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著者インタビュー / U-NEXTオリジナル書籍

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U-NEXTオリジナル書籍に関する「著者インタビュー」を集めました。著者のみなさんがどう物語を紡いだのか、ぜひご覧いただけるとうれしいです。
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記事一覧

どんな命にも居場所がある──『犬小屋アットホーム!』大山淳子インタビュー

どんな命にも居場所がある──『犬小屋アットホーム!』大山淳子インタビュー

長い長い坂の上にたたずむ、白い建物「ニーシャシャン」。そこは、犬と人がペアを組んで暮らす、ちょっと変わった老人ホーム──。

「猫弁」「あずかりや」シリーズの著者・大山淳子さんの書き下ろし小説『犬小屋アットホーム!』は、そんな施設を舞台にした心に沁みる物語です。「犬小屋」を意味する「ニーシャシャン」で暮らすのは、居場所を失った人と犬。出所したばかりの元ヤクザ、余命短い病人、ゴミ屋敷の老女などワケあ

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ひとつのジッポーから暴かれるベトナム戦争の闇──『ジミー・ハワードのジッポー』柴田哲孝インタビュー

ひとつのジッポーから暴かれるベトナム戦争の闇──『ジミー・ハワードのジッポー』柴田哲孝インタビュー

『下山事件 最後の証言』で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞(実録賞)を、『TENGU』で大藪春彦賞を受賞し、フィクションとノンフィクションの両分野で活躍する柴田哲孝さん。U-NEXTでは、そんな柴田さんの書き下ろし長編小説『ジミー・ハワードのジッポー』を配信しています。

ベトナムに取材に訪れた小説家・桑島は、ホーチミンの市場でかつて米兵が所有していたと思われるジッポーを手に入れます。銃弾

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友だちとだらだらできる空間があれば、ひとまず幸せ──『団地のふたり』藤野千夜インタビュー

友だちとだらだらできる空間があれば、ひとまず幸せ──『団地のふたり』藤野千夜インタビュー

50歳、独身、団地暮らし。保育園から友だちのふたりは、用もないけど今日も一緒──。

女性ふたりののんびり気ままな暮らしを描いた、芥川賞作家・藤野千夜さんの新作『団地のふたり』。

フリマアプリの売上で生計を立てる、売れないイラストレーターのなっちゃんと、非常勤講師として働くノエチは、長い付き合いの幼なじみ。ノエチが仕事を終えるとなっちゃんの家に寄って、ごはんを食べて、テレビを観て。休日は釣り堀で

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ままならない体を、自分のものとして取り戻す──『教会のバーベルスクワット』蛭田亜紗子インタビュー

ままならない体を、自分のものとして取り戻す──『教会のバーベルスクワット』蛭田亜紗子インタビュー

『自縄自縛の私』でデビュー後、さまざまな作品で女性の生と性を描いてきた蛭田亜紗子さんが、新たな試みに挑戦します。U-NEXTオリジナル書籍として配信される「ままならない私の体」シリーズは、“女性の心と体、選択と決定”をテーマにした全5話の短編シリーズです。現在、第1弾『教会のバーベルスクワット』が配信されており、2022年2月14日には第2弾『保健室の白いカーテン』が配信予定。U-NEXTの月額会

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コロナ禍に同性婚した女性が感じる、家族と個人の関係性──『観音様の環』李琴峰インタビュー

コロナ禍に同性婚した女性が感じる、家族と個人の関係性──『観音様の環』李琴峰インタビュー

『彼岸花が咲く島』で、第165回芥川賞を受賞した李琴峰さん。U-NEXTでは、そんな李さんがコロナ禍の同性婚を描いた小説『観音様の環』を配信しています。

瀬戸内の島で育ったマヤは、父親の暴力、そして母親からの支配と束縛から逃れるため東京へ。そしてジェシカとの結婚を機に、台湾へ移り住みます。ジェシカとの生活を通して感じた葛藤や歯がゆさ。母親の故郷でもある台湾の港町で、湧き上がってきた記憶。『ポラリ

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「記憶」と「忘却」の物語
──『みんな知ってる、みんな知らない』 チョン・ミジン インタビュー

「記憶」と「忘却」の物語 ──『みんな知ってる、みんな知らない』 チョン・ミジン インタビュー

1995年6月4日、1人は誘拐、1人は親の失踪という形で、2人の少女が長い時間軟禁される被害に遭う。それから20年後、忘れたはずの記憶を徐々に取り戻した2人の行方は──。
「人間は記憶で生きる生き物」だと語る作者のチョン・ミジンさん。同作では主人公たちの孤独の苦しみと再生への過程を描きながら、記憶すること、忘却することの意味を問いている。

チョン・ミジン
1983年生まれ。韓国の慶北大学校で国

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「イヤミス」からの新境地!? 『息子のボーイフレンド』の原点は自身の青春時代に──秋吉理香子インタビュー

「イヤミス」からの新境地!? 『息子のボーイフレンド』の原点は自身の青春時代に──秋吉理香子インタビュー

映像化もされた『暗黒女子』をはじめ、読後に嫌な気持ちが残りながらもクセになるミステリー作品=「イヤミス」を数々執筆してきた秋吉理香子さん。
始動したばかりのU-NEXT出版部で書いていただいた新作は『息子のボーイフレンド』。タイトル通り、息子の聖将が母親である莉緒に「“彼氏”ができた」とカミングアウトすることから始まるハートウォーミングな作品です。

「イヤミスの女王」とも呼ばれる秋吉さんがなぜL

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クラシックBLを通して描いた、人と人との普遍的な関係性──『路地裏のウォンビン』小野美由紀インタビュー

クラシックBLを通して描いた、人と人との普遍的な関係性──『路地裏のウォンビン』小野美由紀インタビュー

性交後、女性が男性を捕食する世界を描いたSF小説『ピュア』で話題をさらった小野美由紀さん。待望の新作『路地裏のウォンビン』は、スラムで暮らすウォンビンとルゥ、ふたりの孤児の人生をたどる物語です。熱気と混沌に満ちたアジアの架空都市で、分かちがたく結びつくふたりの運命。それはボーイズラブ(BL)のようでありながらも、人と人との根源的な関係をあぶりだしているようにも見えます。

小野さんは、どんな思いを

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