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『しんがりで寝ています』三浦しをん

ブフ、と前書きで吹き出してしまったので私の負け。本屋を徘徊していて好物の三浦しをんのエッセイを見つけたものの、値段に逡巡していた。でも前書きだけで私を笑わせるとは。やっぱり三浦しをんのエッセイは別格だ。精神安定剤、この世界を生き延びるための必需品だもの、とも思ってレジへ持っていった。

生理用ナプキンの袋をどう開けるのかをネイリストさんと話し合ったり、タクシーの運転手さんと新しい元号を予想したり(「タピオカ元年」はどうか)、といったどうでもいい、だけど彼女のエッセイからでしか得られない特別な要素が詰まっている一冊。その他にもピカチュウやエグザイルへの愛がふんだんに詰まっている。何かに夢中になっている人の文章は熱意、きらめきで満ちていて読んでいると元気になる。

三浦さんのエッセイにはトンチキなご両親と口が悪く筋肉質な弟が登場するのだが、何冊も、何年間もかけて読んでいるので親近感が湧いてきた。会ったことはないのに、共に歳を重ね、知っている気になる感覚は『きのう何食べた?』の登場人物たちに抱くものと同じだ。

正直、私は「あなたはどう生きるのですか?」みたいな深淵な問いかけをしてくるものを重く感じ、積極的に避けていきたいと思っている。(映画見たけど)「しんがりで寝ている」くらい、力が抜けた本が本当に心地がよい。

『しんがりで寝ています』三浦しをん

#しんがりで寝ています #三浦しをん #エッセイ #本 #読書感想文

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