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#読書感想文

本を読んで感じた気持ちや考えたことを、言葉にしてnoteに残してみませんか?おもしろかった本の感想や学びを「#読書感想文」で教えてください!

人気の記事一覧

石川拓治「奇跡のリンゴ」読書感想文

無農薬でのリンゴ栽培がいかに難しいのか。 いや、絶対に不可能といわれていたのか。 誰も考えなくて、挑戦もしてない出来事だったのはよくわかった。 なぜ無農薬で栽培ができるのか、学術的な解説はほぼない。 そもそもが、解明されてない。 はっきりとわかっているのは、通常のリンゴの木の根は数メートルに対して、木村秋則(以下敬称略)のそれは20メートルはあること。 土の中の微生物が多いこと。 虫の生態系や雑草、病気や菌やカビが密接に絡まって無農薬のリンゴができること、とだけはわか

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白取春彦編訳「超訳 ニーチェの言葉」読書感想文

ニーチェの本となると、読む前から挫折しそうな気が。 でも避けて通れない。 その名前と、昔の哲学者とは知っている 官本室にあってマークしていた本となる。 春の日だった。 手にとってパラパラとめくってみた。 文字量は少なくて、余白が多い。 1ページには抜粋がひとつ。 そこに、数行の意訳があるだけの232ページ。 これだったら読めそうだ。 実際に1時間ほどでペラペラと読める本だった。 読んだはいいけど、どうも抜粋だと頭に入ってこない。 超訳すぎるかも、という感想だ。 1時

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「正真正銘のクソ野郎」の抜け出し方を、オードリー若林さんが教えてくれた

目を疑った。 まさか、私の中の最低な部分をこんなにもそのまま言葉で曝け出してくれる人がいたなんて。 しかもそれは、今までまったくといっていいほど正反対なタイプだと思っていた、とある漫才師の方だったから。 知人がよく読んでいるイメージがあって、なんとなくKindleで注文していた本。 オードリー若林さんが書いたエッセイ集、『ナナメの夕暮れ』だ。 最初は、自分なんかが踏み込めるわけのない芸能界で華々しく活躍する人の心の中を覗き見る感覚だった。 大御所芸人さんとの飲み会につい

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齋藤慎子訳「アランの幸福論」読書感想文

幸福になりたい。 著者はまったく知らないが題名がいい。 前回に読んだ『超訳 ニーチェの言葉』の隣にあった本。 同じ出版社で、同じ重厚感がある装丁。 シリーズとなっているようだ。 手にとってペラペラ読みしてみると、1ページにひとつの言葉が抜粋されていて、意訳が数行あって、空白が多めになっている。 なにかひとつでも。 なにか心に残れば、と借りた。 噛みしめるようにして、じっくり読んだ。 通常の読書では、口に出す “ 音読 ” はしない。 が、あえて音読して、じっくり2時間

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清水一行「銀行恐喝」読書感想文

『不正融資』と改題してもいい。 とある地方銀行の不正融資が描かれている。 1945年の終戦後から、1998年の平成10年にわたる時代の変化が、やがては不正融資となっていく。 作中には “ N県の西海市 ” とある。 これは、長崎県の佐世保市だとは10ページも読めばわかる。 巻末の解説では、同じく作中にある “ 西海銀行 ” とは ” 親和銀行 ” だと明かされている。 1998年の『親和銀行不正融資事件』だ。 元頭取らが、商法の特別背任容疑で逮捕されている。 翌年に

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落合信彦「20世紀最後の真実」読書感想文

落合信彦は、世界各地へ取材に飛ぶ。 ニューヨークからカナダへ。 チリ、パラグアイ、ブラジル、アルゼンチンを回る。 そこからロスを経由して、西ドイツ。 小型機をチャーターして、デンマーク、ノルウェーへ。 “ その情報 ” をキャッチしてから、下調べと準備に2年間を費やしていた。 取材は1ヶ月に及び、1980年に『週間プレイボーイ』に連載された記事が本となった。 いったい “ その情報 ” とはなんなのか? 元ナチスの幹部である。 多くが南米に逃れているというのだ。

