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『それでもなぜ、トランプは支持されるのか―アメリカ地殻変動の思想史』が面白かった話と家族制度について考える(最近考えている話・後編)

このnoteでは、『虎に翼』が今描いている結婚制度の是非について書いた。今回はその続きである。

「国が家族ごとに戸籍を与えるのがおかしい、欧米では個人で戸籍管理しているのだから日本もできるはず」という意見は至極全うだと思う。実際、マイナンバー制度は戸籍(家族単位で管理)から個人番号(個人単位で管理)に移行するためのものであるはずだ。だとすれば、日本的な家族共同体単位社会から、欧米的な個人単位社会(結婚はあくまで個人間の契約であり、家=先祖や親は関係ない)に移行するのが良い、という話になる。


でも一方で、最近読んだこの本がすごく面白かったのだが、この本では「話はそう簡単じゃないよな~」と思わせるエピソードがあった。

トランプがなぜこんなに強いのかという問いを思想的に解説した本だ。

そのなかで、トランプが現れる以前の現代アメリカの思想はプロテスタンティズム的な「個人主義を核とする世界」が良しとしてやってきていた、が、しかし今カトリック的な「家族や共同体を核とする世界」を求める声が強くなっている……ということが書かれてある。

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