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『しあわせしりとり』益田ミリ

白湯のように、しんみりおいしくて、自分にするする入っていって、温めてくれた。益田ミリさんのエッセイ。

夜の新大阪から東京行きの新幹線。一人暮らしの家に粗大ごみを持ち帰ったこと。一人カラオケのこと。新宿でお笑いライブを見て、帰りに九段下の桜を見に行く話。大きな出来事ではないが、死ぬ前の走馬灯で幸せな場面として出てきそう。

益田さんはよく妄想をする。私は妄想よりひたすら分析をするタイプなので、他の人の頭の中はこんな風になっているのかとびっくりする。

エベレストに登頂したとか、スタートアップ企業を上場させたとか、スラム街の人々を救ったとか、そういうことではなく、日々のうれしいことや許せないと思った気持ち、きづいたことが書いてある。読んで私はこの人をとても好きだ、この人がいてくれてよかった、とまで思う。

益田さんは私に好かれたいとか、私を感動させたいとは1mmも思っていないだろう。なのに、彼女が彼女でいること、もやっとしたり悲しいことがあったりも含めてちゃんと認識して書き記してくれることが、私の呼吸を深めて落ち着いた気持ちにしてくれる。すごいことだとしみじみ思う。

『しあわせしりとり』益田ミリ

#しあわせしりとり #益田ミリ #エッセイ #本 #読書感想文

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