいちだった」「旅先の風邪で瀕死の時にあのスープに救わ
「贅沢なものを味わった」という感想。梨木香歩さんが鳥と木についてのエッセイをつづり、ユカワアツコさんが古道具の箪笥の抽斗にその鳥と木を描く。そして長島有里枝さんがその抽斗を、カフェであろうところ、家であろうところで写真を撮る。 梨木さんの鳥と木についての豊富な知識と美しい文章、小道具のひなびた味わいに描かれるユカワさんの美しい絵、そして抽斗の鳥が映える長島さんのスタイリング。私は鳥のことをあまり認識できないので、鳥についてこれほどまでに文章を書けることをすごいと思うし、絵と
「あの人が言っていたことはこういうことだったのか」と、その人と会わなくなってからわかることもある。公園の花見で知り合った新卒社会人の女の子と学生のような「くまちゃん」の恋。その後のくまちゃんの恋、その後の…と続くオムニバス小説。 それぞれの登場人物とエピソードがあまりにもしっくりしていて、没入して読んでしまった。一つ一つの章も見事だし、それらの繋がりもこれまた見事。今年読んだ本でいちばん「いい」かもしれない。角田さんのあとがきに、何が書きたかったが種明かししてあった。 こ
『鋼の錬金術師』の荒川弘さんによる、北海道で酪農や農業を営む実家の話。スケールのでっかい話に何となく楽しい気持ちになるので、いつも新刊が出るのを楽しみにしている。 今回勉強になったのは、アブラムシのメスはクローン増殖ができること。ある殺虫剤を使っても一匹メスが残れば単性生殖で、その殺虫剤に耐性をもつアブラムシが増えてしまうという話だった。そのため殺虫剤メーカーはアブラムシとイタチごっこをしているらしい。 そんなアブラムシを食べるのがテントウムシで、肉食のテントウムシは益虫で、