李琴峰

『観音様の環』書評|想像と超克(評者:東山彰良)
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『観音様の環』書評|想像と超克(評者:東山彰良)

2021年10月15日に配信開始した芥川作家・李琴峰さんの小説『観音様の環』を、同じ台湾出身の作家・東山彰良さんに読んでいただき、寄稿いただきました。 「名付けえない感情とアイデンティティ、それらをありのままに受け入れる美しさと孤独」 李琴峰の『ポラリスが降り注ぐ夜』に、私はそのように推薦文を寄せた。どこにも身の置き場のない女性たちが不意に出会うオアシス、それが「ポラリス」という名のバーだった。彼女たちはそこで名付けえないものを名付けえないままにしておく強さと孤独を学び、

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【書評】李琴峰既刊本5冊+α一挙レビュー
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【書評】李琴峰既刊本5冊+α一挙レビュー

今年もっとも読んだ作家が李琴峰。 もともと大の百合好きということもあって手に取ってみたのだけれど、甘々で切なく胸キュンな百合シーンと、人種や国家やセクシャリティといった重いテーマがマッシュされていて、それでいて、「良い話を読んだな」っていう満足感もあって、大好きな作家の1人になりました。 既刊本全5冊のレビューと+αの書評を書いてみるね。 『独り舞』(2018年、講談社) 都内の企業で働くOL趙紀恵(ちょう・のりえ)。超ノリノリの趙紀恵という自己紹介を持ちネタするなど

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最近読んだ本の話 vol.40

最近読んだ本の話 vol.40

 「最近読んだ本の話」の第40弾です。もう10月半ばですが、私の住む地域ではまだ30℃を超える日もあって、暑いです。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、深水 黎一郎『名画小説』 13の名画に隠された、驚きの謎、恐怖――秘密が明かされた時、あなたは戦慄する。 『最後のトリック』の深水黎一郎が芸術への深い造詣とミステリーを融合させた傑作短編集。                 -Amazonより引用-   名画にまつわる13編の物語です。その絵が描かれた背景などが細

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【試し読み】芥川賞作家・李琴峰が「家族」について問い直す傑作中編『観音様の環』
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【試し読み】芥川賞作家・李琴峰が「家族」について問い直す傑作中編『観音様の環』

『彼岸花が咲く島』で第165回芥川賞を受賞した李琴峰さんの書き下ろし小説がU-NEXTに登場しました。 本作には、李さんのファンの方々にとって馴染みある「ポラリス」も登場します。とは言っても、古参の方々のみにおすすめするものではなく、まだ李琴峰作品を読んだことのない人にとっても、その深遠な作品世界への導入として推薦できる作品です。 ■著者紹介李 琴峰(り ことみ) 1989年台湾生まれ。日中二言語作家、翻訳家。 2017年、初めて日本語で書いた小説『独り舞』(講談社)が群像

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「豊かな日本語」と「貧しい日本社会」
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「豊かな日本語」と「貧しい日本社会」

書評:李琴峰『彼岸花の咲く島』(文藝春秋) 「think_or_die」氏のレビュー「書かれた文字が主人公の小説」が素晴らしい。 本作『彼岸花の咲く島』の「世界設定」自体は、近未来「SF」的なもので、特別ユニークなものではない。また、その語り口も、「芥川賞」作品と言うよりは、むしろ「直木賞」作品に近い、とても読みやすい作品で、登場人物たちも、アニメ化されてもおかしくないほど「キャラクター」が立っている。つまり、「芥川賞」らしくない作品なのである。 しかし、それでもこの小説

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「反日」を一掃せよ

「反日」を一掃せよ

 7月中旬、芥川賞を受賞した数日後のことである。ネット上で、そこそこ人気のある某右翼ライターがある記事を発表した。受賞会見をしている時の私の顔写真とともに掲載されたその記事によれば、「李琴峰の芥川賞受賞は、反日左翼による日台離反工作かもしれない」だそうだ。  ファンタスティック! この方のほうが私より小説を書くのに向いているかもしれないと思われるほどの、すさまじい想像力だ。これからも小説でご飯を食べていく者として、このライターの宣伝にならないよう、ひとまずここでは彼の名を伏せ

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まったく同感! 私は、李琴峰を断然支持する。 (Amazonレビュアー・年間読書人)
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まったく同感! 私は、李琴峰を断然支持する。 (Amazonレビュアー・年間読書人)

「日刊スポーツ」記事 [2021年9月21日11時59分] https://www.nikkansports.com/m/entertainment/news/202109210000281_m.html 芥川賞の李琴峰さん「通報にご協力を」販売サイトのレビュー荒らされ訴え 第165回芥川賞を受賞した李琴峰(り・ことみ)さんが20日、ツイッターを更新し、同賞受賞作「彼岸花が咲く島」を販売するサイトのレビュー欄を荒らされる嫌がらせを受けているとし、「嫌がらせの通報にご協力く

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李 琴峰さんの『ポラリスが降り注ぐ夜』
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李 琴峰さんの『ポラリスが降り注ぐ夜』

老眼のせいか、“人間の生きざまをあざ笑う暗黒の鳥”のように見えた。 李 琴峰さんが、最新の芥川賞作家だということはこの本を手に取って気付いた。 物忘れ、勘違い、軽い認知症であることは百も承知。 なにせ不良老人ジュニアのことですから。 あれ、なんだったっけ? まただ... 新宿二丁目を舞台にした『ポラリスが降り注ぐ夜』が面白いぞ!って出ていた書評は? まあ、こういうことが日常茶飯事雨霰なので、表紙の若い女性のモノクロームを中世ヨーロッパのコレラ医師が被っていた鳥の嘴に似た仮

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李琴峰さん、受賞スピーチ「生き延びるための奇跡」

李琴峰さん、受賞スピーチ「生き延びるための奇跡」

グーテンターク!皆さまこんにちは。 今日は李琴峰(り ことみ)さんの芥川賞受賞スピーチが素晴らしく、もっと言うと気迫に打ちのめされました。生き延びるための力としての言葉と文学。このその感動を書きます。 李琴峰さんは『彼岸花が咲く島』で第165回芥川龍之介賞を受賞。台湾出身初の同賞受賞者としても注目を集めています。8月27日の授賞式が行われた際の受賞スピーチが「生き延びるための奇跡」です。 こちらのサイトで全文が紹介されていますので是非ご一読くださいね。 彼女の冷徹なト

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熱く、毒のある。~芥川賞受賞作「彼岸花が咲く島」を読んで~
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熱く、毒のある。~芥川賞受賞作「彼岸花が咲く島」を読んで~

今回は、李琴峰(り ことみ)さん作、「彼岸花が咲く島」について紹介してまいります。 こちらは、2021年第165回芥川賞を受賞し、大きな話題を呼びました。 装丁の絵が美しうていたり。いと好き。 李琴峰さんは台湾出身の作家さんです。台湾出身というだけで、冷たい批判の声を浴びたことがあるという李さん。そんな李さんが紡ぐ文章には、不当な差別に対する是非を、私たちに考えさせるような箇所も見受けられました。 架空の島が舞台ですが、物語に現れる出来事は、実在する現代社会の問題を彷彿

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