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日本には二大政党制は不向きなのではないか?

 この頃、選挙がつづく。日本では総選挙があり、アメリカでは大統領選挙があった。
 アメリカでは、共和党と民主党という二大政党が定着している。
 一方の政党がダメだと判断されれば、他方の政党へという政権交代が起こりやすい。前政権で決められたことも覆されることがある。ガラッと変わる。

 日本ではどうか?
 この前の選挙で、一強多弱の状態はなくなった。数字の上では、野党が1つにまとまれば新たな政権が生まれることになるが、民意はそれを望んでいるとは言えない。なぜなら、比較第一党は選挙前と変わっていないからだ。

 ある政党が大幅に議席を増やし、キャスティング・ボードを握る。私はなんとも日本らしいな、と思う。


 今回の衆院選の結果を見て、細川政権が誕生した状況と似ていると指摘した人がいるが、私は小渕内閣が誕生した頃に似ていると思う。
 
 過半数を持っていないとはいえ、比較第一党の党首が首班指名を得る。数の上では、第一党以外が結束して、内閣不信任案を出せば、可決される可能性がある。しかし、不信任案が可決されて、内閣が総辞職したとしても、野党の首班指名が1人にまとまらなければ、また比較第一党の新たな総裁が首班指名される。だから、結局のところ、与野党が歩みよるしかない。

 小渕内閣のときは、金融国会において、与党が野党の法案を丸呑みしたことがある。今回はまだ流動的だが、報道によれば、次の国会では、予算委員会の委員長は野党から選出されることになるようだ。今までのように、与党が強行採決をして予算案を通すことはできなくなる。

 小渕内閣のときにはその後、キャスティングボードを握っていた党が比較第一党と連立を組むことにより、与党が過半数を得たが、今回はそれはなさそう。キャスティングボードを握っている政党は、与党とも野党とも是々非々に協力するというスタンスをとるらしい。


 話は飛ぶが、現在の状況を考えているうちに私が想起したのは、河合隼雄さんが指摘した「中空構造」という概念だ。

 西洋の神話世界では、白か黒かのような二項対立な考え方が主流だが、日本の神話では、白でも黒でもない役回りの神がいる。
 私は今回のキャスティングボードを握っている政党というのは、中空構造的な感じがする。野党(やとう)でも与党(よとう)でもないから、「ゆ党」と呼ぶべきか?


 日本ではまだ、他の国のように二大政党制が根付いていない過渡期だと見なす人がいるようだが、私は単に制度が根付いているとかいないというよりは、白か黒かという考え方自体が日本的ではないような気がしている。

 ○か✕かという考え方だけではなく、日本には△という考え方もある。
 どんな選挙制度にしたとしても、中空構造というのは、日本人のDNAに刻まれた構造なのではないだろうか?



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