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清水一行「絶対者の自負」読書感想文

清水一行は “ トップ屋 ” から小説家になった。 トップ屋とは、週刊誌が全盛期の昭和のフリーライター。 新聞が書かない特ダネを追い、派手に誌面のトップをとるから、当時は “ トップ屋 ” と呼ばれたとのこと。 それだからか。 事件や、スキャンダルや、不祥事を、暴くようにして書かれる小説が主となる。 人々が何に興味を持つのか、どこを知りたがるのか、並みの作家よりわかっていると感じる。 そんな清水一行の小説の特徴としては、金額がはっきりと何度もよく書き込まれているのを1

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マイケル・デル「デルの革命」読書感想文

デルとは、あの『 DLL 』。 マイケル・デルは創業者。 1999年にアメリカで出版された。 2000年に日本で出版となる。 18歳で創業してから、15年で全米No.1のパソコンメーカーとなったときに口述した本となる。 絶頂期の本ともいえる。 そうして見ると、表紙のマイケル・デルは、ドヤ顔しているかのようでもある。 だから多少は割引いて読む。 が、巻頭の “ はじめに ” では、マイケル・デルはビシィッと述べる。 この本は、自伝でもなければ、デルの社史でもない。 私

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松本清張「ガラスの城」読書感想文

向かう高層ビルの外観は、折からの朝の日を受けて総ガラスの窓が煌めいている。 壮大なガラスの城である。 ガラスは反射鏡のように、周辺のビルの風景を、光と影の対象で映していた。 中に入ると輝くばかりに明るい。 女子大を出て、最初にこの建物の中に入ったときは、誇りと喜びとに胸が震えたものだった。 それから6年が経った。 今のわたしには、その夢も薄くなり、色あせている。 ・・・ 彼女の鬱屈が続いていく。 東亜製鉄株式会社の社員の三上田鶴子の手記である。 そのガラスの城の13

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世界を、何となく覆う「悲しみ」~新美南吉『川』(他)

今回は、『ごんぎつね』であまりにも有名な新美南吉の作品群の中で、彼が晩年に残した「少年もの」を中心に取り上げていきます。 また、スタイルを変えながらも彼が一貫して表現しようと努めてきた「悲しみ」とはどのようなものだったのか等も、あわせて辿っていきます。 主な作品と執筆年まず、29才という短い生涯における南吉の作品群を、初期・中期・後期と、大きく三つの時代に分けてみます。(太字は、今回言及するものです) 初期南吉は、愛知県の半田町に生まれました。4歳で母を亡くし、6歳のと

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『文藝 2024年春号』

今。 バルクアップ!プロテイン文学と言われれば読むしかない。ラベルをつけるって本当にすごいことだ。 長井短『存在よ!』 こわいきもちで〜急にこうやってぽん って入ってくる文章のファンです。 泣きそうになった幽霊の献身、応援 想いが届いてよかったね。 児玉雨子『跳べないならせめて立て』 かつてバレーボール運動をしていた自分とどこか無理矢理にでも重ねて読んでいるのだろうな。口調は憧れるものに似る。 王谷晶『蜜のながれ』 小説なんて書けるもんじゃないと強く思っていたこの

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冲方丁「光圀伝 下」読書感想文

下巻は、27歳からはじまる。 駆け足気味で、青年から晩年までの光圀像が描かれる。 70歳のときに『大日本史』の草稿が完成する。 ここまでに40年を要している。 後に影響を与えた大書だと十分にわかった読書だった。 巻末の解説は筒井康隆となる。 この『光圀伝』を絶賛している。 冲方丁は、徳川光圀の伝記資料を実によく研究しているとのこと。 伝記資料とは、以下が挙げられている。 『桃源遺事』 『義公行実』 『義公遺事』 『玄桐筆記』 『西山遺聞』 聞いたこともない資料ばかり

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【読書コラム】小学生から「面白いよ」と教えてもらった本を読んだ - 『変な家2 〜11の間取り図〜』雨穴(著)

 わたしは小学生たちと読書会をやっている。以前、映画感想文で記したものと同じ活動で、なんだかんだ、週一ペースで継続している。  みんなで読む本はわたしが選ぶのだけど、みんな、本が好きな子たちだから、毎回、雑談がてら、最近読んでいる本についてあれこれと話してくれる。その中で、オススメの本がいくつも出てくる。  わたしはオススメされた本はぜんぶメモして、次回までに読んでいくようにしている。小説もあれば、児童書だったり、ライトノベルだったり、スポーツの技術書だったり、ジャンルは

