30歳までに読みたいお仕事小説|『レイアウトは期日までに』書評(評者:朱野帰子)
「社会に出た当初は、三〇歳までにひとかどの人物になりたい、なんて思っていたけど、現実にはまだまだ中途半端だ」
本書を読みはじめてまもなくこの一文に出会い、30歳手前の自分を思い出した。
『レイアウトは期日までに』の主人公の赤池めぐみは27歳、デザイナーをめざしていて、実用書系の中堅出版社で契約社員をやっている。文字の修正やデザインの直しなどのオペレーター的な仕事から始め、ようやく単行本のデザインもまかされるようになってきたところで、事業縮小により、あっさりリストラされてしま