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ぴあMOOK「東京BAR 10×10」読書感想文

よくあるバーを紹介する雑誌。 厚さ1センチに満たない雑誌に、東京にある100のバーが紹介されている。 表紙には『老舗の各店から話題の新店まで。仕事にオフにと使いたい。初めてでも安心のもう1件を教えます』とあるのが心強い。 『栄冠の1杯に酔う』ともあるが、そこまで酒に入れ込んではない。 いいなと感じたのは、老舗のバーが目立つこと。 話題の新店ばかりの雑誌もあるけど、ああいったのはどうも宣伝臭がして、読んでいてなんかつまらない。 10のテーマごとに10店で計100店。 だ

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阿部紘久「文章力の基本」読書感想文

手元に置いて、何度も開きたい実用書。 副題にある『簡単だけど、だれも教えてくれない 77のテクニック』そのままの内容。 どこかに引っかかっていた、文章の書き方の基本的な疑問がほぐれていく。 今までの自分の文章を、添削したい気持ちになる。 著者は「文章力とは?」を、以下のように説く。 よいテーマを見つける『着想力』 テーマに関わるさまざまな事象に考えを広げる『連想力』 書くべきことを峻別する優先順位の『判断力』 書くべきことを構造的につかむ『把握力』 独自の考えを

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竹内一郎「人は見た目が9割」読書感想文

突きつけられるような題名だ。 「ですよねぇ」としかいいようない。 読むまでもない。 本当にそのとおり。 いや、ちがう。 人は見た目が9割9分。 今までどれほど、見た目で忸怩たる思いに陥ったことか。 男性からは、警戒の目を向けられる。 チンピラみたいな下品なヤツからはカラまれる。 こっちは上品なのに。 女性は走って逃げる。 そのあたりは露骨だ。 例えば、夜の帰り道などで、人通りもなくて、ふと気がつけば少し前を女性が歩いている。 こっちは右に曲がろうとしていると、向

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なぜ大人は「勉強しろ」って言うの?【要約物語】

〜プロローグ〜 「はぁ、お母さんうるさいわぁ。」 少女の名前はアン。 中学2年生。 最近は親と喧嘩が絶えない。 「どこ行くの!?まだ話の途中よ!」 気持ちが落ち着かないとき、 アンは父が書斎に使っていた部屋に行く。 父は物心つく前から家にいない。 母に一度聞いてみたことがあった。 「何でアンにはパパがいないの?」 何と言っていいか分からぬ母の顔。 子どもながらに、 聞いてはいけないことが分かった。 それ以来、父のことは話題にしない。 しかし、父の書斎をアンは気に入って

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永山則夫「木橋」読書感想文

著者の永山則夫は『連続ピストル射殺事件』の犯人。 米軍基地から盗んだピストルで4人を射殺した。 犯行当時は19歳。 これが1968年。 翌年に逮捕された永山は、裁判がはじまると、極貧の生い立ちを理由にして左翼じみた社会批判をしたという記憶がある。 裁判は長引いて、東京地裁では死刑判決となる。 少年がおこした事件では、初めての死刑判決となる。 これが1979年。 事件から11年が経つ。 そして控訴審となり、東京高裁の判決では無期懲役に減刑された。 これが1981年。

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清水一行「苦い札束」読書感想文

清水一行の初期作品。 6つの短編が収められている。 『昭和の経済事件史』と改題してもいい。 50年以上が経った令和になっても、同じような事件がおきているのが考えさせられる。 ※ 筆者註 ・・・ 以下、長めの要約となってます。もっと短くしようとあれこれしましたが無理でした。スキームを中心にした要約となってますが、本編ではもっと人間が書き込まれてます。清水一行作品に付き物の “ 女 ” も登場しますがカットしてあります。金額は当時のもので、現在に換算すると3倍から5倍に相当し

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いつか読むために

【我が家の本棚より】 文章作法に関する本を見つけると、つい買いたくなる。 取り敢えず買っておけば安心する。 いつか読むために。 読んで文章の達人になる! 昔から心意気だけはあったようだ。 それなのに、何が書いてあったのか、さっぱり記憶にない。 すべて読み終えたのかも怪しい。 文章の達人への道のりは遠い。 谷崎潤一郎の『文章読本』を改めて読んでみた。 40年以上前に買ったものだ。 1934年に刊行された本だから、今の時代にそぐわない古くささや、偏見や差別的な内容

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